こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (M2)です。
学部生時代はプレゼンの質疑応答を大変苦手としていたものの、とあることがキッカケでディスカッションを楽しめるようになりました。
この記事では、プレゼンの質疑応答が一瞬で怖くなくなる3つのマインドセットについて解説します。
- 質疑応答が苦手な学生さん
- 苦手ではないけれども議論の質を高めたい学生さん
こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければと思っています。

それでは早速始めましょう!
最重要:質問者は敵というよりむしろ味方。攻撃したくて質問してくる研究者はほとんどいません


私は研究室配属初年度において、ゼミや学会で質疑応答タイムに入ると怖くて逃げたくなっていました。
まるで質問者が敵であるかのように映って見えていたからです。
私は今日に至るまで誰かと対等な立場で議論した経験が皆無でした。
対等どころか叱られてばかり。そんな昔を思い出し、 (またひどいことを言われるんじゃないか…)と怖さが募っていたのです。
加えて、もし研究発表の質疑応答で研究を頭ごなしに否定されたとしても、当時の私には言い返せるだけの知識や度量がありませんでした。
とどめを刺されたのがB4時の卒論発表。あまりの恐怖に舌が固まり、超基本的な質問にも答えられずに (なんと情けないことか…)と自分に失望してしまいました。


卒論発表での体たらくがあまりにもショックだったため、B4の春休みに時間を割いて(どうしていつも緊張してしまうんだろう??)と考えてみました。
他の同期も多少は緊張しているように見えたものの、私のように一言もしゃべられなくなるほど体が固まっている訳でもありません。
うんうん唸りながら考えた末、



アレ?そもそも質問者って敵なのか…?
と根本的な考え違いに思い至りました。
これまで”攻撃される”という意識だったから質疑応答に苦手意識を持っていたものの、そもそもソレからして間違っているんじゃないか?と考えるようになったのです。
研究者の多くは柔らかな表現ではなく端的にズバッと質問してきます。
そうした直球質問に慣れていなかったが故に、 (なんて攻撃的なんだ…) と何となく怖さを感じていたのです。
質問者は何も私を攻撃したかったのではなく、誤解を避けるため回りくどい表現を避けていただけなのであります。
質問の大半は質問者の純粋な知的好奇心に由来するもので、発表者とディスカッションをしたいがためにわざわざ手を挙げ質問してくれたのです。
質問者は敵じゃないんだ
この気付きを得て以来、質疑応答時の極度な緊張感は徐々に薄らいでいきました。
敵というよりむしろ仲間。自分の研究に興味を持ち、研究を良くしようと手伝ってくれる心強い味方だと思えるようになりました。
研究を頭ごなしに貶めてくる意地悪な学者も決していない事はありません (私もどこかの学会で一度だけ遭遇しました)。
しかし、このような場合は極めて稀。大半の研究者はイジメては来ませんのでどうぞご安心ください^ ^
何か質問された時、無理して急いで答えなくても構いません


私には緊張癖がある上に、言葉を言いよどんでしまう癖もあります。
何か言いたいことがあってもつっかえつっかえでしかモノを言えず、こうした吃音癖には小学生の頃からすごく苦労させられてきました。
普段のコミュニケーションでさえ若干支障をきたしているのに、プレゼンの質疑応答時など緊張する場面ではますます言葉が出てこなくなります。
話したいのに話せず焦りばかりが募って悲惨な事態に陥るのです。
私は頭の片隅に”質問されたら即座に何か言わなきゃ!”という意識を抱いていたような気がします。
”一秒でも沈黙の時間を作ってはいけない。黙っていたら質問者に対して失礼だ”と考えていたのかもしれません。
ですが、何かを質問された時、無理して瞬時に回答しなくとも構いません。
質問者的にはレスポンスは速ければ速いほど有難いでしょうけれども、返事の速さよりも答えの質が高い方が何倍も大切だとお感じになるはず。
何か質問をいただいた時は、深呼吸しながら考えをまとめてゆっくり話し出せばOKです。
私の場合、質問されてから3~5秒ほど脳内で思考を巡らす時間を設けることで答弁が随分スムーズになりました。



2chのひろゆきさんみたいな流暢さがなくても全然問題ありません。素早い返事をするよりも、ゆっくりでいいから問われたことに答え切る方が好印象です(*≧∀≦*)
なお、吃音に関しては本の音読で脳の言語野を強化することによりある程度解決できました。
言葉がスッと出てこずお悩み中の方は、お手持ちの文庫本を一日20~30分程度音読してみる事をオススメします。
私の場合、音読でも何か参考になる文章を読みたかったため、音読教材には新渡戸稲造の武士道や岡潔の春宵十話など古典的作品を使っています。
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分からないことは正直に「分かりません」と答えてOKです


最後は意外かもしれませんが、分からない質問には「分かりません」と答えて全く問題ありません。
(そんなのアリかよ)と思った方もいらっしゃることと存じます。しかし、分からないものは分からないのだから如何ともしようがありません。
無理に知ったかぶってペラペラしゃべると、別の方が「それ違うんじゃないの?」とピンポイントで指摘してきて必ず痛い目に遭うでしょう。
泥沼にハマるのを回避するため、丁寧に「分かりません」とお答えしましょう。
現状までに明らかになっている範囲と明らかでない範囲を区別するのは研究遂行計画の立案に不可欠であります。
分からないことを”分からない”と真摯に認められる勇気も科学に携わる者全員に必須です。
「分からない」は決して敗北宣言ではなく、新たな研究のタネが一つ産まれる貴重な機会となっています。
一つの「分かりません」をキッカケに、将来新たな研究分野が花開く可能性だって大いに秘められているのだから。
私の場合、つくばの共同研究者さんから



分からないものには「分かりません」と言っていいんだよ。知ったかぶる方が良くないからね
と知らされました。
教わったのは確かM1の後期。少しずつ学会発表に慣れてきたものの、学会賞受賞まであと一歩…という講演が続いていた頃に教わりました。
それまで(何とかして質問者の質問に答えなくちゃいけないんだ!!)と強迫観念に憑りつかれていた私は、【”分からない”と言って良い】と諭されたおかげで気分が軽くなりました。
おかげで質疑応答も随分と気楽に臨め、緊張しなくなった影響で質疑応答の質が格段に高まりました。
「分かりません」と言えるようになると、終わりのない補足スライド作りにもある程度の所でキリをつけられます。
無理して何十枚もスライドを用意せずとも、本編と深く関係している数枚のスライドを作っておくだけで解決するというワケです♪
最後に
プレゼンの質疑応答が一瞬で怖くなくなる3つのマインドセットはコレで以上となります。
まとめると、
- 質問者は敵というよりむしろ仲間。発表者の研究を良くしようとしてくれる心強い味方。
- 何か質問された時、無理に急いで答えなくてOK
- 分からないものには「分かりません」と答えてOK
このような形になります。
質疑応答はコツさえつかめば一瞬で楽しい時間に変わります。
皆さんのディスカッションがより良いものとなる事を願って本記事の締めくくりとします。
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