北大博士課程を一年短縮修了した技術開発エンジニアかめです。
大学院までは徒歩か自転車通学でした。会社員になり、人生で始めて日常的に電車へ乗るようになったのです。
地元の広島は100万人都市。中四国地方で一番大きな街。当初、電車内の混雑は、それほどたいしたこともないだろうと予想していました。100万人都市とはいえイチ地方都市。混雑しないでゆるりと過ごせるだろう、と。私の見込みは甘かったようです。いざ通勤を始めてみたら、行きも帰りも満員電車。息をするのも苦しくなるほど。サラリーマン同士でぎゅうぎゅう詰めになってしまってあまりに辛すぎます。
予想だにしていなかった満員電車。これを避けるわけにはいきません。会社へ向かう最短ルートは電車だから。既に半年分の定期券代をもらっています。定期券も買いました。であればもう、電車を使うしかないでしょう。私は人混みが大の苦手。人の多さを敬遠して、ショッピングモールや人気飲食店へ足を運ぶことはありません。そんな自分でも満員電車に乗らねばならない。満員電車内での過ごし方が重要になってくるのです。
この記事では、人混み嫌いの自分が満員電車の中でどう過ごしているか記しました。満員電車通勤の苦痛を和らげたい方にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。

それでは早速始めましょう!
本を読む


満員電車は、自分の外側にある世界。外側の世界はうるさいです。
様々な人が鼻をズルズルすすっている。”洟をかめばいいのに”と何度言いたくなったことか。職場仲間かご近所さんの中年女性たちがベラベラ喋っている。時にトークが白熱してキャーキャー言う。”ボリュームを落としてくれ”とテレパシーを送る。そんなのお構いなしに話し込む。
自分の影響下にあるのは己だけ。変えられるのは自分だけ。周りの行動を変えようとしても無理。変わるべきは自分。思考を改め、まわりと調和する方法を探らねばなりません。
外側の世界は騒々しい。ならば、内側の世界へ引きこもればいいのです。自分の脳内は静寂そのもの。無音。何かを考えなければ波紋は広がりません。己の意識に没入する手軽な方法は瞑想でしょう。目を瞑って呼吸に集中する。息を吸って吐く。横隔膜と肺の動きへ自意識の焦点を当てる。瞑想は、喧騒のなかで行うのは難しいです。周囲のノイズに意識をかき乱され、なかなか集中できません。
頭を瞑想状態にすべく、私が用いているツールは読書。本へ記された内容に意識を傾けます。文章が自分の心理状態をどう変えるのか注視するのです。面白い文章に出会えば気分が湧きたつでしょう。悲しい描写に突き当たった際は胸がギュッと締めつけられるはず。本を読みながら自分の内面を見る。感情の起伏を客観視して満員電車から目をそらすのです。
本は、自分を色々な所へ連れていってくれます。古代ローマ。中世イギリス。近代日本。現代アメリカ。書籍を開くだけで旅行気分になれるのです。ちょうど、電車の中に居るから、旅情気分に浸るのも難しくありません。通勤時、会社最寄り駅で降りず、しばらく乗っていけば空港まで行けます。ときどき(会社をサボってやろうかな♪)と思うことも。サボりませんけどね。クビになってお金を稼げなくなると旅行に行けなくなりますから。
音楽を聴く


電車には様々な人が乗ってきます。サラリーマンを始め、中学・高校生、外国人旅行客、地元民など、その属性は多種多様です。なかにはマナーの悪い方も。イヤホンから音楽が漏れ出ている人。洟を爆音ですすっている人。ガムをくちゃくちゃ音を立てて噛んでいる人。
私は音に神経質。おぞましい音が耳に入ると、鳥肌が立って吐き気をもよおします。読書どころではなくなるのです。本の世界へ没入したくても無理。外から音が容赦なく侵入してきて、意識がグチャグチャに乱されます。
私は読書が好きです。大学入学以来、本を第一の友とし、肌身離さず歩んできました。暇さえあれば本を読みます。皆がスマホをいじるのと同じ感覚で本を開いて読むのです。ひょっとしたら活字中毒なのかもしれません。毎日一度は印刷された文字を読まねば気持ち悪くなります。
満員電車の中でよほど不快な音が発されていない限りは読書します。でも、たまに居るんですよ。本を読ませてもらえぬほど、汚い音を立てて煩わしてくる方が。音に堪えて本を読むとストレスがたまります。「本に集中したいけれどもできない!」と、心が不満をためて頭が爆発しそうになるのです。満員電車のストレスから逃れるための読書なはず。本を読んでストレスをためたら本末転倒も甚だしいでしょう。
音に耐えられそうにないときはどうするか。本を閉じ、ヘッドホンで音楽を聴いています。外側の音を物理的にシャットアウトする。ヘッドホンはもちろんノイズキャンセリング。歌声や旋律に癒しを求める。労働や不快な音で傷ついた脳を修復してもらうのです。
通勤時間によく聴く歌手はZARD。目を閉じ、坂井泉水さんの優しい歌声に身体を預け、心の荒波を落ち着けます。ZARDは学生時代からよく聴いていました。D1後期のイギリス留学で辛い目に遭ったときに出会ったのです。博士課程を通して毎日聴いていましたね。辛いときはZARDを聴くに限る。20分ほど聴くだけで「今日も一日、頑張ったっていいんじゃないかな」と前向きな気分になります。
帰りの電車ではクラシック音楽を聴きます。好きなジャンルはヴァイオリン協奏曲。高周波の音色が脳に染み込み、脳が喜んでいるのを感じられます。ヴァイオリンを聴けば、身体の不調が劇的に改善されていくのです。胸のつかえ。ブレインフォッグ。腰の痛み。ヴァイオリンが全て治してくれます。
クラシック音楽は、大学受験生の頃から聴いていました。勉強で疲れた夕方にクラシックを聴き、脳をリフレッシュさせ、一日のラストスパートを計っていたのです。帰宅電車乗車中に脳の回復まで行っておきます。おかげで前向きな気分で電車を降りられる。翌朝も楽しい気分で電車に乗れるのです。
自分なりの逃げ方やしのぎ方を探す
私はいまだに満員電車が好きになれません。人が多い空間に身を置くだけで、心がすり減っていくような感覚があります。しかし、毎日通勤せねばなりません。だったらせめて、自分なりの過ごし方を見つけよう。そう思って、しばらくアレコレと試してきました。
本を読むこと。音楽を聴くこと。それはただの暇つぶしを超えています。自分の感情をなだめたり、壊れそうな思考をつなぎとめたりする、かけがえのない大切な時間です。大げさに聞こえるかもしれませんが、満員電車の中の数十分は、私にとって「自分を守るための戦い」のようなものでもあります。
同じように、満員電車に息苦しさを感じている方がいたら、自分なりの「逃げ方」や「しのぎ方」を探してみてください。小さなことでもいいんです。お気に入りの曲を見つける。小さな文庫本を持ち歩く。それだけで、世界の見え方が少しやわらかくなるかもしれません。
苦手な環境に、ただ耐えるだけじゃなく、うまく共存していく。そうやって、少しでも毎日を心地よく生きていけたら──それが今の私の目標です。
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