研究室配属初年度に読んでおきたかった電気化学系参考書3選

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う北大院生のかめ (M2)です。

電気化学系の研究室に所属し、今年で在籍3年目になるのですが、M1に入り電気化学の教科書を読んだ時、

かめ

あぁ、もっと早くから読んでおけば良かったなぁ…

と後悔してしまった経験があります。

そこでこの記事では、研究室生活の初年度に読んでおけばよかった3つの参考書をご紹介します。

  • 電気化学系研究室の学部生/修士課程の学生さん
  • そうした方々を監督&指導する立場にある教員/外部の共同研究者さん

こうした方々にピッタリな内容ですので、是非最後までご覧頂ければと思っています。

それでは早速始めましょう!

目次

トコトンやさしい電気化学の本

最初にオススメする一冊は、専門書の中でも所謂『図解本』と呼ばれているカテゴリーの一冊です。私がこの書籍をもっと早く読んでおけば良かったと感じた理由は、(もしこの本ともっと早く出会っていれば、ゼミでの先輩たちの発表をもう少し深く理解できたんじゃないかなぁ…)と思ったからです。

この本との出会いはM1の4月のこと。あまりにも分かりやすくて強く衝撃を受けたのを未だ鮮明に覚えています。平易な表現のおかげで途中で全く躓かなかったし、電気化学分野でよく分からなかった不明点の多くがあっという間に解消されました。研究室配属当初、先生や先輩から手渡された論文を苦労して解読し、自身の研究テーマと関わりのある測定手法や専門領域については多少分かったように感じました。しかし、

  • じゃあ電気化学の本質ってなに?
  • その現象はどんな原理/原則に基づいているの?

といった肝心な点を、B4当時の私は何一つ理解していませんでした。

この本の最大の長所は、電気化学とはどういうものなのかが非常に簡潔に解説されている点です。もし研究室配属初年度にこの本を読めば電気化学分野の概観やエッセンスを手っ取り早く掴めますし、読むのと読まないのとではゼミ発表や卒論の考察の深さがまるで違ったものになるでしょう。

書店には様々な分野の図解本が売られています。どれも本当に分かり易いので、何か新しい分野に取り組もうとする方は、難解な教科書の読解に苦しむよりもまず図解本でパパっと概観を掴んでしまい、その後また専門書に立ち返ればOKです。

電気化学測定マニュアル 基礎編

次にご紹介するのは測定手法に関する専門書です。私がこの本ともっと早く出会えたらよかったのに…と感じた理由は、電気化学分野における基本的な測定手法について一気に頭へ入れられるためです。

この本との出会いはM1の6月のこと。膨大な実験データを論文化しようとしているまさにその頃だったと思います。先輩と似たような実験をしていたため(どうしてその測定手法を採るのか)などと深く考えた経験があまりなく、この本によって色々な測定法の目的や長所を知り、

かめ

あぁ、だからこの方法で実験していたのか!

と首がもげるほどウンウン頷き納得したのを大変よく覚えています。

分かり易さももちろんですが、この本の素晴らしい所は自分にあまり馴染みのない測定手法についても一通り頭に入れられる点です。もしかしたら一生使わない知識かもしれませんが、自分の頭の中にジャンル問わず様々な知識を入れておくと、ふとした時に研究での行き詰まりを打開するキラーアイテムとして躍動するタイミングがあるかもしれません…

自分の実験を進めているとついつい視野が狭くなってしまい、測定手法の選択を誤ってしまうことが稀にあります。そんな時にこのマニュアルを開けば、

  • どうやったら自分が調べたい物性をもっと詳しく調べられるかなぁ?
  • この方法で無理なら他のこのやり方を試してみるか!

と試行錯誤の質が一段上がり、研究生活が一段と楽しくなってくるのです。なお、この本の上級編として、電気化学測定マニュアル 実践編というものが。こちらは基礎編と比較するとかなり高レベルのため、まず基礎編をきちんと理解してから挑戦すると、挫折せずに読み進められると思います。

電気化学分野の論文をきちんと理解するには、実践編まで読み解き深く理解しておく必要があります。ただ、私の経験上、B4の間は自分の研究で手一杯なはずですから、B4のうちは基礎編の丁寧な理解に集中し、修士課程に入ってから実践編に入るのが丁度良いペースだと考えます。

かめ

もちろんメチャクチャ意欲のある人は、学部生のうちに応用編まで進んじゃっても全く問題ありません。もし同じ研究室でB4の子が応用編を熟読しているのを見かけたら、私はきっとビビッてその場から全速力で逃げ去るでしょう笑(それだけ”すごい事だ”という意味です)

基礎化学コース 電気化学

最後に皆さんにご紹介するのは、電気化学のthe・王道たるコチラの一冊です。実は私、この本を研究室生活が始まった直後に購入し、”読破してやろう”と意気込みチャレンジした経験があります。ただ、B4時代には難しくて読破できませんでした。M1の夏休みにようやく通読することができました。このテキストには電気化学の神髄が書かれています。電気化学のうわべだけしか理解していなかったB4時代にはサッパリ理解できなかったのです。

  • 上に挙げたような図解本による大枠の把握
  • 電気化学測定マニュアル読破や研究遂行による知識の習得

これらによってようやく基礎化学コース 電気化学を読み解く下地が完成しました。そしてM1になり、ようやく内容がスッと頭に入ってきた形になります。

自分が挫折した経験があるため、この参考書をB4に推奨するのは少々心苦しいものがあります。しかし、この本を自分の血肉とするのが早ければ早いほど電気化学の研究が楽しくなる時期もそれだけ早まってきますから、(勇気のある方には是非読破にチャレンジしてもらいたい!!)と願い、この記事で紹介しようと思ったのです私はこの本と出会ったおかげで、電極/電解液の界面現象について分かったフリをしなくて済むようになりました。加えて、自分の研究テーマをより一層魅力的に感じられるようにもなりましたし、いまやっている研究がまさに教科書の続きを書き足す研究なので、

かめ

自分の研究成果がいつかこの本に載ればいいなぁ…

などとウキウキしながら研究を楽しむ原動力となってくれています。

上の2冊と合わせて、こちらの本も一度手に取って読んでみて貰いたいです。もし学部生時代にコレを読み切り、電気化学の本質を掴んでしまえば、少なくとも修士課程は余裕で乗り切れるだけの専門基礎知識を得られるでしょう。

最後に

私が研究室生活初年度で読んでおけばよかったと後悔している本は以上3冊です。

まとめると、

  1. トコトンやさしい電気化学の本:電気化学とは何か、人に説明できるようになる一冊。電気化学の概観の把握やベースとなる考え方を習得可能。
  2. 電気化学測定マニュアル基礎編:電気化学の測定手法に関する深い理解が得られる一冊。手元にあれば頻繁に見開くこと請負です。
  3. 基礎化学コース 電気化学:電気化学の本質が書かれた一冊。配属初年度での通読は難しいかもしれませんが、大学院に入ってからでも読めば必ずプラスになる書籍です。

このような形になります。

読み進める順番としては①→②→③がオススメです。もし他に推奨できる本があれば、随時追記する事にいたします。以下の画像をクリックするとAmazonのページに遷移します⇩

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