イギリスへの長期留学を前夜にして想うこと ~羽田空港第三ターミナルにて~

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1としていただいている給与と科研費をフル活用し、2023年10月2日から2024年3月29日まで約半年間、英国・オックスフォード大学へ留学します。

この記事では留学前夜ということで、留学を前にして想うことについて色々と記してまいります。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

所感:こわ楽しみ

新千歳→羽田 NH54便 ボーディングブリッジにて

一人で日本を離れたことは過去に一度もありません。小学生の頃、親に連れられハワイとグアムに行った経験がある程度。宿や航空券の手配、その他諸々の手続きは全て親がやってくれた。家族や親戚に囲まれていたので国内旅行とほぼ同じですね。

今回の留学は全く違う。行き先はイギリス。お供はゼロ名。旅の手配はもちろん自分で。旅費交通費や食費、雑費を全て自分のポケットマネーから捻出します。オックスフォードでは誰一人として名前と顔を知っている人がいない。受け入れてもらえる研究者さんとは当地で初めて顔を合わせる (”私”だと認識してもらえるのかな…)。渡航する1週間前にようやく宿舎が決まりました。ソレはすんごく良かったのですが、家賃が水道光熱費込みで月675£ (180円/£なら12万円)とバカみたいに高い出費に (オックスフォード市内では安い方)。正規留学や交換留学なら安いオックスフォードの学生寮に入れたらしい。私費で留学する学生を受け入れるキャパがカレッジにはなかったみたいです。

初の単独渡航を前にした際、『怖い』というマイナスな感情が一番に湧き上がってきました。せめて知っている研究者の元へ行くならまだマシなのですが、相手の人柄は知らないわ、果たして何を言われるか分からないわで”行って果たして大丈夫なのかな…”と心細く感じてならないのです。初めての留学。不安なのは当たり前。それでも怖いものはやっぱり怖い。半年間、自分は果たして命を繋いでいけるのだろうか…と。指導教員は「何とかなるさ^^」と心配し過ぎないよう励ましてくれた。”ナーバスになっても仕方がないよ”とポジティヴ精神を植え付けてくれた。まぁ、行ったら行ったでなんとかなってしまうのだろうと思う。不安のピークはおそらく今。ココを乗り越えられれば後は楽になっていく一方、、かな。

『楽しみ』も無いわけではありません。そりゃそうだ。学問の都・オックスフォードで超一流の研究者のもと研究をさせてもらえるのだから。研究者さんの信用を勝ち取り共同研究までこぎつけたい。次の論文は北大と国研とオックスフォード大の三位一体でNature系の超高水準な雑誌への投稿を目論みたい所。高3の3月、京大に落っこちて泣いていた自分がオックスフォードへ。高3の自分に「8年後、お前はオックスフォードにいるぞ!」と伝えてもきっと信じないでしょう。ちなみに私、”目”を指す英単語『eye』のことを中一では「いぅい」と読んでいました笑。今はもう正しく読めます。「アィ」ですよ、「アィ」。「いぅい」とは決して読みません。

憧れだったハリー・ポッターの舞台で半年間も暮らすことができる。滞在中は研究はもちろん、オックスフォード中の観光地巡りにも精を出したいと思います。留学へ行く怖さと楽しさはちょうど半々の割合です。こわ楽しみって感じかな?言葉にするのがかなり難しい、非常に込み入った精神状況。行きたいか/行きたくないかで云えば間違いなく「行きたい」の一択。そりゃ行きたいさ。留学するためD進したのだから行かなきゃおかしいじゃないかって話。

オックスフォードで何を得たいか?

NH54便 新千歳空港テイクオフ直前

オックスフォードでは

  1. 研究に関するスキルや知識、研究を進める思考フレームを得る
  2. イギリスの文化を味わい尽くす
  3. ”自分でも海外で暮らしていけるんだ!”という矜持を得る

この3つを目標としています。

世界屈指の大学へ行くのだから研究をやらなきゃ絶対に損。可能な限り集中して研究に取り組みスキルを充実させたい。研究室のゼミや研究会にもできることなら参加したい。一流大学の学生が何を考え、どう発表を行うのかを眼や脳に焼き付ける。もしかしたら北大の学生たちと頭のスペックはたいして変わらないかも。ソレも含めて確認する。『あのオックスフォードだから…』と神格視しすぎず冷静に評価を下したいです。

ハリーポッターを始め、イギリスの文化にはどことなく心惹かれるものがあります。高貴というか、上品というか、日本にはない不思議で幻想的な作品が多く見受けられる。日本に居てさえ紙面の上からそこはかとない魅力を覚えるのです。まして、発信地のイギリスへ行ったらたちまち魅了されること請け負い。イギリス文化を骨の髄まで味わい尽くす。周りの人にイギリス文化を紹介できるレベルまで。オックスフォードを拠点として、ロンドンやケンブリッジ、エディンバラやマンチェスターなど縦横無尽に駆け巡りたい。食事は……フィッシュアンドチップス以外、あんまり期待しておりません笑!

”今回が初めての海外挑戦です”と先ほどの章で記述しました。この留学がうまく行くか/行かないかは全くの未知数、よく分かりません。いくら辛くて悲惨な目に遭おうが『自分でも海外で暮らしていけるんだ』との確かな手応えを得ておきたい。言葉が通じた!家が見つかった!一か月生き延びられた!など、小さな成功体験を積み重ねる事で着々と矜持を育みたい。今後避けられぬ海外生活の定礎として今回の留学を位置付けています。自分や日本人の未来のために絶対に手応えを得なくちゃならないのです。

帰って来られたら儲けもの

バイバイ、北海道!

”何が何でも生きて帰ってくるぞ”と実はあんまり思っていません。海外へ行くのが夢だった。それが叶えばもうどうなってもいい。命への執着はありません。『最善を尽くす。帰って来られたら儲けもの』程度の大変あっさりとした心持ち。最近になり、私の持病がまた一段と悪化してきました。音を正常に処理できなくなって人と一緒にいるのが辛い。近くでしつこく咳払いや鼻水をすすられたが最後、心臓が止まって胸が苦しくなる。稀に卒倒しそうになることも。先週末も札幌駅での買い物中に後ろで鼻水をしつこくすすられ死にそうになった。”いつ、誰に音で殺されてしまうか”とビクビクしながら暮らすのには疲れた。 (死んだ方がマシじゃないか?) と何度も自殺が頭によぎった。それでも海外へ行くまでは死ぬわけにはいかない。”せめて海外の地を踏んでから朽ち果てたい”とここまで何とか耐えてきたんだ。自分の唯一の生き甲斐としてこの一年間、目の前に燦然と輝いていたオックスフォードへ早く行きたくて仕方がない。目指す価値のあった場所なのか、自分はこの街に相応しいのか、一刻も早く答え合わせを済ませて心の靄を払拭したい。

日本以外では鼻水をすするとマナー違反なようですね。鼻水をすするぐらいだったらさっさとかんでしまえばいいじゃないか、と。オックスフォードで鼻水に殺されなくて済むのは本当に安心、ホッとします^^。オックスフォードで住むフラットの住人は静かな人だったらいいんだけどなぁ。

最後に

羽田空港第三ターミナル 5F展望デッキにて

英国・オックスフォード大学への留学前夜に想うことはコレで以上になります。

これから羽田空港第三ターミナルにて耳栓と”アィ”マスクを付けて野営 (←英語の勉強が役立ちましたね♪)。野宿はコレで二回目です。一度目はB2の12月、沖縄で100kmマラソンを走った当夜に羽田のベンチで寝た経験が[別ブログの記事へジャンプ]。ホテル代を浮かせるために野営作戦はやむを得ない。そのぶん明日、飛行機の中で柔らかい椅子に座ってぐっすり寝ます。明日08:50 (JST)、羽田空港からブリティッシュ・エアウェイズでヒースロー空港へと出発します。15時間近いフライトということでお尻が壊れないかだけ心配です。

以上です。

かめ

今後、当ブログ『札幌デンドライト』にオックスフォード大学への留学体験記を続々投稿していきます。”面白いな”とか”応援してやってもいいかな”と思った方はその都度ぜひ、コメント欄にて声をお聞かせ下さい (めちゃくちゃ励みになります^ ^)

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 音過敏の持病があったのですね。それは本当におつらいでしょう。
    他人には理解しづらいでしょうかれど、わかる気がします。
    私の場合はジムなどで下駄箱から靴を出して、玄関にばんっ!と投げるような音がした時、上半身の神経がビクンと反応して、硬直しますし心臓バクバク(私が履いている最中、ま横に投げおきする人もいて驚く)。
    靴は腰をかがめてそっと置けばいいのに、どんながさつな育ちをしてきたんだとか、音に気にならないのか?とか靴だって痛いだろうとか思います。
    そういった恐怖感は何か遠因があるかもしれませんし、苦手になった経験がきっかけになっているように思います。
    イギリスでは鼻すすり野郎はいないと思うので(とはいえ、ハンカチでちーんと噛むのはありでしょう)発作的な症状が起きないように祈念いたします。
    私は以前電車内で、あまりに鼻をすする人がいて、どうぞとポケットティッシュを差し上げたことがあります。すごく驚かれたので、相手は息を吸うくらいの日常癖だったかもです。
    思いっきりUKを満喫、体当たりしてくださいね~!

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