こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う現役北大院生のかめ (M2)です。
修士課程へ入学後、日本学生支援機構(JASSO)から無利子の第一種奨学金を借り、半額免除をアテにして全世界株インデックス投資を行っています。
この記事では、JASSOの第一種奨学金を借りるメリットとデメリットについて解説します。
もしかすると読者の皆さんの中には
えっ、無利子で借りられるものにデメリットなんてあるの?
とお考えになった方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、何事も良いことばかりじゃありませんし、奨学金に関してもちゃんとデメリットが存在します。
それに加え、ネット上には奨学金を借りるメリットしか情報が転がっていませんので、(デメリットも解説しておかなくちゃひどい目に遭う人がいるかもしれないなぁ…)と危機感を感じ、損するデメリットもこの記事を執筆しようと思い立ったのでございます。
それではさっそく始めましょう!
奨学金を貰うメリット
まずはメリットから話していきます。
奨学金を借りるメリットは以下の2つです。
- 奨学金返済免除になれば100~200万円GETできる
- だらけがちな研究室生活でも緊張感を持って過ごしていける
以下で詳しく述べていきます。
返済免除になれば100~200万円ゲットできる
学士課程とは異なり、大学院修士課程では奨学金の返済免除制度が設けられています。
修士課程では月8.8万円ほど借りる事ができ、それを2年間借り続ければ200万円以上もの大金となるわけですが、ある特定の評価基準で専攻内において上位3割に入れば返済が免除となり、修士課程修了時に半額(100万!)ないし全額(200万!!)をGETできるのです。
もし全額返済免除となったならば、月換算で8.8万円を稼げる計算になりますね。
バイトで月9万円近いお金を稼ごうと思えば相当働かないといけませんし、そうなると研究を進める時間もかなり削られ、卒業すら危うくなってしまいかねないのです。
仮に半額返済免除だったとしても月換算で4.4万円を手に入れられます。
なので、もし返済免除を勝ち取る自信があるならば、修士課程入学後は必死にバイトに打ち込まずとも良くなるのです。
返済免除を目指して一生懸命研究すれば間違いなく指導教員から感心の目を向けてもらえるはずですし、研究するだけでボーナスとして毎月8.8万円貰えるのだから借りない手はないでしょう^^
なお、上で述べた返済免除制度があるのは”第一種”の奨学金のみとなっています。
利子付きの第二種奨学金に関してはこうした返済免除制度が設けられていませんので、奨学金申請の際は種別を間違えないよう十分注意してください。
返済免除ポイントを貯めるべく、緊張感を持ちながら研究室で生活できる
研究室生活へ慣れていくにつれ、配属当初に持っていた緊張感が少しずつ緩んでしまいがちです。
(まぁ、明日でいいかっ♪)と作業を後回しにしてしまったり、卒業要件を上回るため最低限の努力しかしなくなってしまうのです。
その点、奨学金の返済免除レースにエントリーすれば、ピリッとした心持ちで研究室ライフを送ることができるでしょう。
研究を進めなくては返済免除ポイントが加算されないため嫌でも実験に打ち込むようになってきますし、そうなると学会発表や論文投稿などといった卒業要件を楽々クリアできるのです。
ちなみに、先ほど申し上げました”上位3割”とは、自分の同じ大学・同じ専攻・同じ学年の中での争いとなります。
貴方が東大生や京大生ならばライバルも手強いため返済免除は茨の道ですが、地方大学ならばライバルも相対的に弱く、比較的楽に免除を勝ち取れるみたいです。
メリットについて解説した所で、次はデメリットについて説明していきます。
奨学金を貰うデメリット
奨学金を借りるデメリットは以下の3つでございます。
- とにかく最初の手続きが面倒臭い
- 返済免除ポイントをエサにされ、指導教員からこき使われる時がある
- 注意しないと、周囲との人間関係が崩れてしまう可能性がある
以下で一つずつ解説します。
とにかく申請手続きが面倒臭い
奨学金を借りるには、まずJASSOへ”借りたいです”との意思表示をせねばなりません。
大学院試験合格時/もしくは大学院入学直前にその時期がやってきまして、そこで自身の名前や住所を書類に記載して提出する必要があるのです (超アナログですね…)。
それが済めば2ndステップといたしまして、Web申込サービス・スカラネットへの情報登録作業が我々申請者を待ち受けています。
収入状況に関して計算したり、奨学金が必要な理由を数百字程度でパソコンで打ち込んだりするのです。
私自身、非常に面倒臭がり屋なので、
借金をするのにこんな煩雑な手続きが必要なのか…
とかなり面倒に感じました。
この参入障壁は生半可な気持ちで奨学金を借りようとする人間を弾き出す効果があるのですが、せめてもう少し手続きを簡便にしてくれると助かりますし、バイトではなく研究に打ち込む人材を多く輩出できると思うのです。
返済免除ポイントをエサにされ、指導教員からこき使われるおそれがある
返済免除となるには免除ポイントを稼がねばなりませんが、ポイント獲得基準を見てみますと教員が喜びそうなものばかりです。
- 学会参加:一回5点、国際学会なら更に上乗せ
- 論文出版:和文なら8点、英文なら10点、共著なら4点or6点
- RAやTAによる教育活動の貢献:5点
このように、ポイントを得るにはかなりガッツリと研究活動に励む必要がありまして、ヒーヒー研究をしてようやくチョリンッとポイントがたまるのです。
教員の多くは過去にJASSO (当時は”育英会”といいました)の奨学金にお世話になっているためこの点数基準を熟知しており、学生が奨学金に申し込んでいると知った途端、先生からの依頼件数が目に見えて増えていくのです。
ねぇねぇかめちゃん、今ヒマでしょ~?この雑誌に論文出してみない?めっちゃポイント貯まるよ^^
今度この学会出てくれる?免除ポイント貯まるからさ^^
と、事あるごとに無邪気な笑顔で学生を沼へといざなうのです。
返済免除ポイントをエサに学生を働かせるのはあまりにズルいと思います。
ですが、ポイントが貯まればコチラに利益が生じますし、先生サイドも学生が研究成果を挙げてくれると大いにメリットがありますので、「正直何とも言えない」というのが私の感想となります。
なお、私の場合、私が返済免除基準を知るまでは指導教員の一方的なワンサイドゲームでした。
しかし、M1の後期になって返済免除基準を知った私は、「これ以上頑張ってもポイント貯まりません」と、論理的に先生を打ち破る大反攻作戦に打って出ました。
- 学会発表ポイントは20点までしか貯まらないので、既に20点貯まっている私は修士の間にこれ以上出ても意味がないし
- 論文出版ポイントに関しても既に満点だから、いま一生懸命論文を出しても返済免除レースを勝ち抜くのに何ら意味をなさないし
こうやって理詰めで逆襲を開始し、ついに指導教員からの依頼を制すことができたのです。
なお、自分の将来にプラスになりそうな依頼は二つ返事で受け入れています。私が嫌なのはポイントをダシにこき使われることであって、必要性についてちゃんと納得できれば喜んで依頼に応じるのです。
返済免除レースは身内での勝負のため、周囲と仲が悪くなってしまう可能性がある
前に述べた通り、奨学金返済免除レースは同級生との争いとなります。
お金がかかっているだけに血で血を洗う戦争となりますし、みな真剣に勝負するため免除を勝ち取るのは決して簡単ではないのです。
学部時代は喜んで講義の過去問を見せてくれた学友も、修士からは自身が損するのを避けるため、過去問を見せてくれなくなる可能性があります。
過去問を持っているのに「ごめん、過去問持ってないわ~」と嘘をつかれたり、時にはニセ情報でコチラを攪乱させてきたりする場合もありますので、返済免除レースに参加する際は周囲と多少ギスギスした関係になるかもしれない潜在的リスクをちゃんと押さえておくべきです。
まぁ、ぶっちゃけた話、100万円や200万円など、就職後に会社からのボーナスで一瞬のうちに稼げてしまうのです。
だからいま無理して返済免除目指して苦しむ必要もないのではないかと思いますが、企業人生活初年度に数百万持っていればかなり遊べるのもまた真理ですから、その点に関しては各々の価値観と照合し、返済免除レースへの参加の是非を判断する一助にしてもらいたいです。
まとめ
JASSOの第一種奨学メリットとデメリットに関しては以上となります。
まとめると、
メリット(2つ)
- 返済免除になれば数百万GETできる
- だらけがちな研究室生活にハリが出る
デメリット(3つ)
- とにかく手続きが面倒臭い
- 返済免除ポイントをダシに、先生からこき使われる時がある
- 注意しないと周囲とギスギスした関係になってしまう
このような形になります。
この記事を読み、
奨学金を借りるのはメリットばかりじゃないんだなぁ…
とお判りになってもらえれば幸いです。
賢明なる読者様にはメリットとデメリットをしっかり見定め、”そもそも奨学金を借りる必要があるか否か”といった所から考えて頂きたいと思っています。
以上です。
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