こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (M2)です。
B4時に研究室へ配属されて以来、先輩や指導教員からアドバイスを受けつつ、学会やゼミ発表に向けておびただしい量のプレゼン資料を作ってきました。
この記事では、数多の資料作成経験で培った経験を元にスライド作成時に注意すべき3つのポイントを解説していきます。
- どうやってスライドを作ればいいか迷っている学部生さん
- もっとスライドをブラッシュアップしたい院生さん
こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧頂きたいと思っています。

それでは早速始めましょう!
私について
・M2の2/11時点で原著論文4報(海外1st:2報, 海外3rd : 1報, 国内1st : 1報)[プロフィール]
・国内の化学系全国学会で学会賞受賞 (M1の3月) [関連記事]
・学振DC1内定 (M2の9月) [関連記事]
・IF23の海外雑誌に筆頭著者としてアクセプト (M2の10月) [関連記事]
スライド作成時に注意すべき3つのポイント
注意すべきポイントは以下の3つになります。
- 原稿を指定講演分数×300文字で作る
- スライド中の文字を減らし、視覚的に分かりやすいデザインにする
- 必ず何度も発表練習を行い、得た気付きを元にスライドをブラッシュアップする
以下で一つずつ解説します。
ボリューム:原稿は指定講演分数×300文字で作る。スライドにはその文字数で伝えきれる内容を盛り込む


まずはスライドのボリュームに関するお話です。
プレゼン本番に臨むにあたり、多くの方は発表原稿を作成し、それを読みながら練習すると思います。
その際、【原稿を指定講演分数×300文字で作る】のが重要なポイントとなります。
もし発表時間が8分ならば8×300=2400文字、発表時間が15分ならば15×300=4,500字程度で原稿を作ってみて下さい。
この”300文字/分”というのはNHKのアナウンサーに相当します[参考文献]。聴衆にとって一番聴き取りやすいペースが分速300ワードというわけです。
普段から少し早口めの人は320文字/分程度盛り込んでも特に問題はありませんし、逆に発話速度が遅めの方は270~280文字/分程度で原稿を作ると丁度良い分量になってきます。
私の場合、若干早口でしゃべる癖がある一方、話の途中でよく言葉がつっかえてしまう傾向があるため、多少言いよどんでも発表時間内にプレゼンを終えられるよう305文字/分程度のボリュームで原稿を作成しています。
どのぐらいのボリュームで原稿を作ればいいか迷った人は、とりあえず発表分数×300文字/分で原稿を用意してみて下さい。
何度か練習していくにつれ、各々にピッタリな発表速度が見つかってくるはずですよ👍
自分の特質に合わせて原稿を作成してみると、スライドと原稿とでミスマッチが生じるはずです。
もし時間が十分にあるなら話して伝えたい内容であっても、時間が足りず伝えきれなくて説明不足で終わる箇所が確認されると思います。
そんな時に指標となるのも、『発表分数×○○文字/分』から割り出された合計文字数となってきます。
スライドには合計文字数で伝えきれる範囲内で内容を盛り込むようにして下さい。
文字数とスライド内容の最終的な擦り合わせについては3つ目の項目・発表練習にて行います。
まずはスライドを完成させることに注力し、細かな修正は後回しにしてしまって構いません。
スライド中の文字を減らす。伝えたい情報を絞りこみ、相手の印象に残るスライドを目指す


次はスライドのデザインについてです。
スライド中の文字数を出来るだけ減らし、視覚的に分かりやすく作ることを積極的に心掛けてもらいたいです。
学会で他の人の発表を聴いていても、文字だらけで黒っぽいスライドは見にくいし理解が困難です。
- ”上昇”や”増加”は⇧
- ”低下”や”減少”は⇩
など、まずは(どうにかして文字を減らせないかな?)と減らせる要素をお探しになってみて下さい。
ココでちょっと難しいのが、文字を減らしすぎても情報が伝わり切らず、聴衆を混乱させてしまう所です。
必要十分な文字量についてはプレゼン経験を積むにつれ少しずつ判ってきますから、最初は(ちょっとやりすぎたかな…)と感じるほど思い切って文字量を減らすと良いでしょう。
伝えたい情報を絞り込めば、(逆説的ですが)相手により多くの情報を伝えることが可能です。
多くの情報を広く・浅く伝えても内容をあまり印象に残せないのに対し、ピンポイントで2~3点ほどに絞って詳しく説明するとそれぞれの内容を相手の脳裏に強く印象付けられます。
スライド中の文字を減らす過程で発表全体の情報量をも抑えられてくるはずです。
発表文字数と同じぐらい【スライドの情報量】も意識して資料を作ってみて下さい。
説明の際、模式図を用いることで相手が素早く理解できます。
私は現在、化学業界ではメジャーな測定手法をマイナーな実験条件で使っているため、学会で私の発表を初めて聞いた研究者さんからよく



私もこの測定手法を使っていたことがあるんだけど、あなたの実験内容がいまいち想像つかないんだよね…
と質問をいただきます。
質問に答える際、「時間の都合上説明できなかったのですが…」と補足スライドにある実験条件の詳細な模式図を見せるのです。
研究者さんはみな頭が良いので、



あぁ、そういうことだったのね。良く理解できました^^
と図を見た瞬間にお分かりになって下さります。
私の例のように、質問が予想される個所はあらかじめ補足資料を用意しておくと良いでしょう。
限られた質疑応答時間で多くの質問をさばくため、補足スライドも視覚的な理解を促せる模式図を中心に作って下さい。
作成後は何日間か連続で発表練習。気付いた点を適宜ブラッシュアップ!


最後はスライド作成後のお話です。
スライドを使って時間を測りながら声に出して発表練習を行って下さい。
申し訳程度に一度だけするのではなく、”何日間か連続で”練習をしていただきたいです。
たとえ一度目の練習では(完璧やん…!!)と欠点がないように思えたスライドであっても、何度か練習していくうちに”もうちょっと良い言い回しはないかな”と改善の余地に気付ける場合があるからです。
私の場合、どんな発表であっても最低3日連続で発表練習を行います。
そのようにして一度スライドを作り上げ、中一日挟んで再度発表練習して本番へ挑むようにしています。
先ほど少し書いたように、発表練習にはスライドと原稿(文字数)をすり合わせて微調整する役目があります。
- マクロ的な視点ではスライド全体を通した情報量の調整を
- ミクロ的な視点ではスライド一枚々々のデザイン補正を
これらを絶えず行えばスライドがどんどん良くなってきます。
私はこのブラッシュアップの作業を『命を吹き込む』感覚で行っています。
スライドを活き活きとしたデザインに作ることで、命ある生き物として発表のお手伝いをしてもらうわけです。
最後に
研究発表で使うスライド資料の作成に関する注意点は以上です。
まとめると、
- 原稿を指定講演分数×300文字で作る
- スライド中の文字を減らし、視覚的に分かりやすいデザインにする
- 必ず何度も発表練習を行い、得た気付きを元にスライドをブラッシュアップする
このような形になります。
スライド作成技術はセンスではなく、発表経験とデザイン等の勉強により著しい改善が見込まれます。
私がスライド作成の勉強に使った本を以下に記すので、もしよければコチラの方も参考にして頂ければと思います。
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