【文科省さん】博士の数を3倍にする前に、ポストと研究者の給与を増やしてもらえませんか?

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D1)です。文科省が2040年までに博士学生の数を今の3倍にしよう!という計画 [文科省 博士人材活躍プラン]を発表したと聞きつけ、急遽記事を書いております。

正直、「頓珍漢な施策だなぁ…」と開いた口が塞がりませんでした。官僚ってホント、過去から学ばないですよね。いったい何を考えて政策を作っているんだろう。いや、少しでも考えて政策を作っていればこんな的外れな政策を作るわけがない。彼らはPDCAサイクルのうち、P (Plan, 計画)とD (Do, 実行)しかやってきませんでした。C (Check, 検証)とA (Action, 改善)がすっかり抜け落ちている。大失敗に終わったポスドク1万人計画のCheckとActionはどうしたんですか?それらを怠り、また新たに似たような計画を打ち立てても、過去と同じような悲劇が再生産されて失敗に終わるだけでしょう。

確か中央省庁って、常人より遥かに頭の良い人材が大勢いらっしゃるんですよね?東大生を筆頭に、京大や阪大、その他各大学の超トップ層の人間が集積されているはず。日本を代表する組織が真剣に議論してできた政策がコレか、、、って感じ。果たして日本の未来は大丈夫なのでしょうか?本当に心配。気がかりで仕方がない。

文句ばかり言っていたって全く生産性がありません。そこでこの記事ではイチ現役博士学生として、文科省の『博士人材活躍プラン』の①何がおかしいか、また②代わりにどうすればいいか (対案) 、これら2つを記していきます。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

交付金や修了後のポストを増やさず学生数を増やそうとするな

今回の計画発表に先立って行われたポスドク1万人計画は、前述の通り、大 失 敗に終わりました。博士進学者やポスドクを増やしたのまでは良かったものの、彼らが大学院修了後に勤める大学や国研、企業のポストまでは増やさなかったからです。1万人のポスドクの追加需要が生じたから早急にポスドクを1万人増やすべき、なら理屈が通っている。需要に対して人材を適切に供給すれば、各界は成長速度を衰えさせずにどんどん拡大していけますから。需要も無いのに供給側の勝手な都合で高度人材を増やしすぎたのが問題。既に人材数が間に合っている所へ新たに人材を送り込んでも「要らんがな」でおしまい。皆さんだってお腹いっぱいの時にステーキを食べたくないでしょう?ステーキの肉がいくら高級であろうが、「お腹いっぱいだからもう食べられないよ…」と突き返してしまうはず。

国の政策で大量のステーキ、失礼、ポスドク研究員が誕生した結果、限られたポストを巡って熾烈な椅子取り合戦が発生しました。生きるか死ぬかの争いです。皆、目の色を変えて戦いました。ごく少数の勝者と多数の敗残兵を生み出して終了。行き場を無くして社会を漂流する大勢の高学歴人材が生まれたのです。せっかく博士課程まで行ったのに、コンビニや道路工事のアルバイトで食いつながざるを得ない人が大勢現れた。【高学歴ワーキングプア】なる哀しい言葉もこのとき産み出されてしまいました…

つい先日発表された『博士人材活躍プラン』を見たとき、「ポスドク一万人計画の再来か…?」と全身に鳥肌が立ってしまいました。文科省の勝手な都合で博士人材の数を増大させる。博士人材の需要があるか/ないかの慎重な検討もしないまま、官庁の都合だけで一方的に増やしていく。博士学生が修了したあとの事情は「企業に任せた!お前ら、ちゃんと受け入れろよ!」と責任を押し付けていらっしゃるよう。無責任極まりありません。ていうか、ポスドク一万人計画と構造が全く一緒じゃないですか。

いくら昔より企業の博士人材の受け入れが積極的になったとはいえ、企業以外の研究ポスト数は依然としてそこまで増えていません。むしろ、大学の教員ポスト数 (*正規職) は減少の一途をたどっています。学生数を増やそうとする前にまず、ポストを増やしていただけませんか?アカデミックポストの数が増えれば、文科省が主導せずとも自ずと博士学生の数は増えていきますから。もしもポストが増えなければ、今から3倍に膨れ上がった博士学生の面倒を見切れなくなりますよ。3倍もの学生の世話を一体誰がすると思っていらっしゃるのですか笑?また、大学への交付金も減らさず、逆に増やして下さい。学生が研究を進めるのに困らない程度のお金を配ってから学生数を増やそうと試みて下さい。お金は増やさない、かつ博士学生数は3倍、となったら研究室の運営が破綻すること必定。現実離れした政策の立案を行う前に、コピー機の運用や学会の出張にさえ汲々としているボロボロなアカデミアの実状をしっかりと見ていただきたいものです。

今の学生や教職員を救うのが先。待遇を改善すれば学生数は自ずと増える

文科省曰く、博士学生を増やすべき理由は「他の先進国と比べて単位人口当たりの博士号保持者数が少ないから」だそうです。”他の国より少ないから増やす”というのも何だか貧弱で悲しい理由ですよね。我らが日本は、博士号保持者数が少ないにもかかわらず、ほとんど全ての学術分野の基礎知識を母国語で学習可能な学術先進国。そんな国、ほとんどありません。日本って実は凄い国なんです。博士号保持者の数が少ないからって文明水準的に劣っているわけでもない。昨年、イギリス留学してよく分かったけれども、イギリスなんて全然大したことない。日本の方がよっぽど住みやすくて知的な雰囲気が溢れています。

日本の博士人材は粒ぞろい。日本学術振興会特別研究員を筆頭に、世界の先進国に伍する超ハイレベルな国際的競争力のある人材を大勢揃えているのが日本。日本の国力は単純に博士人材の数を増やしただけでは向上しないでしょう。博士の数を増やせば増やすほど質の低い博士人材が大学から濫発されるだけだから。もしも博士人材の数を三倍にしてしまったら、日本の大学が発行する博士号の国際的信用度が急落するに違いありません。諸外国から『なんであんなに博士号保持者が増えているんだ?きっと認定基準が甘いんだろう』と博士号の価値を認めてもらえなくなってしまいます。

国主導で学生数を増やそうと試みるのではなく、少数精鋭な今の博士学生をこれ以上、海外へ流出させないことが重要なのです。日本から出ていく人材数を減らすだけで日本の抱える博士人材数は増えます。人材の海外流出を防ぐために、博士学生や大学教員、国研職員の給与を増やして下さい。「日本っていい国だな。これだけしてくれた国に恩返ししたいなぁ…」と自然に思えるほどの厚遇を用意して貰いたいのです。給与をにしてあげたら、みな大喜びします。”お国の為に”と今以上に真剣に研究へ打ち込み、質の高い研究成果が様々な分野から次々と出てくるでしょう。教職員の組織運営に関する仕事も少し減らしてあげて下さい。研究について考えられる時間を増やしてあげなくちゃ、研究に集中できませんから。待遇を改善すれば学生数なんて自ずと増えてくるんですよ。修士で就職するより博士進学した方が高収入なら、修士学生は博士入学試験へ大挙するに違いありません。

かめ

学振DCって、制度が発足した時以来、給与が20万円から一円も上がっていないらしいです。月々20万円の給与を30万円、いや35万円 (&非課税)にするだけで博士課程は大人気になりますよ

企業へ博士人材の雇用を訴える前に、まず中央官庁が博士人材の採用数を3倍にしてくれ

中央官庁さん、【先ず隗より始めよ】という諺をご存じでしょうか?『大きな計画を進めるには、まず身近な所から手を付けていくのが良い』という意味です。

学生数を3倍にしたい? …分かりました。であれば、まずは中央官庁さんから博士人材の採用枠を3倍に増やして下さい。博士人材活用プランをポスドク一万人計画の再来にしてはいけません。悲劇をこれ以上繰り返す時間的余裕は日本にもう残されていないはずです。路頭に迷う博士人材が増えないよう、官庁側が博士人材の異次元な採用を行う不退転の覚悟をお見せ下さい。入庁後の博士人材の積極的な活用もセットで一緒にお願いします。官庁が産業界へ博士人材の積極的な雇用を訴えるのは、官庁自らが博士人材を積極採用した後であるべき。官庁の都合で人材供給を増やすのだからそれぐらいやって当たり前でしょう。

最近、官庁の博士人材数が増加傾向にあるようです。博士人材数を3倍にするなら、官庁の博士採用数も3倍にしなくちゃ筋が通りませんね♪

最後に

文科省の発表した博士人材活躍プランに対して言いたいことはコレで以上です。不幸な思いをする人間が大量生産されないよう祈って記事を締めくくります。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

カテゴリー

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次