馬術競技と研究からマラソンへ転向した北大化学系大学院生かめ (D2) です。大学進学と同時に趣味でランニングを始め、学生生活八年目にしてマラソンを2時間42分で走れるように。
趣味がランニングだと伝えた際、よく「あんな苦しいことをよく続けられるね」と言われます。まして、お金を払ってマラソン大会へ出場するなど正気の沙汰ではないと驚かれる。私がもしも走らない側の人間だったら同じことを思っていたでしょう。自分自身、走るのが遅かった中学生時代のマラソン大会は本当に辛かったし、あんな大変な思いをわざわざするためにお金を払う意義が考え付きません。大学生になり、自腹でマラソン大会へ出場してみて、マラソンの魅力に開眼してしまいました。コレは一度やってみなければ分からないでしょうね。やらずに一生を終えるのはあまりにもったいない。
この記事では、マラソン大会の魅力をランナー目線で解説します。ランナー目線で解説します。ランニングに興味がある方、お金を払ってマラソン大会に出て何が楽しいのか知りたい方にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
それでは早速始めましょう!
目標達成目指して練習する過程が楽しい
フルマラソンのエントリー代は一万円前後。私のような20代学生にとってはかなりの大金。支払ったからには必ず出なければなりません。出なけりゃもったいない。何のために懐を痛めてお金を拠出したのか分からないでしょう。出場に対する強制力が働くわけです。否応なしに頑張らざるをえません。
どうせ出場するなら何か目標が欲しい。航海士が仰ぎ見る北極星の如く、努力の方向性を誤らずに済むよう目印を作っておきたいのです。我々ランナーは「完走!」や「3時間切り!」などと目標を立てます。最低限クリアできそうなものでも構わないし、今の自分には相当挑戦的なハイレベルの目標でも良い。どうせ立てるならモチベーションの上がる目標が欲しい。私の場合、初めて出場したマラソンでは「快走して笑顔でフィニッシュする」との目標を立てました。
目標は乗り越えるためにあるもの。立てた後、それをクリアするために練習します。頭を使って練習プランを組み立てる。体を使って練習を重ね、自分に合った練習方法を試行錯誤する。良い練習法に出会えた瞬間、「やったー!」と嬉しくなるでしょう。正解のない、暗中模索状態で金鉱を探り当てるまでのプロセスがたまらなく楽しいのです。自分なりの練習方法を確立し、それを継続していくにつれ、走力が急激に伸びていくのが分かります。本番までに力を伸ばせるだけ伸ばし、本番では当初立てた目標を大幅に上回ってフィニッシュできるでしょう。
私がマラソンを2時間42分で走り切るにあたって、出場前に一年かけて練習を重ねました。毎朝のジョギングは19km。週半ばには陸上トラックでインターバル走。週末は起伏のあるコースを使って30km以上の走り込みを実施。当初の目標は2時間40分切り(サブ40)。設定タイムを越えられずにすごく残念だったけれども、サブ40目指して本気で駆け続けたあの日々は一生の宝物です。
マラソン大会にかこつけて各地へ遠征旅行できる
ランニングイベントは日本各地で一年中開かれています。場所は日本だけに限りません。欧米やアジア、アフリカ、中東など、マラソン大会が世界各国で催されているのです。記録の出やすいコースを選んでエントリーするもよし。日本だったらつくばマラソンや青島太平洋マラソンなどでしょうか。記録云々よりも遠征先の場所で選んでもよし。8月に開催される北海道マラソンは暑く、レースよりもレース前後の諸々の方が楽しいかもしれません。
マラソンランナーをやっていたら、大会にかこつけて全国各地へと遠征できます。レースがなければ一生行かなかったかもしれない土地へ足を運び、その土地の景観やグルメなどを思う存分満喫できるのです。遠征というより、もはや旅行。マラソン旅行。走って、食べて、飲んで、色々観て。私は大学在学中、フルマラソンを走るために富士河口湖と福知山へ、ウルトラマラソンを走るために沖縄へ行きました。どれもこれも記憶に残る素晴らしい遠征。ランナーをやっていなければ行かなかったであろう場所へ連れて行ってくれたランニングへ感謝しかありません。
一生懸命走っていたら沿道から応援してもらえて嬉しい
各々が練習を重ねて臨むレース本番。数千人規模の出場者がいる大会ならば沿道に多くの観戦客が集まります。まるでエリートランナーにでもなったみたい。こんなに大勢の方に観られながら走る経験はそう多くありません。集まる方は、地元の方、ボランティアの方、出場者のご家族などでしょう。コース沿いの学校へ通っている中学・高校生の吹奏楽部まで演奏して盛り上げて下さるのです。
自分が目の前を走って通過する際、沿道の方から「頑張れー!!」と大声で応援してもらえます。特に、市街地を走るときは応援の声が途切れません。大勢のエールは自分の身体へ活力を注入してくれるのです。足がキツい終盤の応援は有難すぎる。ふくらはぎやハムストリングスが痙攣寸前で止まりそうになっていても、色々な人から「いけー!」「負けるなー!」と背中を押されて力を振り絞れますから。私が2時間42分の自己ベストを出した福知山マラソンでは、コースの最後1kmに強烈な上り坂が。疲労困憊でフラフラな状態で高低差数十メートルの坂を上るのは大変。上り坂が見えてグッタリした所へ沿道から「頑張れー!!」と大声援が。こんなに応援されたら頑張るしかない。顔をしかめながら出力を高め、ラストスパートしてフィニッシュできました。
日常生活で誰かにこれほど熱烈に応援してもらえる機会などそう多くはありません。自分がマラソン大会以外で誰かからエールを送られたのは高校時代まで遡らねばならないかも。走っているだけで応援してもらえるだなんて幸せすぎる。応援があるからこそ限界を超えて頑張れる。マラソン大会へ出れば必ず応援してもらえます。あの応援をもう一度受けたいから再びどこかの大会へエントリーしてしまうのです。
フィニッシュ後の達成感が至高
レース前は目標達成に向けて自身を追い込んでいく。本番では中終盤に重くなる足を引きずりながら走る。体内の貯蔵エネルギーが底を尽く。ふくらはぎは痙攣。お尻は硬直。前腿には着地するたび鋭い痛みが。フィニッシュ直前の苦痛は筆舌に尽くしがたいほど。「誰だよ、マラソン大会へエントリーしたヤツは!(←自分だ!)」と恨み節を漏らしたくもなる。
極限状態でフィニッシュを迎え、ゴールテープを切った瞬間に様々な苦痛から解き放たれます。「終わったぁー!!」と嬉しくて仕方がありません。もう一歩も走らなくたって良いのです。目標を達成できたか否かにかかわらず、今回のレースはもうコレでおしまい。
解放感よりも大きなものは「やり切ったなぁ」という達成感。42.195kmを自分の足で走り抜いた。リタイアせず、辛くても諦めずに走り切った。自分で自分のことが誇らしくなるでしょう。よく頑張った!偉い!凄いぞ、自分!、と。フィニッシュ後、完走メダルをくれる大会も。メダルを貰うのなんて小学生以来。大人になってもメダルを貰えたら何だか嬉しい気分になれますよ。また、マラソン大会のホームページにて記録証をダウンロードできます。電子媒体で保存しておくのも良いけれども、レース当日の頑張った思い出に耽るには記録証を印刷して家に飾っておくのがオススメ。
まとめ
マラソン大会は、一万円の参加費が「人生の宝物」に変わる魔法のような場所。目標に向かって懸命に練習を重ねる日々。未知の可能性を探る試行錯誤の過程。そして、新たな土地との出会いがもたらす心躍る発見の数々。これらすべてが、一人のランナーを作り上げていくのです。
42.195kmという途方もない距離を前に、時に不安に押しつぶされそうになります。でも、沿道から響く「頑張れ!」の声が、限界を超える勇気をくれる。足が重くなり、体力が尽きかけても、観客の声援が背中を押してくれる。そして、ついにフィニッシュテープを切った瞬間の言葉にならない感動。全身全霊を注ぎ込んで掴み取った達成感は、何度味わっても心の奥深くに刻まれます。
マラソンは決して「苦しいだけのスポーツ」ではありません。それは、自分の限界に挑み、乗り越え、成長していく壮大な人生の物語。一度走ってみれば、きっとあなたもこの魅力の虜になるはずです。
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