ブログ設立の理念、および運営哲学

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D2)です。2022年9月29日、日本学術振興会特別研究員DC1 (学振DC1) への内定が決まった翌日に当サイト札幌デンドライトを作成しました。

ブログを立ち上げてから一年が経ちました。最初は月々200PV程度の超零細ブログだったものの、今となっては月2万回以上見ていただけるサイトに成長しました。今後、様々なカテゴリーの記事を充実させることで月間10万PV達成を狙っていく予定。将来的には月間100万PVのビッグなホームページにしていきたい。

この記事では改めて原点に立ち返り、当ブログを設立した理念や哲学を少々語らせてもらいたい。私の思いの丈が少しでもいいから皆さんに届けばいいなと願って記しました。

かめ

それでは早速始めていきます

目次

【設立理念】自分が味わった様々な苦労をなるべく後輩に味わわせたくない

自分で言うのもアレなんだけれども、学生の中では比較的苦労をしてきた方ではないのかなぁ、と。少なくとも恵まれている部類ではないと思っている。後に記す持病の影響で日々吐き気を催しながらやっとの思いで大学に居る。病気のせいで果たしてどれほど多くの機会をみすみす逃してきたか… 学部生の頃なんて、一日二食さえ満足に飯を食えるお金がなかった。空腹が極まり、泣きながら道端の草をかじってお腹を満たしたことさえ一度ではない。私の実家は裕福である。私は裕福じゃない。病気持ちの私なんて可愛がる価値がないと思われていた可能性がある。

研究室に入っても悲惨な日々は続く。配属された翌々日から突き放されて放置プレー。ヘタに入試や大学の成績が良かったものだから『教えなくてもできるでしょ?』と面倒を見てもらえなかった。論文の読み方や研究の進め方でさえ独力で考案せざるを得なかったぐらい。レクチャーを受けたのは実験装置の使い方だけ。頻繁に使う実験試料でさえ自らのポケットマネーで買い揃える始末。研究室の他の配属学生が羨ましくて仕方がなかった。どうしてそんなに面倒を見てもらえるの?こっちだって彼らと同じ額の学費を払って通っているのに…

文句を言っても事態は変わらない。それで変わるぐらいならとっくの昔に変わっていたはず。腹を括り、死ぬ気で活路を切り開いてきた。何の偶然か、運良く実験で成果が出てきた。突如、研究の魅力に目が見開かれてきた。M1の夏、本気で博士進学 (D進)を考え始めた。

しかし、一つだけ大きな問題があった。研究室に過去10年間、誰一人としてD卒者がいなかったことだ。 (ココでホントにD進しちゃって大丈夫かなぁ…) とめちゃくちゃ大きな不安に苛まれた。「D進して良かったですか?」と意見を先輩に聞いてみたかった。その肝心の先輩さえ在籍者、わずかゼロ名である。D進に関する助言を求める声は虚しく居室に響くだけだった。心の声に素直に従い、M1の9月、D進を決意1。その後、学振DC1に採用されたり2海外のビッグジャーナルにアクセプトされたりして3何とか今日まで命を繋げてきている。

当時の私は困っていた。「誰か、自分を助けてくれよ…」と常時、救難信号を発信していた。手を差し伸べて自分を引き上げてくれる人などいなかった。どうやって助けてあげたらいいのか、もしかしたら分からなかっただけなのかもしれない。彼女にフラれ、ストレスで血を吐き、将来への不安からほぼ毎日家で泣いてこの生活を憂いていた。何度も何度も(辞めたい)と思った。「ココで辞めたら自分の負けだ」と自身に言い聞かせて辛うじて踏ん張っていた。適応障害の前兆が現れた。持病はとうに治療可能ラインをぶち抜いていた。研究室生活の続行どころか、人生の続行さえひと思いにやめてしまいたかった。パニックを起こしそうな自分を日々なだめすかして研究室に通っていた…

自分のこれまでの生活を踏まえ、自分と同じ苦労を後輩にはできるだけ味わせたくないと思った。だってメチャクチャ苦しかったもの。「同じことを同じ環境でもう一度やって」と言われたとしてもゼロ秒で「嫌だよ」と即答する。今なら過去の良い思い出として振り返られるような出来事も、当事者として事態の解決を図って奔走している間はとても辛かった。誰の助けも借りられないまま一人で課題の解決に挑む孤独感たるや…

自分と同じ研究室の後輩ならすぐに助けてあげられる。しかし、全国の研究室の後輩はどうか?困っている人の元へその都度、出張するわけにもいかないだろうし、、、 日本の研究室学生の皆さんを何とかして助けてあげられる方法はないか?…あるじゃん、ブログが。ネットを使えば全国の学生をいつ何時でも助けてあげられる。しかも無料で!経済的にも困窮した学生が沢山居るなか、無料でサービスを提供してあげなきゃサービスを享受できない人がどうしても現れるから。

この記事を見た皆さんに一つだけお願い。自分のブログがもし少しでも助けになったと思ったならば、いつか、あなたの傍にいる後輩を同じように助けてあげてもらいたい。直接の指導でも構わないし、私のようにブログを作って不特定多数に発信してもいい。手助けの連鎖反応を起こしたい。私を反応の火付け役として、次の、そのまた次の手助け人になっていただきたい。日本の学生全員による壮大な慈善のドミノ倒し。みんなが生きやすい大学・研究室ライフをみんなで一緒に作っていきたい。『自分だけ得をしてやろう』だなんてケチ臭いことを考えないで欲しい。少しでも余裕があるのなら困っている周りの人を助けてあげて欲しい。

【運営哲学】自分自身、音の病気に日々苦しまされている。その私が頑張っている姿を見せることで同志へ『生き甲斐』を届けたい

私は『ミソフォニア』という音の病気に苦しんでいる4。ミソフォニアとは”音嫌悪症”のこと。トリガーとなる音を聞いたら意図せず不安になったりカッとなったりする。自分が周りから24時間、絶え間なく音に攻撃されているような感覚。私の場合、特に鼻をすする音が苦手。咳払いや紙のページをめくる音も非常に苦手としている。大学受験は本当に辛かった。一浪したからなお辛かった。いくら勉強して学力を高めたとしても、本番、トリガー音を隣で発されたら回答が手につかなくなる。不安が募るったらありゃしない。勉強以外の重たいハンデを抱えて迎えた受験は心身へ大ダメージを与えた。

大学に入り、受験から解放されたおかげで一時的に症状が和らぐ。B4の4月に研究室へ入り、再びストレスフルな日々が続いたせいで症状がぶり返してしまった。受験生時代よりも症状が遥かに重い。生きているのが辛く感じられる。死にたい。何も聞きたくない。鼓膜を突き破ってしまいたい。音に悩まず平然と暮らせる人が心底羨ましくてたまらない。M2の2月に出会ったWEBライターのアルバイトは、オフィスの音が自分に合わずに僅か2か月で辞めてしまった。社長やお世話になっていた先輩には心配を掛けたくなくて嘘の理由で辞めたけれども。

ミソフォニアは生きるのに支障をきたす病気。症状が報見されて以来、完治例はおろか、治療法さえ見つかっていない。私は持ち前のタフさと意地のおかげで何とか死なずに済んでいる。自殺を選んでしまう人の気持ちも分かる。だって死んだ方が絶対に楽だもの。音の恐怖から解き放たれる唯一の方法は【死】しかないのだから。何か効果的な治療法が見つかるまでの間は自殺が唯一の心の鎮め方。日本の自殺者の何分の一かはおそらくミソフォニア患者さんだと思う。私だって気を抜いたらいつ、自殺者のうちの一人になるか分からない。音に味わせられる苦しみはおそらくミソフォニアの当人にしか分からないだろう。いくら言葉で説明したってトリガー音を聴いた時の辛さは伝えきれない。嫌な音が耳へ入るたびに音が胸をグサっと貫く。痛いよ。辛いよ。何度耐えたら辛さから解き放たれるんだよ。いっそ、ひと思いに命を奪ってくれたらいいのに。半殺しで生かされ続けるほどこの世に辛い生き方はないだろう…

日々、何気なく暮らしているだけで寿命がゴッソリ刈り取られていく感覚がある。ストレス過剰。音による絶え間ない全方位攻撃へ耐え難い苦しみを味わい続けている。どうせこの命の灯はせいぜいあと10年しか続かないだろう。5年もつかどうかさえ微妙。どうせ短いこの命だ、少しでも細長く生きるのに使うぐらいなら、太く・短く使っていきたい。日々、自らの出しうる最高のクオリティーを発揮する。限界を超える。何度も超える。打ちのめされてもすぐ立ち上がる。くたばり伸びている時間などない。与えられた持ち時間は残り僅かなんだから。こうして頑張る私の姿を励みにして下さる方がいたらとても嬉しい。『自分と同じく音に苦しんでいる人でもこんなに頑張っているんだ、オレも/私も頑張らなくっちゃ!』と生きる力を得てもらいたい。

血を吐くほど無茶して学振DC1の内定を得たのも、留学先へ自分の身の丈に合わないオックスフォード大学を選んだのも、全ては全国の音に苦しむ同志たちの励みになればいいなと思ったから。決して自分のためではない。人のため、同志のために頑張らなくてはならない理由 (わけ)があるんだ。ミソフォニアの人間が到達可能な最高点、をお見せする。そこから見える景色も届ける。『そんな景色を自分も見たいな…!』と一日でも長く生きる理由を見つけられる人がいると信じて。

最後に

当ブログを設立した理念や哲学については以上になります。このサイトが日本とミソフォニア患者さんの未来を少しでも良くすることを願い、命が尽きるその日までひたすら記事を書き続けていく所存です。

  1. 研究室生活春夏秋冬 M1・9月編 ↩︎
  2. 学振DC1に内定した申請書 ↩︎
  3. 海外の一流雑誌に論文がアクセプトされた喜怒哀楽の一部始終 ↩︎
  4. ミソフォニア (音嫌悪症) 記事一覧 ↩︎

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