なぜ材料メーカーなのか
面接官C弊社を選ばれた理由を、もう少し詳しく聞かせてもらっていいですか。電池材料を手がけている会社は、他にもありますよね



そうですね
御社を選んだ理由は二つあります。ひとつ目は、御社であれば 材料の観点から電池をより良くしたい という私の希望を実現できるからです。御社は何十年も前から電池材料を作り続けてこられ、最近では革新型電池材料の量産化も行っていることから、御社の有する研究力は極めて高いと理解しています



もうひとつは…?



環境です
私は、レベルの高い環境に身を置き、周囲の方々に刺激を受けながらレベルアップしていきたいと考えています。御社にはハイレベルな人材が揃っていて、優れた素材が過去にいくつも生まれています。御社の研究チームに加えていただくことで、研究者として飛躍的に成長したいです



ありがとうございます
ただ、少し意地悪なことを言いますとね。素材メーカーでなくてもいいですよね。自動車メーカーのT社やH社のような巨大企業も社内で材料研究をやっていますよ



確かにおっしゃる通りです。私も転職活動を始めた当初は、OEMの材料部門へ行くことも視野に入れていました
ただ、OEMの中で材料開発した場合、その材料が使われるのは自社の製品だけです。その点、材料メーカーであれば、自動車をはじめ、AIデータセンター、ヒューマノイドにドローンと、様々な場所へ電池材料を届けられます。自分の仕事が世の中に与えるインパクトの大きさで考えたとき、材料メーカーが一番いいと考え、応募先を素材系企業に絞りました



インパクトの大きさ、ですか
いいですね~^ ^



ちなみに、現職はどうやって選ばれたんですか?



私は広島出身で、培ってきた電気化学の専門性を広島で活かせないかと考えて志望しました。広島には、半導体関連メーカーや材料メーカーなど、いろいろな会社があります。様々な企業がある中で、ある程度規模が大きく、かつ専門性を活かせる場所となれば、完成品メーカーの現職が最有力でした



そうなんですか
現職で一年半ほど働かれて、何か気付きはありましたか?



仕事の進め方が根本から変わりました
学生時代は研究一筋で、ひとつのことに狭く深く取り組んできました。企業に入ると、量産開発グループに配属されたのもあるかと存じますが、とにかくテキパキと仕事を処理することが求められました



研究とはペースが違う、と



全く違いました。無限に時間をかけて120点を目指すよりも、なるべく早く50点や60点のたたき台を作って、周囲の力を借りながら70点、85点と完成度を上げていく方が重要だと学びました



50点のものを人へ渡すことに、抵抗はありませんでしたか?



ありました。それも、かなり
私はもともと職人肌で、完璧を目指して仕上げてから相手に渡したいと思ってしまいます。ただ、会社全体のことを考えると私ひとりが品質に固執しても仕方がないですし、そもそも若手社員の自分がたいしたクオリティーを発揮できるわけでもないので、会社に入ってからは考えを改めました



博士の方は、そこで苦労される方も多いんですよ。考え方を切り替えられたなら、大丈夫です
広島をまた離れることについて



かめさんは広島のご出身で、Uターン就職されていますよね。弊社に来ていただくとなると、また広島を離れることになりますが。抵抗はありませんか?



率直に申し上げると、あります
広島は非常に住みやすい街です。百万人都市でありながら自然が豊かで、海の幸も山の幸も揃っています。何より幼少期を過ごした場所ですから、居心地の良さは地球上のどこよりも上だと思っています



ずいぶんな評価ですね



はい。北大進学に伴い広島を八年間離れたのですが、博士課程で就職活動を行ったとき、あの住みやすい街に戻りたいとの気持ちが強く、場所重視で就職先を決めたぐらいです



思い入れの深い街を、また離れるわけですか



広島で働き始めてから、考え方が変わりました。住む場所と同じくらい、いやそれ以上に、仕事内容が大切だと痛感したのです



と、いいますと?



プライベート面は、個人の努力でいくらでも改善できます。多少住みづらい街に住んだとしても、今ならネット回線さえあれば、Netflixを観たりゲームをしたりしていくらでも楽しめるでしょう



しかし、仕事内容は構造的な問題なので、自分の努力ではどうにもなりません。それに、仕事で成果を挙げられなければ、プライベートも楽しめなくなりますよね。会社員である限り、起きている時間の大半は仕事に使うわけですから、どこに住むかよりも、何をするかを重視したいと考えるようになりました



そうですか…



はい。広島をまた離れるのは寂しいことですが、仕事で得られる充実感には代えられないと思っております









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