【学振DC1】初年度の研究遂行経費枠72万円をどう使ったか

こんにちは!札幌と筑波で電池材料研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2)です。日本学術振興会特別研究員DC1の一年目を終えてJSPSに研究遂行経費の使途を報告しました。

この記事では、研究遂行経費の内訳を皆さんに披露します。

  • 学振DC内定を目指している方
  • 研究遂行経費を申請しようか/しまいか迷っていらっしゃる方

こうした方々にピッタリな内容なので、是非最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

研究遂行経費は合計655,989円!

初年度に報告した研究遂行経費は約66万円。本当は満額の72万円まで使い切ってしまいたかったものの、何をどうこじつけて加算してもあと6万円分加算できませんでした。経費枠を使い切るためだけに何かを買うのも変でしょう。かといって嘘をついて6万円分の枠を埋めるわけにもいきません。使い切れなったものは正直に「使い切れませんでした」と報告します。来年度のお金の使い方に反映させ、役立てていくしかありません。

かめ

経費枠のうち、年度内に使い切れなかった分は翌年度に回されます。私の場合、来年度の研究遂行経費は78万円 (72万+6万)になるということです (*詳細は後述します)

研究遂行経費の内訳

学会関係経費:9,500円

  • 学会参加費:5,000円
  • 学会年会費:4,500円

研究の為に使うお金の大半は科研費から支出しています。私の場合、年間140万円分の科研費使用枠を与えられており、実験試料や海外渡航費などを140万円の枠から払っているのです。しかし、時には懐からお金を拠出することも。『研究に拠出したポケットマネーの分だけは税法上の所得額を減らしてあげよう』というのが研究遂行経費制度の主旨。額が少ない学会関連のお金は自分の懐から出しました。参加料と年会費を合わせて9,500円の申請。

各種研究集会等への参加費:19,992円

昨年10月、オックスフォード大学留学中にスウェーデンの国際学会へ参加しました。オックスフォードからスウェーデンまで移動するのに使った航空券代は既に科研費から拠出しております。しかし、学会会場までの移動にあたり、『空港バス』や『都市間連絡特急』など様々な交通機関を利用しているわけです。科研費でカバーされるのは航空便代のみ。バス代や電車代まではカバーされません。こういう細々とした交通費を寄せ集めていけば2万円弱にも及ぶ巨額な支出に。学会にまつわる交通費を一括で『各種研究集会等への参加費』に計上。

学術調査に係る経費:623,585円

実験・解析関係:129,183円

  • 数値解析ソフト:12,270円
  • シリンジ:2,277円
  • スライドガラス:2,492円
  • モバイルモニター:19,970円
  • デジタルカメラ:92,174円

初年度・10~1月の3か月半、イギリスへ研究留学に行っていました。日本-イギリス間の往復渡航費とイギリスでの宿泊費だけで科研費使用枠140万円を超えてしまったのです。よって、研究にまつわる支出はほとんど懐からの支出となりました。科研費を使いたくても残高が無かったからやむを得ず身銭を切っての支出に。集計してみて驚きました。研究関連に13万円もお金を使っていたんですね… 本当はもっと他にも計上できそうなお金があります。しかし、領収書を無くしてしまっていたので経費に入れたくても入れられませんでした。

備品・消耗品・通信費:118,534円

  • モバイルバッテリー:5,980円
  • 変換プラグ:4,797円
  • レーザーポインター:7,760円
  • 専門書:52,839円
  • 研究連絡用スマホの通信費:31,811円
  • 研究連絡用スマホの保護フィルムとケース:3,936円
  • 海外渡航中の連絡用SIMカード:11,411円

海外渡航時に必要で購入した備品や消耗品を計上しております。専門書も消耗品。経費として申請可能。スマホなんて研究のためだけにしか使っていません。SNSはパソコンでしか開かないし、スマホを開くときは共同研究者さんからの電話か、または大学メールの閲覧ぐらい。だから研究遂行経費にスマホの通信料を入れても問題ないでしょう。だって実質、スマホを研究のためだけにしか使っていないんですから。

その他:367,048円

  • オックスフォード大学への2024年2~3月分の一時在籍料:293,051円
  • 共同研究打ち合わせのための宿泊費:67,880円
  • ChatGPT使用料:6,117円

オックスフォード大学へ留学するにあたり、月額£767 (14~15万円)もの在籍料の支払いが必要でした。オックスフォードへは10月から1月までのおよそ4か月間程度在籍。しかし、在籍料はきっちり半年分 (10月~3月)だけ支払わなければならないみたい。10月から1月の4か月分は科研費でちゃんと賄えたものの、2月分と3月分まではお金が足らずにどうしても賄いきれませんでした。科研費でカバーできなかった分の約30万円を経費計上。30万円も身銭を切りました… あまりに痛すぎる出費です。

それ以外にも、イギリス留学中、共同研究打ち合わせ先へ宿泊するために出した67,880円をカウント。また、翻訳や研究議論の壁打ち板として使うためにChatGPTへ課金したのでその利用料も計上。

所属関連機関への交通費:11,282円

イギリス留学中、共同研究先へ移動するのに要した交通費として11,282円計上。『学術調査に係る経費』へ計上するべきか少し迷ったものの、”交通費だし、関連機関だし”ということでこの項目に記録。

経費枠を満額使い切れる人なんているの…?

結構強引に理由をこじつけたって合計66万円。経費枠72万円を満額使い切れる人なんて果たして存在するのでしょうか?月額20万円の給与から研究へお金を使えば使うほど私生活に回せる分のお金が少なくなります。もしも経費枠を満額使えば年間168万円 (月額14万円)で暮らしていかねばなりません。168万円からさらに税金や年金まで引かれていくのです。そんなのもう、生きて行けないでしょ。家を捨てて研究室で寝泊まりすれば何とかなるのかな、っていうレベル。

おそらく研究遂行経費は、年間所得が168万円でも生きていけた、物価の安かりし頃の遺物なのだと思います。流石に今の物価高の時代に168万円だけで暮らすのは厳しいですよ。サラリーマンの如く、給与から一定割合だけ無条件に非課税額としてほしい。我々特別研究員だって一応は給与所得者。基本給から何割か税額控除を受ける権利ぐらいあるはずです。あと、経費申請させる手間を省いて研究に集中させて貰いたい。たった72万円の使い道に目くじらを立てるよりも、国会議員が作った数千万円もの裏金についてもっと手厳しく追及すべきです。議員たち、「納税は個人の自由だろ!」と平気な顔して言っているんだから。我々よりも国会議員のお金の使い方を精査した方が税金の無駄を削減できる気がします。

次年度の経費はどうなるか

前述の通り、今年度使い切れなかった分の経費枠6万円は来年度の経費枠に加算されます。すなわち、来年度は78万円分の枠があるということ。

78万円も何に使えばいいんですか?とりあえず一台ラップトップだけは新調しようと思っているけれども、それ以外に何か研究のために使えるお金の用途がないんですよね。特別研究員としての最終年度の来年、経費枠を余らせた場合、使い切れなかった分の10%にあたる額の追徴課税を食らいます。つまり、経費を30万円余らせたら3万円の罰金を背負ってしまうということ。かといって研究遂行経費の申請をしなければ保険料や税金の純増に… 退くも地獄、進むも地獄。何をやっても特別研究員は地獄からは逃れられないシステムになっているようです。

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