【理不尽】転職活動で9社落ちて3社内定した一部始終

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④総合商社T社:広末涼子も驚きの爆速不採用

三社落ちて、危機感が募ってきた。ひょっとしてどこにも通らないのではないかと邪推し、力が抜けてきた。今のままではいけないと思っている、だからこそ今のままではいけないと思っていると思いつつ、そうかといってどうすればいいかもよく分からなくて頭を抱えた。

電池に携わりたいのまではいいが、研究にこだわる必要はあるのか。不向きな量産さえ避けられるのなら、”電池”と名の付く求人を選り好みせず応募すべきではないか。R&Dに限らず、設計や事業投資のような仕事も受けてみてはどうか。

いやいや、研究をやりたくて転職を考えたんだろ? だったら最後まで筋を通せよ。筋の通っていない筋子なんてイクラと一緒なんだよ。は? イクラも筋子も一緒だろうが。お前は何を言っているんだ。分かんねぇよ、どこでもいいから通ってくれよ。

内定を得られない限りは現職に勤め続けざるを得ず、身体を壊すのが目に見えている。まず、一社でいいから内定したい。一社通ってホッとしたい。

電池関連の仕事を探したところ、電池サプライチェーン確保に向けた事業投資ポジションなるものがあると知った。電池材料を確保し、電池メーカーや自動車メーカーが安定的に製品製造できるよう下支えする仕事があるらしい。なんだか面白そうで、求人票をなめるように読み込んだ。

私は理系博士なうえ、日商簿記2級や貿易実務検定など文系資格も持っている。総合商社に行けば、電池材料の専門性を有する文理融合型人材として重宝されるのではないか。総合商社はどこも資源に強いが、その中でもサプライチェーン構築に強いT社に照準を当てて応募した。

T社からは2日で不採用を食らった。2日もかからず、一日半での爆速不採用である。大谷翔平超えを果たしたあの広末涼子も目を丸くする速さである。不採用理由は明かされなかった。おそらく、職歴の短さや適性の不確実さから敬遠されたのだろう。あまりの速さに「もうちょっと悩んだフリをしてくれよ」と嘆きつつ、サイレントお祈りしてきたD社よりはマシかなと心を鎮めた。

⑤⑥半導体製造装置T社・S社:未経験者求人に経験不足で落ちた

安徳天皇の祖母・二位尼は「水の下にも都はございます」と言って壇ノ浦に身を投げた。住めば都ということわざもある通り、水の下に都があるぐらいなら、異業界に転身しても楽しくやっていけるのではないか。

電池が好きなのはなぜか考えてみた。検討に次ぐ検討のすえ、様々な部材が手を取り合って、絶妙なバランスで高性能を発揮している所に魅力を感じていると分かった。電池材料は、ひとつの部材だけ飛び抜けて良くてもダメで、全体としてバランスがとれていることが重要である。ギリギリのところで化学的に調和している電池は芸術作品といえる。そう、電池は存在自体がアートなのだ。芸術は、爆発だ! いや電池を爆発させたらダメやろ。

電池が好きなのは分かった。では、電池と似たような芸術性を持つモノってないのだろうか。美しさを感じられる工業製品になら没頭できるかもしれない。

Claude AIに尋ねたところ、半導体はどうかと提案された。半導体製造は微細な加工プロセスの連続で、サグラダファミリアを築く以上の精密さで露光→成膜→洗浄と続ける。ロジック半導体に至っては2nm単位で配線を組むのだとか。2ナノって、何ナノよ。どんだけ細いのよ。人間ってこんなこともできるのか、すごいなと思った。

私は電気化学を専攻してきた。電気化学はメッキや製錬に不可欠な学問で、もちろん電池研究に大役立ちである。

実は、電気化学の知識は半導体製造に重宝する。基板へ微細な配線を組むのに銅メッキ技術が用いられているほか、成膜のたび表面を超純水でフレッシュにする工程では表面化学の知識を活かせる。電池ばかり見てきた私だが、意外と半導体系分野への適性もあるのではないか。

半導体業界を大別すると3つに分けられる。①半導体を作る会社と、②半導体製造装置を作る会社と、③半導体材料を作る会社である。電気化学専攻の私が中途採用してもらえそうなのは①と②で、製造装置メーカーの方が圧倒的に好待遇。どうせ働くなら高給を得たい。それに、製造装置メーカー社員なら世界じゅうの半導体企業へ出張できるらしく、面白そうで良いじゃんと思った。

どこを受けるか検討を加速し、成膜大手のT社と洗浄大手のS社に応募した。両社ともプロセスエンジニアなる化学系職種で、未経験者歓迎の求人を受けた。両社とも勤務地はやや僻地になるらしいが、出張まみれなら、どこに住もうが関係ないだろう。

・・・・・・・

まずT社から応募一週間後に連絡があり、書類選考で不採用となった。半導体業界経験者を募集しているらしく、未経験の私は条件的に合わないので弾かれたようだ。求人に未経験者歓迎って書いてあったんだけどな。半導体業界では未経験と書いてケイケンシャと読むんだろうか。なかなか不思議な業界だなと首を傾げた。

それから一週間後にT社から再度連絡があった。今度もまた不採用通知である。忘れないよう、ご丁寧に二度も教えてくれたらしい。ありがとうございます、なんて親切な企業なのだろうか。さすがは世界屈指のリーディングカンパニーですね。今後ともどうぞご贔屓によろしくお願いいたします。

T社からの連絡の合間にS社から連絡があった。適性検査の案内である。自宅PCで知能テストと性格診断を受けてくれと。面倒臭いなぁと思いつつ、臭い臭いも好きのうちか… と合点して受検を済ませた。全部で一時間ほどかかり、やっぱりかなり臭かった。

四日後にS社から連絡があり、書類選考不採用だった。T社と同じく採用ターゲットを業界経験者に絞ったらしい。それなら未経験者歓迎なんて書かないで欲しいんだけどな。床上手の処女でも求めているのか。適性検査を案内されて、書類が通ったのかと期待したじゃないか。ウキウキしたこちらがバカみたいだわ。ま、勝手に期待したこっちが悪いんだけどさ。

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