【理不尽】転職活動で9社落ちて3社内定した一部始終

目次

⑩自動車部品メーカーT社

転職エージェント経由で申し込んだところ、ほぼ同じタイミングでビズリーチにて部長直々のスカウトが来て、カジュアル面談した。

T社はトヨタのサプライヤーとして高性能電池を供給しているらしく、既存車種の大半にT社の技術が使われているらしい。技報の内容や次世代事業が魅力的で、自分もやってみたいなと思った。これからどんどん規模を拡大するから、ぜひウチに来てくれないかと言われた。あんなに熱くアピールされたら、港区女子ならコロッと口説かれてしまうだろう。私はそこまで顎がシャープではないので、よく検討してから返事させてとリプライした。賢明である。

スカウトまでされて落とされることはないだろう。もし落とされたら残クレアルファードで工場前まで乗りつけてやる。そんなことはどうでもいいんだけれども、ようやく内定を得られそうな企業が見つかりホッとした。

一次面接は、配属予定の部署の幹部社員相手に臨んだ。志望動機やこれまでの業務内容を根掘り葉掘り尋ねられた。どんだけ掘るんだろうかというほど聞かれた。東京から穴を掘り続け、マントルを貫通してリオデジャネイロ近辺まで届くのではないかというほどだった。何か返事するたびに「詳しく教えてくれ」と返され、そんなに私のことが好きですか、ありがとうございますといった形である。

一次面接翌日に通過案内があり、二週間後に最終面接をセットしていただいた。

最終面接は、幹部社員二名を相手に臨んだ。志望動機やT社で成し遂げたいことをまた詳しく尋ねられた。T社はどれだけ私が好きなのか。質問攻めにもほどがあるぞ。面接から求職者をなぜなぜ分析してくるのだ。博士課程の学位審査会でもこんなに突っ込まれなかったのに、やっぱトヨタのサプライヤーってすごいんだなと感じた。

逆質問では会社の雰囲気を尋ねた。アットホームで熱意のある社員が多く、みな活発に仕事する体育会系職場とのこと。休日には家族イベントもあるらしく、そこはかとなく漂う地雷臭に違和感を覚えつつ、面接を終えた。

面接翌日、通勤電車に乗っているとき内定メールが届いた。初の内定に目を細めつつ、待遇を見てため息をついた。弊社とそんなに変わらんやないか。T社には家賃補助があるとのことだったが、適用条件をよく読んでみると、私の補助対象期間はわずか2か月だった。2か月はちょっとなぁ…

あと、モデル年収が残業月30時間で計算されていた。さすがに30は多いだろう。20でもそこそこ疲れるのに、30も残業させられたら潰れてしまうわ。そもそも、本当に30もしているのか。モデル年収を高く見せるために30時間で計算しているのではないか。人事に折り返して連絡したところ、「うちの社員はもっとしていますからねっ!」とキレ気味に返された。この会社は合わないかもと思い、辞退させていただいた。

⑪自動車大手H社

H社とは数か月前にカジュアル面談したことがある。転職するかどうかも迷っていたときに、他の企業の話も聞きたいなと思って連絡したのだ。仕事に対して真摯で愚直なイメージを抱き、この会社なら合うかもと好感触を得つつ、まだ転職するのは早いと考えて辞退した。

時をさかのぼれば、博士新卒時代にもエントリーした。待遇がよくて電池の研究ができ、かつボトムアップ気質の賑やかな社風に惹かれたのだ。しかし、申し込んだ直後に弊社から内定をいただき、就活を続けるのが面倒になって辞退した。寿司屋に入ってガリだけ食って、やっぱ帰るわと出ていった形である。せめてネギトロぐらい注文すべきだった。

二度も辞退して、三度目の応募を考えるとなると、これはもはや運命というか、宿命というか、なんというか、なんなんだろうか。ひょっとして旧約聖書のアダムとイブではないか。私とH社は赤い糸で結ばれているのか。だったら受けに行かねばならぬだろう。三度目の正直を果たすべく、気合いを入れて書類作成した。通りますように。

エージェント経由でエントリーしたところ、書類選考の通知が届いた。届いたのはいいが、なんと4ポジションから別々に通過案内が来た。一番興味のあるポジションで面接希望日程を伝えたところ、4ポジション全部の一次面接が四日連続で組まれた。あのね、さすがに同じ会社の一次面接を4つも受けられませんよ。大トロを4皿連続で食べる人いないでしょ? え、いるの? 私はもうアラサーで胃が弱いから、ひとつで勘弁してもらわないと。

人事の方にクレームを入れ、第一志望ポジションのみの応募とさせていただいた。入りがこのザマなので、当然H社の志望順位は低く、逆質問もほとんどできなかった。最終面接終了後は、絶対落ちたわと思った。翌々日、内定をいただいた。H社の思考回路は、ちょっとよく分からない。

給与は現職から100万円上がる。家賃補助は入社後数年間ある。やりたかった電池研究もできそうだし、入ってもいいかなと思った。

時を同じくして、H社が「EVじゃなくてAIデータセンター用電池を作ります!」と宣言した。EVに全振りすると言った数年後に撤回し、今度は全く別の市場に目を向けるのか。事業がフラフラしていて、長く勤めるには基盤が脆そうだと感じて辞退させていただいた。

⑫素材メーカーX社(転職先)

X社にもエージェント経由でエントリーした。X社は常に業績がよく、何十年も前からずっと可愛いガッキーぐらい魅力的な転職先だった。正直、X社には手が届かないだろうと思っていた。ガッキーは高嶺の花子さんである。落とされるのが前提のチャレンジ枠として申し込んでみた。

一週間後、ガッキーから書類選考通過のメールが届いた。嘘だ、スパムメールだろと勘違いし、あやうくゴミ箱に入れかけた。エージェントさんいわく、採用担当者の評価がめちゃめちゃ高いそうで、すぐにでも面接を組みましょうとのこと。マジで言ってんのか。他の求職者の書類と間違えて見ているんじゃないのか。

日程調整いただき、一次面接に臨んだ。定番の質問をやり取りして、トラブルもなく無難にフィニッシュ。その日のうちに最終面接に案内され、トントン拍子すぎてかえって心配になった。神よ、もっと試練を与えたまえ。艱難汝を玉にすと言いますから。いやもういいです。9社も落ちたし、そろそろ終わりにさせてください。疲れましたって。

X社の最終面接はX社の研究所で受けた。住むかもしれない街の様子や会社の中を見ておきたく、対面開催を希望した。最終面接でも一次面接と同じようなやり取りを交わし、スラスラよどみなく答えられた。

面接を終え、「結果は追って連絡しますから」と言われて控室に戻った。3分後に面接官の方が本当に追ってきて「内定です」と告げられた。そのまま業務内容の説明を受け、色々な研究ができて面白そうだとニンマリした。

会社からタクシーで駅まで送っていただいた。車を降りて背伸びしたとき、会社から条件通知メールが届いた。現職から年収200万円アップらしい。家賃補助が一生涯つくほか、現職から一週間ぶん休みが増え、ここでは記せない様々な手当も盛りだくさんである。やりたい仕事に就け、年収が大幅アップし、休みまで増えるってどういうことなのか。

夢みたいな本当の話を前に戸惑うばかりであった。

最後に

転職活動の一部始終は以上である。

改めて振り返ってみて、理不尽の嵐だった。募集中なのに募集中じゃないとか、未経験募集なのに経験者のみ採用とか、本当に何を言っているのかと思った。八社落ちて自信を失い、もう無理なんじゃないかと嘆いていた。

転職活動は新卒就活の何倍も過酷だった。できればもう二度とやりたくない。二社目で長く働けるよう祈って、この記事を締めくくらせていただく。

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