転職活動で後悔しないためにやったこと

大学院博士課程に在籍していたとき、大学か国研で研究者になることを目指していた。研究業績や女性枠の問題で研究者志望を断念し、民間企業就職に方針転換した。博士課程では精神的に疲れ果てており、ゆっくり落ち着いて働きたいと思い、地元へUターン就職した。

企業は企業で大変だった。経営環境の悪化に伴い研究開発費が削減され、目の前の仕事を回すのですら難しくなってきた。それに、研究職に回されるものと思っていたら量産開発部門への配属となり、ゆっくりどころか馬車馬のように納期へ追われまくった。

鼻の先にニンジンでもぶら下げられていればまだ頑張れた。ご褒美はなく、上司や他部署からの急き立てばかりで、何が楽しくて働いているのか分からなくなった。現職で働き続けるのが耐えられなくなり、転職を決意した。

転職活動では、新卒就活時の反省をふまえ、検討に検討を重ねた。石橋を叩いて叩き割るほどの慎重さでもって考えた。少なくとも新卒就活より納得度の高い会社を選べたのは間違いない。選んだ会社が合っているかはまだ分からないが、自分なりに後悔のない選択ができたと思っている。毒饅頭でないよう心から祈っている。

この記事では、転職活動で後悔しないためにやったことを3つ記した。転職活動中の方や、転職活動しなくて済む会社を選びたい新卒就活生にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

徹底的な自己分析

一社目選びで失敗した最大の要因は、何も考えずに会社を選んでしまったから。疲れた→落ち着きたい→地元! という三段論法で短絡的に選んでしまったから惨事を招いた。

会社員になってよく分かった。落ち着きとは、住む場所から得られるものではなく、会社の占めるポジション取りの上手さから得られるのだと

いくら地元の企業でも、レッドオーシャンど真ん中で事業展開していれば、利益が圧迫されたり他社にシェアを奪われたりして胸中がゾワゾワしてくる。実際、私が一社目で働いていたときも、幹部社員が「この会社、いつ潰れるか分からないね~」とよく言っているのを耳にし、内心穏やかではなかった。そう、落ち着くためにUターン就職したにも関わらず、落ち着けなかったのである。

新卒就活の苦い教訓を踏まえて、二社目は真の意味で落ち着ける企業に行こうと決めた。ブルーオーシャンで気持ち良く泳げる独占的ポジションの企業を目指した。世界シェア圧倒的一位の企業なら、事業はしばらく盤石である。土台がしっかりしていれば安心して働けるし、高利益率ゆえ給与が高く、生活にゆとりが生じるだろう。地元から離れる寂しさと引き換えに真の安寧を求めたのだ。

どうせ仕事を変えるなら適職に就きたい。適職選びのため、上記のベン図を用意し、四項目それぞれについて検討した。

私は学生時代から電池が好きだった。電池の中で生じる化学反応でエネルギーを貯蔵できるなんて魔法みたいに思い、魅力を感じていた。電池が好きすぎて、電池材料の研究をすべく博士課程まで進んだ。高校時代から理科が得意で、中でも化学がピカイチだった。

自分には、狭く・深く掘り下げていく特性がある。広く・浅く手掛けるよりも、限られた対象を徹底的に極めるイノシシ型人材である。一社目では量産開発業務をあてがわれ、私の価値観とは真逆の出力を求められて息苦しかった。だからこそ、二社目では探求型の仕事に就きたい。つまり、研究っぽい仕事がしたい。

なおかつ、収入もある程度は欲しい。高給企業とは儲かっている会社であり、つまり独占的ポジションを占める”落ち着ける”企業である。

論理的思考を積み上げ、企業選びを進めた。その結果、高収益素材メーカーに行くのがいいだろうと考え、素材メーカーを中心に応募した。

人生を理解するには後ろを振り向かねばならない。だが人生を生きるには前を向かねばならない

セーレン・キルケゴール

複数社同時に内定を得られるようスケジューリング

新卒就活では一社しか受けず、一打数一安打の打率十割でフィニッシュした。見栄えは素晴らしいかもしれないが、振り返ってみれば間違いだった。

内定先が自分に合うか考えるには、主観的かつ客観的な検討が必要になる。

主観的とは、納得感のこと。自分の性格にフィットするかとか、仕事内容にワクワクするかとかいった、自分の内側にある基準と合致するかどうか。新卒就活生当時の私は、主観的な検討しか行わなかった。というより、研究が忙しすぎて就活に時間を割けず、主観的検討のみで良しとしてしまった。要は視野が狭かったのである。

客観的とは、合理性のこと。自分のスキルと業務内容が整合しているかとか、事業安定性が良さそうかとかみたいに、外側の基準と照らし合わせてどうかを考える。第三者の視点から、この会社を選ぶのが妥当なのか検討するのだ。博士学生の自分は、会社選びより目の前の研究に集中したくて、就活をおろそかにしていた。そのツケが会社に入ってから回ってきた形である。最悪だ。

二社目選びで後悔しないため、主観性と客観性を意識しながら企業を見ていった。カジュアル面談を受けたとき、主観・客観の両面から印象を定量評価した。一社目の反省を踏まえると客観性重視に傾きたくなるが、私も一応は人間なので(たぶん)、情熱を持って働くために主観性も多少は重視した。割合でいえば、主観:客観=4:6ぐらいだろうか。主観スコア×0.4+客観スコア×0.6で加重平均した。

いくらスコアが高くても、ひょっとしたらほかの企業の方が良く見えるかもしれない。一社目で失敗したからこそ、二社目ではなるべく楽しく働きたい。

念には念を入れて、転職先を選ぶ間際でもスクリーニングすべく、スケジューリングを工夫した。複数社同時に内定を得られるよう日程調整したのだ。どの会社に行くか選べる状態を作り、主観・客観両面から改めて眺めて万全の確認態勢をとった。

転職界隈では内定承諾期限が一週間程度とされている。複数社同時に検討するには、一週間以内に二社以上の最終面接を組まねばならない。現職に勤めながら複数社の面接を短期間に受けるのはかなりの負担だったが、ここで手を抜くとまた後悔する可能性があり、手加減せず向き合った。

幸運は準備のできた心に宿る

ルイ・パスツール

落ちまくっても条件面で妥協しない

一社目の在籍期間は一年半だった。転職界隈で一年半は短期離職の範疇に入る。転職市場の活性化に伴い転職のハードルは下がったものの、やはり『まずは三年』という風潮は根強く、三年未満での転職は不利とされている。

博士課程では、日本政府から月20万円の給与を支給され、論文出版や学会発表といった学術的アウトプットを行っていた。お金を貰いながら働くことから、日本以外の国では、博士課程在籍期間は実務経験にカウントされる。三年在籍していたら三年働いた扱いになるのだ。

日本では博士課程は学生期間とされ、実務経験ゼロ年扱いされる。博士課程修了後、民間企業で一年半働いた場合、実務経験一年半の短期離職人材と見なされる。

短期離職者を敬遠する企業は多い。次も早く辞められてしまうのではと警戒するからである。私も書類選考では落ちまくった。12社受けて8社は書類で不採用だった。ありがとうございます。私が人事でも警戒はするので、たくさん落とされても仕方がないと受け止めた。

人間は弱い生き物である。苦痛から早く逃れたくて、妥協しようかなと考えたくなる。私もあまりに不採用が続いたので、もう少し受かりやすい企業に変えようかとか、やっぱり三年勤めてから転職しようとかいろいろ考えた。だが、こんなところで妥協したとて、転職先で良い思いはできないだろう。現職が合わなくて仕事を変えようとしているのに、現職よりも酷い労働条件で働かねばならなくなる。そんなのは、嫌だった。

12社受けて8社落ちても、条件面で妥協しなかった。自分が求める条件に沿う企業が選考通過させてくれるまで応募し続けた。判断軸を保つことこそが後悔のない道になると信じたからだ。

最終的には運が味方して、三社から内定を得た。特に転職先の素材メーカーは、博士課程も実務経験として評価してくれて、おまけに年収200万円アップまで勝ち取った。

恐れは逃げると倍になるが、立ち向かえば半分になる

ウィンストン・チャーチル

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