自分の居場所は他にもあると分かった
にゃんねぇねぇ、転職活動したんだって?
内定おめでとうにゃん



ありがと。北大博士課程を修了して地元の大企業に入ったけど、業務内容とのミスマッチや、事業に対する将来性を考えて転職したんやわ。次の行き先が決まってホッとしてる^ ^



よかったねぇ
転職活動してみてどうだった? 良かったって思う?



うん
まず、自分の居場所が他にもあると分かってよかった。
新卒入社して働いていると、この会社以外に居場所はないような錯覚にとらわれがち。私も一社目ではそうだった。だってそりゃそうじゃない? この会社以外の会社を知らないのだから。二郎しか食べたことない人が家系ラーメンを知らないのと一緒



レベルの高い合格点をオールウェイズ叩き出してくれるもんね



そう。ちなみに二郎のアブラは25歳を過ぎると胃がキツくてしんどくなるので、若いうちに心ゆくまで食べておくようオススメする。二郎ってね、



転職の話をしてよ



ごめん
転職活動でたくさんの会社を見て周ったおかげで、他にも行き先は沢山あると分かった。会社員というものに対する視座が高くなったのかな



どれぐらい?



標高599mかな



高尾山かよ
日系大企業だと、ひとつの会社でずっと働いている方がたくさんいる。他の会社に移るなど考えたこともないっていう人も多いらしいね



そうそう。お好み焼きに必ず麺が入っているのと同じように、サラリーマンたるもの、新卒入社した企業と心中すべしとお考えの方も多い。特に年配の方は、かなりの確率でそう思っている



で、日系企業は年配の方が多いから、新卒入社して企業に入って働いていると、自分も最後までこの会社に居るんだろうなと感じさせられる。だって、一社に長く勤めるのが当たり前な雰囲気だから



そうなんだ
そんな環境に居て、どうして転職を考えたの?



なんかね、「ココは自分の居場所ではない」と思っちゃったんよね。会社の製品を愛せなかったり、やりたいことがあるのにやらせてもらえず歯痒い思いをしたりした。最初は我慢していたけど、堪えるにも限界があって、耐えがたきを耐え、忍びがたきをしのび、やむにやまれず転職した



玉音放送かぁ



にゃん
同期を含め、周囲が何の疑問も抱かず涼しげに働いているなか、自分はいま言ったような違和感を抱えていた。誰かに相談しようにも、こんなことを言ったら変に噂を立てられて居心地が悪くなったら嫌だし、黙っていた。息苦しくてたまらなかった



けれど、ここから離れたとて、他に居場所なんてあるのかなとも考えた。居場所ってさ、見つかるものじゃなくて、見つけるものだと思っていたから。自分で自分の居場所を作るのが大人というものだし、今の会社で居場所を作らなきゃと必死だった



でも、難しかったんよね?



うん。どうしても居場所を見つけられなくて、転職を決意した
転職活動で他社からたくさんスカウトをいただき、面接では「ぜひウチで力を発揮してください」と言ってもらった。居場所なんて、他にいくらでもあると分かった。水が合わなければ池を移っていいと知ったんだよ



その水になじめない魚だけが、その水について考え続けるってよく言われるしね



うん
もちろん、いまの会社で居場所を見つける努力はしないといけない。嫌になるたびに移っていたらキリがないから。でも、いくら努力したって合わないものは合わないし、我慢すれば苦しくなる一方なんだよ。自分は一社目で我慢しすぎて瞼が痙攣して、食欲不振で体重が5キロ減った



5キロ!
めっちゃしんどかったにゃんね



そうだね。なんせ、日本に会社は500万社ある。目の前の一社にこだわらなくてもいいんだよ



全部試してみる?



一日100社で働いても137年かかるわ。137年働いたらね、137だけ歳をとりますからね



進次郎?



にゃん
もし一社合わなかったとしても、他の会社のカルチャーなら合うかもしれない。だから、もっと気楽に働いていいんだよと、新卒入社初日の自分に伝えてあげたいな
自分の値札は自分で付け替えられると学んだ



にしても、楽になって、良かったね(*≧∀≦*)



ほんとよ。めっちゃしんどかったもん。社員証を首から下げるたびに惨めな気持ちになってたもんね



そっかぁ、お疲れ様にゃん
他にも、転職して良かったことはある?



あるよ
自分の値札は自分で付け替えられると知ったことかな



そもそもサラリーマンが働いているのって、お金を稼ぐためでしょ。生活費や娯楽代を稼ぐために平日は朝から晩まで働いている。話したくもない人と顔を合わせて話すのも、関係各署から詰められてしんどい思いをしながら耐えられるのも、会社から労働の対価としてお金を貰うためなんだよ



ぼくなら ちゅーる のためかな



でも、肝心の年収は、本人の努力でどうにかなる割合はごくわずか。残業で稼ぎを数パーセント増やせても、いきなり数十パーセントや数倍にするのは難しい。給与は、その会社の給与テーブルで決まるからね



年収っていうのは、どの業界のどの企業で働いているかでほとんど決まる。半導体や商社など儲かっている業界は給与が高く、飲食とかアパレルみたいな薄利多売系の業界は安くなりがち。これはもう構造的にそういうものなんだわ、イチ社員にはどうにもならない



なるほどねぇ。業界が違えば平均給与も違うし、1000万円プレイヤーになる年次も変わってきそうにゃん



そうだね、全然違うよ。一本に手が届くのに、ある業界では40歳とか50歳になるけど、別の業界では30代前半で、ヘタしたら新卒4~5年目で到達する



また、同じ職位のまま会社を移って年収が数百万円上がる人もいる。今の会社で主任をしている人が、次の会社でも同じ役職で働く。職務的には似たようなモノでも、年収大幅アップになる可能性がある。現に私がそうだったんだよ。職務は同じままで、給与が30%上がった



すごいにゃん!
まさかそこまで上がるとは思ってなかったんじゃない?



予想外だった。年収オファーを見たとき、あまりに衝撃的すぎて鼻の穴が倍の大きさになったもん



吸引力、高そうだね



誰がダイソンやボケ



うにゃん



一社に長く勤める前提だと、自分の値札はいまの会社につけてもらわないといけないじゃん。会社の同僚と昇進を競いながら、給与テーブルの範囲内でお金をいただく形になる。給与に不満があっても、給与なんてそう簡単に変わらないんだからどうしようもない



転職活動を通じて、自分の価値は自分で決められると分かった。もっと高い給与が欲しければ、もっと高い給与を払ってくれる会社に行けばいい。いまの値付けは絶対的なモノではなく、会社を移れば値を変えられる



にゃるほどねぇ
昇進や残業でも給与は上がるけど、そもそも給与テーブルの水準が業界や企業によって違うのだから、お金を稼ぎたければ稼げる場所に行かなきゃいけないね



そうなんよ
新卒入社当時の私は、己の努力次第で爆速昇進でき、ボーナスもたんまりついてウハウハになれると甘く見ていた。企業で働いて幻想が打ち砕かれ、待遇なんて努力じゃどうにもならないって嫌になるほど分かった



また、私の入社した会社は業界内では中堅企業で、大手に利益率で引けを取るぶん給与も控えめだった。国内外の企業が業界内で激しく競争しており、互いに消耗しあって苦しんでいた。そんな場所で働いていたものだから、納得とは程遠い待遇だった



昇進したくても、上が詰まっていて難しかった感じ?



それはそうでもなかったんだけど、財源難で昇進できる人の数を絞り、昇進しづらい構造になっていた。どうしてこんな優秀な人が今のままの役職なの、と首を傾げたくなる人事も多かった。また、昇進二年目になってボーナスが減り、来年度は更なる苦境が予想されそうだった



年収、いつまで経っても上がらないにゃんね



自分は博士課程を一年飛び級して修了できるほどの研究業績を挙げてきた。人並み以上に頑張ってきたのに今の待遇しか得られず、年収もこれから先はしばらく変わりそうになかった。給与明細をまじまじと眺めて、これまで遮二無二突っ走ってきた自分に申し訳なくなっちゃってさ



転職活動を経て年収が上がり、ようやく納得のいく待遇を得られた。自分の値札を自分で付け替えて、気分新たに再スタートしようと思う



がんばって!
ようやくレールから外れられた



転職活動して良かったことは、まだある?



あるよ。最後にもうひとつ紹介するね
転職でようやく社会が引いたレールから外れられたなと思った。



ん、どういうこと?



私は、大学院の博士課程を経て民間企業に就職した。修士課程から博士課程に進む段階で、専攻にいる同期の9割が就職したなか、自分とその愉快な仲間たちはマイノリティーとして博士進学した



ぼくから見れば、もうレール外れてるにゃん。頭のねじまで外れてる…



うるさいわ
ねじはね、研究室で指導教員に抜かれちゃったんよ。卒業したとき返してもらおうとしたら、「もう捨てた」って



え、



ま、それは置いておいて、
世間的に見れば、博士課程進学も十分レールから外れた行為に見えるよね。でも、修士から博士に進学するのは、研究者志望の学生なら当たり前なんよ。当時の自分も研究者になりたいと思っていたし、博士進学に抵抗感はなかった



ただね、新卒で大企業に入って三年未満で離職するとなれば話は変わる。古き良き日系大企業の平均勤務年数は15年以上で、数年で退職する社員はほとんどいない。そのような環境で、入社一年半で離職したわけだから、これはもう脱輪したと言っていいんじゃないかな



本人の感覚的には、あ~、やっちまったなぁ! って感じ?



クールポコみたいに言うなよ
普通なら、あ~あ、オレの人生もうおしまいだ、と気落ちするよね。私はネガティブな気持ちにはならなくて、むしろホッとしている



ねじを抜かれたから、かな



かもね。もしくは、これでようやく”普通”の生き方に縛られずに済むんだと思ったから、かな



普通っていうのは、大学を出て就職し、同じ会社に長く勤めて、車を買って結婚してマイホーム建てて… みたいなヤツ?



うん。今から普通の生き方をしようったって、もう辞めちゃったから無理なんだよ笑
そもそも私は大学受験で一年浪人していて、車輪の半分はもうレールから外れていた。博士課程短縮修了で帳尻を合わせ、この度の転職で再び脱輪した。今度は車両ごとひっくり返っちゃったよ



復旧できそう?



JRに聞いて



お前が始めた物語だろ



にゃん
一浪・一飛・一短のハットトリックを決めた以上、いわゆる普通の人生は難しい。今後は同期との出世レースに乗ることもなく、周囲から大きな期待を寄せられることもないはず。普通の呪縛から解き放たれたからこそ、これからは自分のペースで自分のやりたいように生きていけると思う



そんなに普通って気になるものかな



気になってたねぇ。親からも「普通が一番」とか「はやく結婚して孫の顔を見せろ」とか言われていたし(だいたい、彼女もいないのにどうやって子供を作れというのか)
何かしら理想の人生があって、それの達成を目指してきた。ほんと、窮屈な生き方だよね。まるで双六みたいな人生だわ



いまは、どのマス?



会社を辞める。一回休み



ほんとに休んでんじゃん
でも、ようやく解放されて良かったにゃん
次の会社では何年働くつもり?



一社目もなるべく長く働くつもりで入ってこのザマなので、あまり大きなことは言えないけれど、



(爆笑)



笑うなよ



ごめん笑



次の会社はけっこう長く働く気がするよ。最低でも7年は働く。ヘタしたら定年まで働くかもね



もうさぁ笑、やめるフラグにしか聞こえないわ笑



うっさいなぁ。真面目に頑張ろうとしているんだから、笑わんでくれるかな



二社目は一社目と違い、自分の強みを活かして働ける。事業内容も様々あるし、研究以外にも技術営業のような仕事も任せてもらえる可能性がある。それに、年収がメーカー最高峰なので、他の会社に移る理由がない。他に移ったら、年収が下がっちゃうから。もし移るとしても、移り先は総合商社ぐらいしかないよ



そっか、それなら長続きしそうだね笑



まだ笑ってるじゃん


















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