北大博士課程を修了し、地元の民間企業にUターン就職した。地元で専門性を活かせる仕事を選び、働き始めた。
いざ入社してみると、研究実績ゼロの修士卒が技研配属された一方で、博士の私は量産開発部門に配属された。職場では、そこまで専門性が求められない、どちらかというと作業タイプの仕事をあてがわれた。加えて、開発現場がバタバタしていて思考を深める余裕がなく、これは自分に合わないわと判断して転職を決意した。
転職すると決めたのまではいい。転職活動時間をどこから捻出するかが問題である。転職活動を成功させるには、転職活動しなければならないわけだが、量産開発部署は朝から晩までものすごく忙しい。ゆえに、離れたい場所から離れるための行動に踏み出せないワケである。やめられない止まらないでお馴染みのかっぱえびせんみたいなイメージだ。
転職活動は面倒くさい。一日じゅう履いた靴下の指先ぐらい臭い。ファブリーズなんかではごまかし切れないし、洗剤をつけて洗って二日ぐらい天日干ししてもどうにもならないだろう。臭い臭いも好きのうちと言うが(言わない)、この臭さを乗り越えてようやく転職を遂げられるのだ。恐ろしいほどの難関である。
それでは、忙しい部署で働いている会社員は、如何にすれば転職活動できるだろうか。どのようにして転職活動の時間を絞り出すか。忙しいから転職は無理だ…と言い訳するのではなく、忙しくても転職できる方法はあるのか。
私は残業月25時間のそこそこ忙しい開発社員だったが、スケジュールを巧みにやりくりして一カ月半で転職活動を終わらせた。この記事では、量産開発部門で働きながら転職活動を成功させられた秘訣を記していきたい。
スカウト型サービスを活用
転職活動の進め方には二通りある。
- 企業に直接応募する方法
- 相手からのスカウトを待つ婚活女子スタイル
前者の直接応募型は、企業が出す求人に履歴書と職務経歴書を送付する。私自身も就活生時代は企業に直接応募して面接までこぎつけた。
直接応募型は仲介者を挟まないので、企業からすれば採用コストを抑えつつ人材確保できる。一方、我々応募者側としては、まず求人を見つけるのが大変である。世の中には星の数ほど会社がある。数多の転職候補があるなかで、現職で働きながら自分に合う企業を見つけ、逐一応募するのは骨が折れる。キーボードを叩きすぎて、指先が疲労骨折する懸念もある。
転職活動を考えるのは、会社員になって数年たった頃合いだろう。その頃には社会の荒波にもまれ、もまれすぎて、洗濯してはいけないのにしっかり洗濯された綿製品ぐらいシワシワになっている。自ら企業へ直接アタックする余裕など無いのではないだろうか、少なくとも私には無かった。
忙しくて疲れている転職希望者には、スカウト型サービスをオススメしたい。スカウトサイトに登録しておけば、我々を欲しがる企業の方から「ウチに来ませんか?」とメッセージを送ってくれる。我々は婚活女子と同じく、めぼしい条件の企業に返信すればいい。企業側から連絡してきたわけだから、求人には自分に合いそうな要素があるはずだし、とりあえず話だけ聞いてみてから判断しても良いだろう。なお、間違っても「趣味はカフェめぐりとディズニーです!」と返信しないよう注意してもらいたい。
皆さんのように勇猛果敢で積極的なアタッキングフットボールができる方ならば、登録直後から一日何十通ものスカウトメッセージが届くだろう。わんこそば屋に行って、ギブアップしても女将から「まだ行けるって、いや行け!!!」と鼻にそばを突っ込まれるぐらいの勢いでメッセージが来る。来すぎて、マジで何が何だか分からなくなるぐらい来るから楽しみにしておいて欲しい。
私は最初リクルートエージェントに登録していたが、派遣会社と正体不明のIT企業からばかり求人が来て、ビズリーチに切り替えた。ビズリーチなら、名の知れた企業からスカウトが届く。現職より大きなメーカーはもちろん、総合商社からも連絡がきたし、転職活動にはビズリーチがオススメである。
仕事を終えて夜に転職活動
フランス国王妃のマリー・アントワネットは「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」と言い放った。貧乏な国民の怒りを買って、革命のさなかにギロチンで処刑された。ケーキじゃなくてパスタとかサツマイモとか言っておけば処刑されずに済んだはずなのに、世間の事情に疎いと命まで奪われるから気をつけねばならない。
私はパンよりご飯の方が好きである。大学に入って以来、一日二食の生活をかれこれ9年半続け、毎食お米を食べてきた。日本人の身体にはご飯の方が合う。ご飯はご飯でも、玄米をオススメしたい。玄米はミネラルが豊富で、玄米さえ食べておけば生きていける。玄米は半日ほど水に漬けてから炊飯するとふっくら美味しく炊ける。
ま、そんなことはどうでもいいのだけれども、マリーがパンが無ければケーキと言ったように、我々転職者も工夫可能な点はある。忙しい生活の中で時間を捻出する方法がある。日中が無理なら、夜にすればいいじゃない。
どれだけ忙しい方でも、帰宅して飯を、玄米を食べてから寝るまでに一時間はある。そんなに時間はないという方でも、スマホやゲームをやめれば多少の時間を捻出できるのではなかろうか。強靭な意志力でかっぱえびせんに封をすれば両手が空くだろう。
私の部署には会議好きな方がおられ、朝から晩までたくさんの会議を入れられる。10時間の業務時間のうち9時間半が会議だった日もある。夜遅くまで会議に参加して、ヘロヘロで家に帰ってくる。
本来ならもう寝たいところである。鶏が一匹、鶏が二匹…コケコッコうっせぇな黙っとけ、鶏が三匹… と安らかに眠っていたい。しかし、ここで眠ると転職できないだろう。平日は仕事と睡眠で終わる毎日が退職日までヘビーローテーションされる。今のままではいけないと思っている。だからこそ、今のままではいけないので、動かなければと奮い立った。
夜に転職活動を行うべく、食事や生活を見直した。帰ったらすぐご飯を食べられるよう、出勤前に導線を整えた。うわっ、玄米炊いてなかった~と頭を抱えずに済むよう、玄米炊飯チェックリストを作った。それから、会議で消耗しすぎないよう、半分気絶した状態で会議に出た。周囲からは「とうとうゾンビになったのか」と心配されたが、何を言われようが気にしなかった。おかげで帰宅後も最低限の気力を残せて、帰宅後に転職活動を進められた。
そのほか、早起きできた日は早朝に書類作成や面接対策を行った。夜のアタマで考えた事柄を朝のフレッシュな頭脳で見直した。在宅業務可能な日には、スキマ時間を作ってオンラインで面接を受けた。コロナ騒動以降、面接がオンライン中心となっている。仕事をなかなか抜けられない量産開発部門社員が転職しやすい環境が整っている。
転職エージェントに相談
転職活動の正解は無数にある。内定を得て納得して抜けたものが勝者である。希望の企業から内定を得られさえすれば、内定までのプロセスは十人十色なのだ。
正解がないからこそ迷いやすい。これで本当に内定を取れるのかとか、そもそも転職するのが良いことなのかとか、色々思い悩んでしまう。私自身も転職活動を始めたての頃はキャリアのことで悪夢を見るほど悩んだ。
最近は生成AI技術が発達してきて、ChatGPTにお悩み相談までできるようになった。確かに彼らはぶつけた感情を無視せず受け取ってくれるし、叱ってと頼んだら叱ってくれる。しかし、同じAIを長く使っていると、彼らは使用主の喜びそうなことしか言わなくなる。AIとコミュニケーションを取っていると、自分の思考の癖までAIと似てくる。そのため、AIの主張が客観的に見てどうなのかも、客観的に判断できなくなるのだ。
当初はキャリアのことでAIに相談していた。しかし、六社連続で落ちたときに「転職活動のやり方がおかしいんじゃないのか」と察し、進め方の検討を加速した。ただでさえ忙しくて消耗する開発部署に居て、転職活動で不本意な結果が続くと病んでしまう。我流でやっても落ち続ける。これ以上は時間を無駄にできないと考え、転職エージェントに相談した。
転職エージェントとの初回面談で、転職活動に求める軸をハッキリさせましょうと言われた。どのような仕事に携わりたいのかとか、年収はどれぐらい欲しいのかとか、転職によって何を変えたいのかを決めるところからスタートしようと提案されたのだ。
確かに、私の軸は散らかっていた。バラバラな業界を受けていたし、志望動機もやや曖昧だった。広島のお好み焼きは最高だとか、ちょっとよく分からないことも思っていた。ゼロベースで考え直していけば、むしろ転職活動を早く終えられる。急がば回れ、抜き足・差し足・ほふく前進の精神でやり直した。
転職エージェントにはお悩み相談だけするつもりだったが、利用料は無料と言われて節約魂に火がついた。せっかくなら利用し尽くしてやろうと、求人紹介までご依頼した。親切にも、私の希望に合う求人をたくさん持ってきていただいた。その中から”これは”と思う求人を5つ選ぶと、エージェントさんが応募までしてくれた。おまけに日程調整までやってくれた。さすがに面接まではやってくれなかった。
転職活動は新卒就活と異なり、内定後に給与交渉ができる。交渉次第でより良い待遇を得られるのだ。転職エージェントは給与交渉までしてくれる。クレヨンしんちゃんの映画を見る小学生と同じぐらい真剣に交渉してくれる。転職者の想定年収の3割程度が内定先からエージェント企業に振り込まれるためである。給与交渉まで自力で行うのは大変だが、エージェントを使えば面倒な手間を省けて楽ができる。
最後に
残業月25時間の開発部署で働きながら転職活動を一ヶ月半で終わらせた方法を記した。
業務の傍らで新たな職場を探すのは大変である。時間を捻出するのでひと苦労だろうし、時間があっても疲れて身動きを取れない日があるかもしれない。私自身も働きながら転職活動を進めたが、仕事しながら別の仕事をしているようで頭がおかしくなるかと思った。
転職活動は負荷の高い営みである。皆さんはどうか無理のないペースで進めていただけると幸いです。
















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