男だけ利用料を取られる

マッチングアプリは無料で会員登録できます。ただ、無料でできるのはプロフィールを作るところまでで、いいねを送ったりメッセージのやり取りをしたりするには有料プランへの課金が必要です。課金しないと”いいね”を送れる数に上限がありますし、そもそもメッセージすら送れません。だから、事実上、課金は必須です。
しかもね、課金額には性差があります。お金を払うのは男性だけで、女性は無料で使えるのです。運営に言わせれば「男性のほうが利用者が多いから」らしいのですが、月々3,000〜4,000円って、けっこうな額ですよ。半年プランでも1.5万円取られます。私は大学院時代に1年、社会人になってから9ヶ月、マッチングアプリを使いました。結局彼女ができなかったうえに、5〜6万円も溶かしました。
課金継続ボタンを押すたび、自分は何をやっているんだろうと悲しくなりました。異性と出会えてもいないのに、来月になったら誰かと出会えるかもと希望を抱き、翌月の更新が止められない。ここでやめたら今まで払った分が全部ムダになる気がして、引き返せなくなるんです。サンクコスト、ハンパないって。負けが込んだパチンコ客が席を立てなくなるのと同じで、運営はこのへんの心理をよく分かっています。本当によくできた商売だなと感心しました。
女性と意思疎通が成立しない

マチアプ活動を始めたところまでは良かった。お金を払っている時点でちっとも良くはないのですが、まぁ、小さいことには目をつむりましょう。
問題はそこからで、いくら いいね を送っても返ってきません。送れる いいね の数の限界に達するほど送ってもノーリアクション。自分って、こんなにも異性から興味を持たれないのだな…と愕然としました。
女性のもとには毎日何十件もいいねが届くわけですから、全員に対応できるはずがない。相手を選んで、ごく一部の男性とだけやり取りするんでしょう。私のような男は、おそらく最初から目に入っていません。
結局、男が払う利用料って、モテる男と女性が出会う場所の維持費なんですよ。モテるわけもない男が不相応な期待を抱き、自ら進んで養分になりに行っているわけで、なかなか間抜けな話ですよね。このクソが、と思います。
さすがにゼロいいねには腹が立ちました。やられたらやり返す、倍返しだ(誰に?)。
生まれてこのかた28年間同じ髪型だったのを、思い切って理容室でイメチェンしてみました。その結果、横顔はジェネリック松坂桃李になりました。そこそこ悪くない感じに仕上がって、カフェで店員さんに土下座してプロフィール写真を撮っていただきました、ありがとうございます。
そうしたら、急にいいねが増えたんです。一日で5つも いいね をもらえた日もあり、なんじゃこりゃと驚きました。何ヶ月もブラッシュアップしてきた自己紹介文には誰も興味を示さなかったのに、写真を一枚変えただけで反応が変わる。もともと、中身なんて誰も見ていなかったわけです。見た目が整っていてようやく中身の問題になる。
今までゼロいいねだった腹いせにと、いいねをシカトしてやろうかと思いました。私は温かな心の持ち主ですからそのようなことはできず、何人かにいいねをお返しし、いよいよ異性との会話を始めたのであります。
今度は別の壁にぶつかりました。こちらが何か質問すると、返事は来るのですが、向こうからは何も聞いてこないんだな、これが。会話がずっと一問一答なんですよ。まるでチャットボットと喋っているみたい。自分の聞き方が悪いのかと思って、AIに相談しながら文面を工夫しても、結果は変わりませんでした。
まぁ、考えてみれば当たり前です。向こうは何十人もの男と同時にやり取りしていて、私はそのうちの一人にすぎないですから。通知が来たから返す、くらいの感覚で、わざわざ女性側から会話を広げる理由がないんですよね。
こっちは一生懸命に話をふくらませようとしているのに、相手はスタンプを返すくらいの気軽さでこなしている。その差に気づいたとき、ひとりで空回りしていた自分が情けなくなりました。あー、もうほんとバカバカしいな~って。
カフェめぐり・ディズニー・アイドルの三点セット

苦痛で苦痛で仕方がなかったですよ。何でお金を払ってこんな辛いことをやってんだろうって。自発的にフルマラソンへエントリーするのと同じぐらい意味不明じゃないですか。わざわざ何万円も払って出場権を得、日々会社の業務で疲れた身体にムチを打って練習し、本番では30kmの壁を越えてからゾンビのごとく足を引きずりながら進む。
イライラしすぎてスマホを叩き割りそうになりました。スマホが壊れたら困るのは自分ですし、マチアプのサブスクライブを解約できなくなるとマジで困るので、超人的な、それこそサルのような理性を発揮して、スマホ破壊工作を思いとどまりました。一問一答に疲れながらも、なんとかアプリを続けました。彼女が欲しかったからです。
改めて女性のプロフィールを読んでみました。異性の心の扉をオープンするには、相手を深く知るのがカギではないかと思ったから。コミュニケーション中の相手の自己紹介文を眺めてみると、揃いも揃ってみな似たようなことを書いています。
- 職場に出会いがないので始めました
- 週末はカフェめぐりをしています
- 好きなものはディズニー(ユニバ)と韓国アイドルです
- 優しく受け入れてくれる人と出会いたいです、よろしくお願いします!
顔と年齢とスタイル以外、中身がほぼ全員同じなんですよ。こういう女性を量産する工場でもあるんでしょうか。絶苦死胃に「男はこういう女性が好き!」って書いてあるんですかね、知らんけど。
出会いがないから始めたんじゃないでしょ、出会いが欲しくて始めたんでしょ。そもそも、カフェめぐりって何ですか。カフェをめぐって、何が楽しいんですか。わざわざ行列に並んで、お金を払って店内ですし詰めになり、カロリー爆弾… じゃなかった、ポリポリ★ぷくぷく★ぽんぽこりんフラペチーノをすすってデブエットして、いったい何が面白いの? 液体でカロリーを摂っちゃいけないって、小さいころ道徳で習わなかった?
舞浜まで行ってネズミ風のカチューシャをかぶり、ネズミと満面の笑みで撮った写真をプロフィールにしている方もいました。知らないのかな、アレ、中身はおっさんですよ? あなたはおっさんとニコニコ写真を撮っているんですよ? 推し活だかトンカツだか知らないけど、自分よりひと桁もふた桁も多く稼いでいる人にスパチャするって、何が悲しくてそんなことをするのか、でんぐり返りしても意味が分かりません。
カフェめぐり・ディズニー・アイドルの三点セットを備えた方たちと一緒に過ごしたとて、私の毎日が楽しくなる気がしませんでした。
とはいえ、プロフィールの没個性にいちいち腹を立てている時点で、私はアプリに向いていなかったんだと思います。
ブログをやっていることからも分かるように、私は何かを作るのが好きなタイプで、人が作ったものを消費するのがどうにも楽しめない。一方、世の中の大半は消費する側であって、作る側ではありません。カフェめぐりをしている彼女たちのほうがよっぽど普通で、普通に楽しめない私のほうがおかしいんです。
自分には恋愛も結婚も不相応だったのだと思い知った

高校と大学で、それぞれ可愛い彼女がいました。高校の彼女は見た目も中身もふわふわしていて、一緒にいると華金の晩に飲むニッカウィスキーの原液くらい癒されました。大学の彼女は見た目こそゆるふわでしたが、中身は完全に男で、これが抜群に気が合った。
どちらとも別れてしまって、それからは異性との縁が途切れました。
社会人になってからは、仕事のストレスで毎日おかしくなりそうになりました。いや、実際にはちゃんとおかしくなっていて、血尿も出たし、ゲロも吐いたし、「あー、早く辞めたい」といつも呟いています。部署内でも一番の激務チームに配属され、他のチームが閑散期に入ってからも自分たちだけは繁忙期。同じ部署からも違う部署からも詰められ続け、かつ永遠に変わる開発目標にキャッチアップすべく、業務時間のうち9割を会議に捧げる最高のチーム。気を抜いたら涙が出てしまうので、おそらくもう限界なのだと思います。
私は、心の拠り所が欲しかった。あー、疲れたぁ…と言って、ギューッと抱きしめて抱きしめ返してもらえる彼女が欲しかった。
職場は359度を男が占め、残り1度は彼氏持ちか既婚者の女性が占めており、出会いなんて望むべくもありません。今のままではいけないと思っている。だからこそ、今のままではいけないと思っている。一念発起し、彼女を作るためにアプリを始めたわけです。
並々ならぬ思いを持ってマチアプを始めましたが、6万投じて、出会いはゼロ。最後の望みだったアプリもダメで、一生ひとりなんだろうなと覚悟しました。高校時代の彼女は自分から振り、大学時代の彼女には愛想を尽かされて浮気され、アプリでは彼女はおろか話し相手すらできなかった。
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一年半ものマッチングアプリ活動を通じて、自分には恋愛できるほどの魅力もないし、結婚なんて夢のまた夢なんだと、それはもう嫌になるほど思い知らされました。おかげで、何が楽しくて生きているのか、本当に分からなくなってしまいました。この世界に、希望ってあるんですかね。


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