広島生活春夏秋冬vol.19 二年目・5月|大型連休に伴う、崖っぷちのぽにょによるコロコロ・ブラックペッパービューティー宇宙研究開発

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8+2+2連休

学生時代は休日が苦手だった。平日に作った生活リズムを崩され、調子を狂わされるのが嫌だった。もともとハードワーカー気質なのもある。休んでその場で足踏みするよりも、毎日1ミリでもいいから前に進み続けていたい。羽休めという概念を知らず、渡り鳥のように移動し続け、束の間の休息を経て、前へ前へと突っ走っていくタイプだった。

前進し続けていたのは、停滞が許されぬ家庭環境だったからだ。当の親本人は家でゴロゴロして何の努力もしていないくせに、子供に求めるものの基準はエベレストよりも高い。

私には、無償の愛を注いでくれる存在がいなかった。親が求める期待以上のアウトプットを出し続けて、ようやく家への居住権を認められた。期待はパラボリックに高まっていくから、過去の自分を指数関数的に超え続けなければならない。だから、一瞬たりとも止まれなかった。休んでいては成果を挙げられないし、存在理由を否定されてしまう。

大学進学で親から解放され、ようやく誰かの期待を満たさずとも済むようになった。それでも、19年間暮らした実家で染みついた悪癖はなかなか抜けないもので、結局、大学院で二度喀血するまで自身を追い込み続けてしまった。

会社員になって一番良かったのが、土日が必ず休日であるということ。社給PCの電源をつけてはいけないし、会社の通用門をくぐるなど御法度。会社が社員に少しでも長く働いてもらうべく、「土日ぐらいはしっかりやすみんさい」と業務から解放してくれるのだ。実家で根付き、大学で強化されたワーカホリック症候群は、一年間の会社勤めで見事に解毒された。

開発部署で働きながら論文を読んでいると、アカデミアで輝かしい業績を挙げ続ける研究者が眩しく見える。いいなぁ、自分もあっち側に戻りたいなぁ、と羨ましくなることもある。だが、もし大学で研究し続けていたら、今頃とっくに燃えカスになっていただろう。休まなきゃいけないのに休むに休めず、精神を不可逆的に損傷して立ち直れなくなっていた。

脱アカを悔やむ日もあるけれども、一年経った今では、自分の決断を正当化できそうな気がする。

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さて、弊社はSHUCDEC(スーパー・ハイパー・ウルトラ・超・どんだけ・エクセレントカンパニー)。広島イチのぽんぽこりん企業として、異次元の福利厚生を完備している。オーシャンビューのタワマン最上階に個人負担2割で住める唐揚げ社宅制度を筆頭に、ロンドンでもリオデジャネイロでも火星でも仕事可能なテレワーク制度もあるし、夏、暑い中ほふく前進で通勤すれば、上司から よく頑張ったなでもマジで何やってんのウケるわこんちく賞 を贈呈される。

他にも様々な福利厚生があるが、目玉となるのは長期連休だろうか。弊社には春と夏と冬にウルトラスーパー連休がある。普段は土日の二連休だけれども、ウルトラスーパー連休は8~10日連続で休業日となる。休みすぎて会社に行く気が失せるほど長く休める。実際、連休終盤は自分が会社員であることが信じられなくなり、明日から仕事だと思うと憂鬱すぎて、天照大神と一緒に天の岩戸へこもりたくなる。

ワーカホリックが抜けきっていない一年目のGWは、ガッツリ勉強してしまった。当時はまだ新人研修中だったのだけれども、部署配属されたときに即戦力として活躍できるよう、業務に必要そうな知識を網羅的に学習していた。GW明けに部署配属されると、業務時間中に勉強していいと言われ、連休の過ごし方を間違えた……と歯ぎしり。それ以来、連休はしっかり休むようになった。平日や土日には味わえない非日常を求めて、遠出したり、分厚い本を読みあさったりするようになった。

今年もGWがやってきた。今回は8連休とのこと。カレンダーを見てみると、ただの8連休ではなさそう。連休前には土日があって、「さぁて、来週のサザエさんは?」と気を緩めていると、不意打ちで月・火が来てメンタルをやられ、昭和の日からようやく連休開始。休み明けは5/7(木)。週刊フライデーを挟み、また土日があり、翌週から平時に戻る。

連休とは何か。京都御所で日々、喧々諤々の議論が交わされている。連休はあまりに多義的な概念なので、ネコパンチ以上グーパンチ未満とか、月の裏側には宇宙人がいるとか、鴨川の源泉は猪苗代湖だとか、奈良の鹿はせんべいより普通にうどんの方が好きとか言われている。その真相は、京大熊野寮の屋上にある。

今年の連休は平日に挟まれている。前か後ろだけなら理解できるけれども、前と後ろから挟撃されている。棋士の羽生善治さんが言っていたけれども、将棋では挟み撃ちが基本らしい。どちらからも逃げられぬ状態を作れば容易に詰ませられるとのこと。羽生さんは優しいから左右挟撃で勘弁してくれるが、藤井聡太くんは前からも斜めからも迫ってくる。そりゃ勝てんわ、だからあんなに強いのね。

連休も同じではないだろうか。平日でサンドイッチすることで、具を減らしてもバレないやろとセブンイレブンのように高をくくっている。あのね、スッカリお見通しですから。こっちが何か月前から会社カレンダーを眺めていたと思ってんだ。具が減れば、持ち上げたときに重さで分かるんだぞ。まったくもう、最近のコンビニはどうなってんだ。サンドイッチしかり、おにぎりしかり、具材が減って、値段ばかりが上がっていく。大変遺憾である。

・・・・・・・

ま、そんなことは別にどうでもいいんだけれども、8連休って、どうなんだろうか。だって、8連休って、8連休ですよ。前後に平日が二日あるんですよ。平日って、連休に挟まれたら休日になるんじゃなかったのか。どうしてそう平然と、平日が世間を跋扈しているのか。おい、平日よ、恥を知れ、恥を。武士道を学んでこい。札幌の羊ヶ丘展望台まで行って、クラーク先生の隣で立ってなさい。

あのさ、平日くん。君は憎まれ者なんですよ。アボカドの種ぐらい嫌われているんですよ。食えないクセに、君はどんだけデカいの。もうちょっとこう、しおらしく振舞ってもらわないと困るんですけどねぇ。8連休前に2日も働かなきゃいけなかったら、君がどう思われるか、容易に想像つくでしょ。

思考実験をしてみようか。書店の出入り口にゼクシィを置いたらどうなるだろうか。そのお店には男が全く寄りつかなくなる。だって、絶 苦 死だもん。しんどいの、嫌だもん。もはや桃色すら嫌いになったわ。平日くんも絶苦死と一緒で、土日と連休に挟まれいるのだから、おとなしく連休に吸収されなさい。

連休前の平日に説得を試みるも、連休との合体を拒否されてしまった。8連休で勘弁するかと観念しかねたとき、脳を電撃が貫いた。処刑されたマリー・アントワネットが、首をかかえてXのタイムラインに現れた。

にゃー

連休が欲しいなら、買えばいいじゃない

うわぁ~、そうか、買えばよかったのか。愛はカネで買えると言われるように、休息も愛と夢と希望で手に入る。

連休明けの木曜と金曜に二日連続でUQ申請した。8連休と土日を2連QでUhh…すれば、魂の12連休になる。弊社は開発環境こそ劣悪だけれども、いつでもどこでも誰とでも好きなだけUQ申請できるのは素晴らしい。

上司にUQ申請したところ、「ゆっくり休んできてね^ ^」と笑顔で送り出された。吸引力抜群のダイソンが通過した後の、塵ひとつないフローリングぐらい綺麗な表情だった。私だけが休むなら連続UQ申請にも気が引けるが、上司が率先してUQを取ってくれるので、部下の我々も気軽に休める。

さて、今年のGWは12連休だ。12日もあれば世界一周できる。原油高で海外旅行は難しい情勢だから、近場で何か楽しめないか考えてみたい。連休突入後に連休中のプランを考え始める時点で相当終わっているのが、ま、仕方がない。そこのところは、博士課程と総合旅行業務取扱管理者試験で得た旅程検討加速能力でカバーしていきたい。

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