大津から福知山へ
レース当日は03:55に起床。強豪野球部の下級生のごとく、目覚ましの鳴る15秒前に起き、おもむろにアラーム設定を解除した。寝覚めは最高。パッチリと目が覚めた。眠気はない。頭の中にモヤモヤもない。視界はクリア。最高の滑り出しだろう。
汗腺を開かせるために軽くシャワーを浴びる。ついでに寝ぐせも直す。ひげも剃っておいた。カバンの中からanswer600をもう1パック取り出す。塩と一緒に水へ溶かして半分ほど一気に飲んだ。レース出走前の朝食はanswer600のみで済ませる。お腹の中にほとんど何も入っていない状態で走るのが理想。今さら何かガッツリ食べたとしても、走り始める前までにエネルギーには変わらないだろう。カーボローディングは前夜までに済ませるべき。当日朝は何もしないつもりでいた方が良い。
05:30にホテルをチェックアウト。ウォーミングアップがてら、早歩きで大津駅へ。脚のどこにも異常は見当たらない。万全の状態で走れそうで良かった。今シーズンは何度かケガで練習を中断した。ランナーズニーやふくらはぎの肉離れ、足底筋膜炎などでそれぞれ一週間ほど完全休養。ケガの時期がレースと重なったらどうしようかと危惧していた。ケガのない状態がレース当日と重なってくれて胸を撫で下ろした。
ホームへ上がった所で京都行きの列車が入線。ツイているわ。今日は絶対に良いことがある。車内で福知山マラソンの参加案内へザっと目を通す。コースの高低図とスタートブロック閉鎖時間の二点は特に念入りに確かめておいた。乗車から10分で京都駅に到着。福知山行きの列車が出る31番ホームへ向かった。
どうやら、福知山では手荷物預かりが有料みたい。貴重品のみ無料での預かり。リュックサックやキャリーケースなどの大物は、有料で預けるか、武道館内の控室へ放置しておくかの二択。参加案内には”有料”としか書いていない。何円なのだろう?想像もつかないな。
福知山へは取られても良い荷物だけを持って行く。取られたら困る荷物は京都駅のコインロッカーへ預ける作戦に。ちょうど31番線のホームへ大量のロッカーが設置されていた。サイズを見繕って400円のロッカーを選ぶ。ロッカー番号は3450。3’45″/kmで走り切れるよう、ロッカー番号にもこだわりにこだわった。支払いは交通系ICカードで。ロッカー開錠の際にも同じICカードが必要だそう。万が一、カードを無くしたら大惨事やな。無くさぬよう気を付けよう。自分の命よりもICカードが大事。
福知山行き臨時列車「福知山マラソン号」は既に入線済み。車内は大勢のランナーでごった返していた。最前列の車両にはまだ若干の余裕が。これ幸いと着席。立って移動しなくて済んで安心。私の前後左右は出発五分前にランナーで埋まった。京都駅へ早めに着いておいて大正解。
定刻通りに列車が出発。京都市内でランナー客を拾いながら園部まで行く。そこから終点まで50km以上もノンストップ。山陰本線は単線区間が多い。反対方向からやって来る列車と駅で仲良く待ち合せながら進む。道中、雲行きが怪しく、時々ザーッと強い雨が降る場面も。今日の福知山は北風4mに小雨の予報。結構寒いレースになりそうだなと覚悟した。
自分は暑いよりは寒い方が好き。北海道のランナーだから寒さには慣れている。とはいえ、寒すぎるのにも弱い。身体が冷えるとすぐお腹が痛くなる。身体を雨で濡らされ、北風に曝されるとなっては体感温度の相当な冷え込みが予想される。半袖シャツを着るべきだろうか。普段通り、ノースリーブとアームウォーマーの組み合わせで出走するのが正しいだろうか。服装は出走直前に判断しよう。今は少しでも天気が良くなるのを祈りたい。
駅のトイレへ向かうと長蛇の列が。急を要する事態ではない。用を足すのは会場に入ってからでも構わなさそう。
福知山駅から動線に沿って会場までのシャトルバス乗り場へ。さすがは数千人規模の大規模大会。バス停までにもの凄い大行列ができていた。係の方から「ごめんねぇ。なかなかバスが来なくてねぇ…」と謝られた。スタートゲート封鎖までに間に合えば良い。まだ二時間近くある。謝らなくたっていい。二十分ほど待ってようやくバスに乗れた。バス停から会場までは同じく二十分。バスを待たずに歩いて向かうのは少々厳しかっただろう。
降車直前、バスがとんでもなく険しい坂道を上っていった。何だか嫌な予感がしてGPSで場所を確かめた所、我々マラソンランナーがフィニッシュ直前に上る坂だった。42km走った後にこんなえげつない坂を上らさせられるのか。京都府民はやはり性格が悪い笑。コース設計者の性格の悪さがコースからも滲み出ている。ラストの激坂で有名な水戸黄門漫遊マラソンですら坂道の高低差は20m。福知山のコース最後にある坂道は倍の高低差40m。死んでくださいと言っているようなものだ。上等だ。死んでやる。全力で走って打ち上げられてやる。
レース会場にて
動線に沿って会場内へ。途中、スタートゲートの横を通る。否応なしに気分が高まってきた。自分のサブ40は今日ココから始まるのだ、と。途中でどのような困難が待ち受けているか分からない。足が攣るかもしれないし、エネルギーが枯渇して脚が動かなくなってしまうかも。如何なる状態に陥っても諦めない。頭を働かせてその場をしのぐ活路を見出す。本気でサブ40を目指してきた自分に対する最低限の礼儀を払わねばならない。簡単にサブ40を諦めてしまったら、せっかく今まで積み重ねてきた練習が無駄になってしまう。
係員さんからステップスポーツの黄色い袋を受け取った。中にはプログラムや参加賞の手提げ袋、それに防寒用のビニール袋が入っていた。使い捨てできる防寒着はありがたすぎる。早速使わせてもらう。スタート直前まで着ておけば寒くないだろう。完走したら千原ジュニアさんデザインのオリジナルTシャツが貰えるそう。楽しみだな。今回はどのようなデザインなのだろう。
選手控室の左隣に手荷物預かりコーナーが。預かり料は一個1,000円だそう。自分の手荷物はリュックと手提げ袋の2個。仮に2つとも預けたら2,000円取られていた。さすがに荷物へ2,000円は払えない。大半のランナーと同様、手荷物を控室へ追いて出発した。控室には選手らの家族が。あの人たちが見ている前では悪いヤツらもそう簡単には荷物へ手を出せまい。
スタート時刻は10:30。スタートゲートの開放時間は09:45~10:15。控室を09:55ごろ出た。まずは小走りで貴重品預かりコーナーを探しに行く。けれども、そのコーナーをどうしても見つけられなかった。会場の地図を参考に探してみたものの、それらしい場所はどこにも見当たらなかった。仕方がなく控室へUターン。「誰も取ってくれるなよ…」と呪文を唱え、リュックの奥深くに隠して再出発。
スタートゲートに入ったのは10:05。割り当てられたAブロックへ到着。既に200人ぐらいのランナーがいた。皆、ものすごく速そうな風貌。いったいどれぐらいのタイムを申告したのだろうか。足元は厚底シューズばかり。ナイキやアシックスを中心に、アディダスやホカオネオネのシューズもチラホラ。中底・薄底シューズを履いていたのは視認した中でわずか3名。厚底シューズの猛威を体感して「自分も厚底を履ける脚だったら…」と少し悲しくなった。
スタート5分前からMCの盛り上げが始まった。特別ゲストの小林祐梨子さんときゃっするひとみーさんらのトークに耳を傾けてみる。音響が酷くてちょっと何を言っているのか分からない。ダメだ、こりゃ。自分の内側に意識を向け直した。
天気がどんどん良くなってきた。会場到着時には曇天だったのに、今や青空が見えるほどの心地良い陽気に。着ていたビニール袋を道路脇へ置かせてもらう。コレを着て走ったら暑いだろうから。レース途中の発汗は足痙攣のもと。汗からミネラルを喪失させぬようになるべく薄着で行きたい。
スタート3分前から深呼吸。落ち着きと集中力を得てレースモード。スタート1分前から合言葉を唱える。「冷静、ワクワク、強気で行こう」と。苦しくなってもクールに笑顔を作る。辛くなっても”全く問題ない”と念じる。サブ40に必要なのは勇気。ありったけの勇気を振り絞れ。大丈夫。絶対にできる。サブ40に値する練習はやってきた。160分間、思い切り楽しませてもらおうじゃないか!
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