【ゼミ・学会発表】「素人質問で恐縮ですが」にうまく対応する方法

「素人質問で恐縮ですが…って言われたらビクッとします」
「時々飛んでくる素人質問に答えられなくて困っています」

この記事では、このような悩みを解決できます。

北大の博士課程を早期修了した電気化学系企業研究者かめです。

学会発表やゼミで質問を受けるとき、その質問が素人質問だと気付いた瞬間に動揺してしまう方は少なくないでしょう。私自身、博士課程一年目までは素人質問への対応に苦心していました。しかし、様々な発表経験を重ねる中で、素人質問には独特の特徴があり、それに応じた対応方法があることに気付きました。発表の場で素人質問を受けたとき、慌てふためかず冷静に対応するためのコツを習得できたのです。

この記事では、素人質問に対処する方法を伝授します。質疑応答技術を向上させたい方にピッタリなマインドセットです。ぜひ最後までご覧いただければと思います。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

素人質問は、大半の場合が本当にただの素人質問

発表を行う際、私たちは「鋭い質問が飛んでくるのではないか」と身構えがち。しかし、実際に投げかけられる質問の多くは、その分野における基礎的な事項の確認です。発表者である私たちにとっては当たり前すぎて説明を省略してしまった部分について、聴衆から念のために確認を求められるのが素人質問の本質になります。

我々は自身の研究テーマについて、日々考え、専門性を深めています。しかし、聴衆は必ずしも自らと同じバックグラウンドを持つとは限りません。ゼミの出席者は専門分野が同じ。学会や学位審査会では、自分とは全く異なる研究背景を持つ方々が私たちの発表を聴講するでしょう。素人質問が出る背景には、発表者と聴衆の間に存在する知識のギャップが挙げられます。文字通り本当に”素人”だからこそ素人質問が繰り出されるわけです。

素人質問を受けたときに陥りやすい誤りは、「この質問の裏には深い意図があるに違いない」と考えすぎてしまうこと。実際には、素直で基礎的な質問の場合が圧倒的に多いです。質問の意図を探りすぎてはいけません。シンプルに受け止め、シンプルに考え、サクッと答えてしまうのが重要になります。素人質問には独特の前置きが付くことが多いものです。「素人質問で恐縮ですが」「基本的なことで申し訳ないのですが」といった謝罪めいた言葉から始まります。このような前置きを聞いた瞬間、私たちは必要以上に構えてしまいがちに。しかし、前置きは多くの場合、質問者の謙虚さの表れに過ぎません。別につけなくてもいいのだけれども、わざわざ発表者の時間を奪って尋ねるのが申し訳なくて言っているだけなのです。

本質を突いた素人質問へ対処する方法

素人質問の95%は基本的な質問です。残りの5%は、本質を突いた極めて鋭い質問。我々が困らされるのは5%の質問への対処。基礎的で難しいことは聞かれていないはずなのだけれども、あまりに根本的すぎて考えたことが少なく、応対に苦戦してしまいます。

本記事では、本質を突いた素人(玄人?)質問へ対処する方法をお教えします。

STEP1:落ち着く

素人質問を受けた瞬間、多くの発表者は一瞬の動揺を覚えます。自身の説明力への不安。聴衆からの評価への懸念。そして何より、その場で適切な受け答えができるかという切迫した緊張感。これらの感情が一度に押し寄せ、私たちの思考を混乱させるのです。

ここで重要なのが、質問の本質へ意識的に立ち返る努力。質問者は決して発表者を困らせようとして質問しているわけではありません(意地悪な質問者もいますけれども)。むしろ、発表内容への純粋な興味や理解を深めようとする建設的な意図が背景にあります。質問者の意図を理解すれば、不必要な緊張や焦りから解放されるでしょう。

また、質問を受けた際の物理的な対応も重要です。深呼吸を一つする。姿勢を正す。質問者と適度なアイコンタクトを保つなど、基本的な所作を意識的に行ういましょう。幾つかの動作を行っているうち、徐々に心理的な安定性を取り戻せるでしょう。これらの行動は、脳に「落ち着いている」というシグナルを送り、実際の心理状態にも良い影響を与えるのです。質問者が話し終えてから自分が答えるまでに「間」があると思います。頭をクールにした後、この短い「間」を使って質問の要点を整理してみましょう。

STEP2:答える。あるいは無理やり自分の土俵へ持ち込んで説明する

質問への回答では、相手の理解度に合わせた説明方法を選ぶのが重要です。ここでのポイントは、質問者の知識レベルを見極めながら、自分の得意分野に持ち込んでの説明を試みることです。

まず、質問者の専門性を推し量りましょう。相手の質問の仕方や使われている用語から判断できます。専門的な用語が多めならバックグラウンドは近いはず。この場合、比較的高度な概念を用いた説明が可能です。一方で、基礎的な用語で質問される場合はバックグラウンドが異なるはず。より根本的な所から説明して理解を求める必要があります。質問の意図を正確に理解するのも重要です。「ご質問の趣旨は〇〇ということでしょうか」と確認を入れ、的外れな回答を避けましょう。

次に大切なのが、説明の順序。いきなり専門的な話から入ると分かりにくい。基本的な概念から徐々に掘り下げていく形が望ましいです。質問者が途中で理解不能になると、イチから説明し直さねばならず面倒。相手の表情や反応を見ながら、説明の深さを微調整していきましょう。

ここで有効なのが、自分の得意分野の観点から説明する戦略です。質問の本質を損なわない範囲で、自分が最も詳しい領域に話を持っていくのです。少々ズルい作戦ですが、相手の質問を自分の土俵へと誘導することでより確実で説得力のある説明が可能になります。自身が深い理解を持つ領域での説明は、説得力が高く、質問者の理解も促進されるでしょう。ただし、質問の本筋から外れないよう、常に元の質問内容を意識するのを忘れないで下さい。

STEP3:分からなければ素直に「分かりません」と答える

発表では、どれほど入念に準備をしても答えられない質問が必ず出てきます。何週間も駆けて質疑応答対策をしたとしても、盲点からの質問には対処できません。そのような場合、分かりませんと述べましょう。「申し訳ありません。その点については現時点で明確な答えを持ち合わせていません」と素直に認めて下さい。無理に答えようとして的外れな回答をするのはNG。相手が素人でなかった場合、答弁に対する厳しい指摘が飛んできて炎上するリスクがあります。

ただ単に「分かりません」だけで済ませるのも寂しいです。分からない箇所を分かるようにすべく、今後どういった研究を行う予定があるかを示すの効果的でしょう。

かめ

個人的には、発表の場で最悪「分かりません」と言えば済むと知ってからずいぶん気が楽になりました。余計なプライドを捨て、”分からんものは分からん”と開き直れたら新たな世界が見えてきますよ👍

まとめ

発表の場で素人質問を受けることは、発表者にとって重要な意味を持ちます。一見すると基本的な質問に思えても、その回答を通じて自身の研究への理解をより深められるチャンスとなるでしょう。

素人質問への対応は、発表者としての真価が問われる場面でもあります。我々は、質問を受けた際、落ち着いて状況を把握して相手の理解度に合わせた説明を心がけねばなりません。また、自身の得意分野を活かしながら説明する戦略も重要。少しでも説得力のある回答が出来ないかと考えてみて下さい。分からない点については、誠実に認めてしまいましょう。一連の対応を通じて、質問者との建設的な対話が生まれ、新たな研究の視点を得られる場面があるかもしれません。

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