51. 北海道人のおおらかな気質に癒される
道外から来た学生にとって、北海道で生まれ育った人たちはおおらかに見えます。普段からせかせかしていないし、待ち合わせに5分遅れても笑って許してくれる。広島育ちの私はわりとせっかちな性格でしたが、周りの道産子たちに影響されて、だいぶ角が取れました。
北海道人の気質は、土地の広さが育んだものなのかもしれません。あれだけ広い大地で暮らしていたら、細かいことが気にならなくなるのも当然です。札幌の空気を八年吸い続けた結果、私も相当のんびり屋になりました。道産子の友人に「ちょっと急いでくれない?」と頼んだら、「急いでるよ?」と返されたのは忘れられません。あのペースで急いでいるなら、急いでいないときの速度がどれほどなのか。想像するだけで眠くなります。
52. 友人が「遊びに行きたい」と言ってくれる大学No.1
北大に通っていると、道外の友人から「遊びに行っていい?」とよく連絡が来ます。表向きは「お前に会いに行く」と言っていますが、本音はだいたい北海道観光です。わかっています。わかっていますが、来てくれるだけでうれしい。ありがとうございます。
友人が来ると、案内係をやることになります。構内を歩き、ラーメンを食べ、時計台で「思ったより小さい」と言わせ、夜はすすきの。いつの間にかモデルコースが確立されるぐらいです。誰かに案内するたび”北大っていいところだよな”と改めて実感させられます。友人の訪問は、実は最高の母校再発見ツアーでもあるのです。
53. 帰省のお土産選びに困らない

帰省のたびに頭を悩ませるのがお土産選び。普通はどれにしようかと悩む所ですが、北大生は全く困りません。有名で手堅いお土産用のお菓子が山ほどあるからです。一番人気は白い恋人。人気急上昇中のマルセイバターサンドや、ロイズのチョコレート、LeTAOのドゥーブルフロマージュなど、他にも美味しいお土産がよりどりみどり。
お土産はたいてい新千歳空港で買います。帰省のたびに「今回は定番でいいか」と思いつつ、つい新商品に手が伸び、お土産を買うはずが自分用のお菓子も増えていく。しまいには、紙袋が重たくなりすぎて、手荷物重量制限にかかってしまう。お土産を買いに行ったはずが、帰りの飛行機で追加料金を取られる本末転倒ぶりです。
54. 梅雨がない
北海道には梅雨がありません。蝦夷梅雨と呼ばれるぐずつく時期が多少はありますが、本州のそれとは次元が違います。洗濯物が永遠に乾かない絶望とか、カビとの終わりなき戦いとか、そういったものとは基本的にサヨナラできます。
6月の北海道は最高の季節です。緑が鮮やかで、空は青くて、気温もちょうどいい。本州の人々が梅雨で気が滅入っている頃、こちらは中央ローンの芝生で寝転がって青空を満喫しています。「今ごろ本州は雨だなぁ」と思うと、ちょっぴり優越感があります。いい性格をしていると自分でも思います。
55. 夏が過ごしやすい

札幌の夏は最高です。30度を超える日もたまにありますが、湿度が低いので、日陰に入ればスッと涼しくなる。広島の夏を知っている人間からすると、「え、夏ってこんなに快適でいいんですか?」と拍子抜けします。
本州の夏って、しんどいじゃないですか。外に出た瞬間に全身が蒸されて、5分歩いただけでシャツが背中に張りつくでしょう。夏が大嫌いだった私にとって、札幌の夏は天国でした。こんなにカラッとしていて過ごしやすいなら、案外夏も捨てたものじゃないなと。札幌に住んで以来、夏が大好きな季節になりました。
ただし最近は札幌でも猛暑日が増えつつあるようで、昔ほどの快適さは失われています。温暖化の足音が聞こえてきていますが、それでも本州との差は歴然です。夏が嫌いな受験生は、北大に来てください。夏が好きになります。保証します。ただし、本州に帰ったとき地獄を見る覚悟だけはしておいてください。
56. セミの大合唱がない
夏の朝、セミに起こされた経験はありませんか? 広島の実家では恒例行事で、朝6時からミンミンゼミがフルボリュームで鳴き始めます。目覚まし時計よりも確実で、しかもスヌーズ機能がありません。最悪の目覚めです。どうもありがとうございます。
札幌に来て最初の夏、朝の静けさに驚きました。セミが全然鳴いていないのです。正確にはゼロではありませんが、本州のような暴力的な大合唱はまず起きない。夏の朝を静寂の中で迎えられるって、なんて幸せなのでしょうか。
夏休みに帰省して久しぶりにセミの洗礼を受けると、「ああ、広島に帰ってきたな」と実感します。風情があると言えば聞こえはいいけれども、朝6時のフルオーケストラは勘弁してほしい。札幌の静かな夏の朝を知ってしまうと、もう戻れません。
57. ゴキブリフリーの生活が手に入る
北海道にはゴキブリがほぼいません。実際、札幌生活八年間で一度もゴキブリを見ませんでした。
北海道に来る前は、夏になるとキッチンで黒い影と遭遇していました。君はどこから入ってきたんだい? 君には仲間がいるのかな? 恐ろしいのは見た目だけにとどまらず、こちらが怯んだ瞬間に向かって飛んでくるあの理不尽さです。ゴキブリは読心術でも備えているのでしょうか。
札幌に住み始めて、凶悪なゴキブリどもから解き放たれました。ゴキブリフリーの生活が手に入ったのです。残念なことに、広島にUターン就職して、再びゴキブリと相交える生活が始まりました。新築アパートに入ったんですけれども、もう二回もゴキブリが出てきて、毎日恐怖です。誰か助けてください。
58. めったに台風が直撃しない
北海道にはめったに台風が直撃しません。本州を通過する頃には勢力がだいぶ弱まっていて、「台風が来るらしいぞ」と身構えていたら、ちょっと強めの雨で終わった、みたいな肩透かしがしょっちゅうです。
本州にいた頃は台風シーズンが本気で怖くて、暴風で窓がガタガタ鳴るたびに布団を被っていました。札幌では台風の恐怖からほぼ解放されます。ニュースで本州の台風被害を見ながら「大丈夫かな」と心配する側に回れるのは、精神的にかなり楽です。
もちろん2016年の北海道豪雨のように、台風が直撃する年もたまにあります。完全に安全だと油断するのは禁物ですが、確率的にはだいぶ恵まれた立地であるのは間違いありません。
59. 夏の夕暮れどきが長い

札幌の夏は日が長いです。夏至の頃は夜7時を過ぎてもまだ明るく、黄昏時の夕暮れが延々と続きます。一日がゆっくり閉じていく感覚は、北国ならではの贅沢かもしれませんね。
研究室から出て、まだ明るい空の下を歩いて帰る。途中、セコマでアイスを買って、夕焼けを眺めながら食べる。特に大したことはしていないはずなのに、心がものすっごく満たされる。札幌の夏の夕方には、魔法みたいな時間が転がっています。心がね、とろけていくんですよ。
夜8時近くまで空がオレンジに染まっている日もあり、ラボで時計を見て「まだこんな時間か」と得した気分になります。一日が26時間くらいある感じですかね。研究が進んでいるかといったらちっとも進んでいないんですけれども、それはそれとして、心の余裕は確実に広がっていました。
60. 空が、青いを通り越して「深い」

北海道の空は、青い。当たり前のことを言っているようですが、本州で暮らしてきた人間が初めて北海道の空を見上げたときは、必ず感動します。透き通るような青に雲のコントラストがくっきり映えて、見上げるだけで気持ちが晴れる。吸い込まれてしまいそうなほどの深さがある。空気中の水蒸気や汚染物質が少ないことが関係しているのかもしれません。
本州に戻ってから空を見ると、「こんな色だったっけ」と思う日があります。地元の空が汚いわけではなく、北海道の空が特別すぎるのです。客観的には十分きれいなはずの空が、なんだか物足りなく見えてしまう。問題は私の目が、8年かけて北海道の空にすっかり毒されてしまったことです。
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