【ミソフォニア・HSP】音に敏感な理系大学受験生や大学生に読んで欲しい学部学科・研究室選びの話

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (M2)です。高校二年生のころから人が鼻水をすする音に耐えられなくなってしまい、高校生活や大学受験、そして大学生活で大いに苦労させられました。

学部選びに関しては間違えることなく、学部4年次になって配属された今の研究室でも問題なくやっていけています。偶然心地良い環境を手に入れたわけではなく、ある程度考えた上で今の環境を掴み取るに至りました。

この記事では、音に敏感な理系学生専用の学部選びと研究室選びのコツについて解説します。

  • できるだけストレスの少ない環境で勉学に励みたい方
  • 少しでも過ごしやすい場所を探すコツを知りたい方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧頂きたいと思っています。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

音に敏感な理系受験生は、機械or物理or化学系or農学系の学科に行くべき

まずはこれから進路を決める大学受験生に向けてアドバイスをお送りします。音に敏感な受験生さんは

  1. 機械系
  2. 物理系
  3. 材料・化学系
  4. 農学系

この4つのうちから好きな一つを選んで進学することをオススメします。

機械系、②物理系、③材料・化学系の共通点は、研究室内で”ウィ~ン”と機械音が常時響いている所です。もし私のように鼻をすする音が苦手であっても、機械音が鼻すすり音を全てかき消してくれるため実験室内はとっても過ごしやすいです。

私の場合は③の材料系専攻に所属しているのですが、(どうしてこんな快適なのかな…??)と考えてみるとやはり実験室の機械音のおかげなんじゃないかなという結論に至ります。工学部棟の定期点検で装置が稼働停止する際は”近くで鼻をすすられたらどうしよう…”と不安になってしまうため、機械が正常に稼働している通電時のみ大学へ行くように心掛けています。

また④の農学系に関してはフィールドワークが多いため、自然の音が嫌な音をほとんどかき消してくれるのです(註:室内での実験がメインの学科もあります)。私は体を動かしている時に近くで鼻をすすられても問題が生じないことが多く、仮に農学系に行ったとしても過ごしやすい毎日を手に入れられていたのではないかと感じます。

そうかといって全く興味のない学科へ行ってもつまらないだけの4年間になっちゃいます。自分の興味と音の問題をうまく解決できる学科を探し出してください。

最近のAIブームに伴い情報系学科人気が高まってきております。けれども、音に敏感な方が情報系学科へ行くと不幸な目に遭う可能性が高いです。情報系学部ではイメージ通り常にコンピュータをカタカタいじっています。カタカタ音を聞き続けているとカタカタ音が嫌いになり、やがて大学へ通うのが億劫になってしまうでしょう。

私の通った北大では一年次の前期に情報学Iという必修講義がありました。周囲の人が発するカタカタ音を聞き続けてあわやノイローゼ寸前にまで追い込まれたのです。悪いことに当時の私はタイピング速度が大変遅かった。周りより遥かに遅くにしか文字を入力できなかったので、”もっと速く打たなきゃ!”という焦りも手伝ってノイローゼが加速していきました。加えて、情報系の講義が行われる部屋って大抵の場合、完全にドアが閉め切られて人が詰め込まれた密閉空間なんですよ。おそらく情報系の研究室も似たような空間だと思います。『こんな所へ行ったら卒業できなくなる』と判断した末、情報系学科へは行かない決断を下しました。

自分に合った学科選びってすごく難しいと思います。ただでさえ”大学でどんな勉強/研究ができるか”を大学の外から想像しにくいのに加え、”音にも敏感”となると進路選択の難易度は劇的に高まってしまいます。そんな方へは北大 (総合理系/文系)や東大 (理科/文科○類)、金沢大 (理系/文系一括入試)のような大学入学後に進路選択できる入学形式がオススメです。大学で1~2年過ごしてみれば自分がやっていけそう/無理そうな学科が少し判るようになってくるし、入学後に音の問題で不幸な思いをする確率を下げることができるのです。どの大学へ願書を出すかは各々の学力や気候などとも勘案してみて下さい。迷ったら我らが北海道大学がオススメです。難しすぎず易しすぎず、入学定員枠が比較的多く、日本有数の大都市・札幌のど真ん中でキャンパスを思う存分堪能できます^^

音に敏感な理系大学生は、実験系の研究室に行くべき

次に大学生へ向けた研究室選びのアドバイスです。音に敏感な学生さんは、研究室配属の際に実験系の研究室を選ぶべきです。

研究室には大きく分けて

  1. 理論系
  2. 実験系

この2つがあります。①理論系の研究室では科学原理の本質に対して計算科学的なアプローチをとり、②実験系の研究室では実験をすることによって新たな法則や原理を発見します。一方しかやらない研究室は稀。理論3割:実験7割といった風に両方の要素を備えている場合が大半です。

所属学科の研究室それぞれが理論/実験どちらの要素が多いのか見極めなくてはなりません。その際、何があっても実験メインの研究室を選択する必要があります。というのも、理論系の研究室へ配属されると頼みの綱・機械音がありませんから、嫌な音をかき消してくれる存在がほとんどない状態だからです。もし静寂に包まれた部屋の中で隣から鼻を”すんっ”とすする音が聞こえたならば、私ならたちまちパニックに陥り何も作業が手につかなくなって頭を抱えてしまうでしょう。ひょっとすると「耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンを使えばいいじゃないか」と指摘されるかもしれません。しかし、嫌な音というのはこうした覆いをも貫通して脳に届くもので、気にしたくなくてもその音がかき消されていない限りは気になってしまうものなのです。

なお、仮に理論系研究室へ配属されたとしても、リモートワークOKならばむしろ理論系の方が楽に研究を進められます。一方で、理論系研究の計算コストはノートPCで対処困難な場合も多く、リモートワークOKな理論系研究室が果たしてあるのか?と言われると正直想像できません。リモートワークを期待して配属後に辛い思いをするよりかは、リモートワークはないけれども機械音が嫌な音を消してくれる実験系研究室の方が楽なんじゃないかと思います。

後輩のAさん

理論系と実験系、どちらに行こう…?

このように迷ったらノータイムで【実験系】へ行くようにして下さい。

学部学科・研究室選びは将来の職場環境をも左右する

現在、日本では少しずつ【ジョブ型雇用】が始まっています。ジョブ型雇用とは、会社が求めるスキルを事前に提示しておき、応募者の中から十分なスキルを有している人材を選んで採用する仕組みのこと。れまで日系企業は”確保した人材には入社後に社内教育を施して専門技術を養ってもらおう”というスタンスで採用活動をしておりました。ただ、日本の長引くデフレ経済に引っ張られる形で会社が自社教育するゆとりを失っていき、”入社前にある程度専門性を養ってもらっておこう”という姿勢にシフトしたわけであります。

今後ジョブ型雇用が一般化していくと、大学の学部・学科選びが将来の職場と密接にリンクすると考えられます。化学系の学科へ行った人はそのまま化学系の仕事へ就くようになるのだろうし、実験系の研究で博士課程まで行った人は研究所でも実験系の研究を続ける可能性が高いでしょう。すると、大学で過ごしやすい環境を手に入れられた方は大学卒業後も快適な環境で過ごせるでしょう。逆に、大学で地獄のような目に遭った人は卒業後も辛い思いをする可能性があります。音に敏感な方が社会で生き抜くには、大学への出願時や研究室配属時に将来をある程度見据えておくことが必要となります。学部学科・研究室選びは将来の職場環境をも左右しますので、よく考えて慎重に選んでいただくよう何卒お願い申し上げます。

最後に

音に敏感な理系学生さん専用の学部学科・研究室選びに関するコツは以上となります。皆さんが少しでも快適な学生生活を送れることを祈って本記事の締めくくりといたします。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 高校3年生の子供を持つ父親です。
    ミソフォニアと大学生活に関する記事を拝見しました。
    うちの子はミソフォニアの症状に苦しみながらも、なんとか高校を卒業し、
    この4月より北海道大学に入学することになりました。
    可能であれば大学生活を送るうえでのアドバイスなど
    お力になっていただけないでしょうか?

    • 札幌デンドライト管理人のかめです。まさきさん、コメントありがとうございます。
      お子様の北大合格、誠におめでとうございます。お子様は学校生活や受験勉強に、まさきさんもお子様のサポートに色々と苦心なさったかと存じます。

      まさきさんからコメントをいただいたのを機に、自身の体験を踏まえ、まさきさんのお子様が少しでも大学生活を楽に送れるようなアドバイスを綴った記事を作りました。その記事を今日、07:30 AMに公開しました。当サイト・トップページの新着記事欄からご覧いただけます。トップページの所在が不明な場合、以下のURLをコピーし、GoogleやSafariなどの検索バーに貼り付けてアクセス願います↓
      https://sapporodendrite.com/?p=5598

      当サイトでは今年の夏、ミソフォニアに関する記事を10~20個ほど公開予定です。予定している記事のタイトルには以下のようなものがあります↓

      ・ミソフォニア(音嫌悪症)とは?辛さは?治るの?ミソフォニア歴11年の私が解説
      ・【ミソフォニア・HSP】感覚が敏感な人へ授ける研究室生活のサバイバル術
      ・【ミソフォニア・HSP】音に敏感な大学生・大学院生専用の研究室生活を乗り越える技術3選
      ・ミソフォニア(音嫌悪症)の方に趣味で読書をオススメする3つの理由
      ・ミソフォニア (音嫌悪症) の強み4選【天才・高い感受性】

      もし、まさきさんやお子様がご興味をお持ちでしたら、夏の公開に先駆けて上記の記事をPDF形式でお送りすることも可能です。PDFが必要であれば、まさきさんから、もしくはお子様から私のメールアドレス「ultrahorse12@gmail.com」までご連絡ください。

      私は現在、大学院博士後期課程の1年生です。大学院を一年飛び級して修了するため、来年度が北大に在籍する最終年度となります。まさきさんのお子様を少なくとも来年度の1年間はサポート可能です。お子様がご希望であれば、メールに限らず、直接お話しすることも可能です。何かサポートが必要であれば遠慮なく私にお知らせください。まさきんさんのお子様が北大で楽しい時間を過ごせるよう、北大の先輩として、またミソフォニアの先輩として最大限サポートいたします。

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