学会やゼミでの質疑応答に苦手意識を感じていらっしゃいませんか。緊張で頭が真っ白になる、質問にうまく答えられない、そもそも何を聞かれているのか分からないなど、ディスカッションの時間に苦しんでいる方は少なくないでしょう。
私はB4とM1の頃、質疑応答を怖いとすら感じていました。発表そのものは楽しいんです。スライドを作り込んで、練習を重ねて、いざ本番で流暢に話せたときには達成感がありました。それなのに、最後に待ち受ける質疑応答セッションが全部台無しにしてくれるんですよね。質疑さえなければ気持ちよく終われるのに。どうして質疑なんてものが存在するのだろう。質疑応答を発明した人を恨んだことすらあります。
なぜあんなにも怖かったのか。それは、相手からの質問があまりに直球すぎたから。質問者は、講演を聞いて気になったポイントを端的に尋ねてきます。オブラートに包むなんていう文化は、研究の世界に存在しません。必要最小限の言葉で、聞きたいことだけをズバッと投げてくるのです。質問を受けるたびに攻撃されているように感じましたし、胸のあたりがズキッと痛んだものです。
学会やゼミでは、現役研究者からの直球質問を何度も浴びます。一球ごとにメンタルを削られていては身体が何個あっても足りませんよね。
そこでこの記事では、学会やゼミで直球質問が怖いと感じている方への処方箋をお届けします。質疑応答への恐怖心を和らげたい方にはピッタリの内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
かめそれでは早速始めましょう!
研究者は本質を突きたがる生きもの


研究者の質問は概してストレートです。カーブもスライダーもなく、直球一本勝負です。紛らわしい表現を避けて、尋ねたいことをそのまま尋ねてきます。しかもこの傾向はゼミや学会に限った話ではなく、日常会話ですらそうなのです。お昼ご飯の相談をしているだけなのに、なぜかこちらの選択理由をストレートに深掘りされます。
研究者とは、物事の真理を解き明かそうとする人たちのこと。科学現象の原因を突き止めたり、より優れた性能を示す材料を開発したり、日夜頭をフル回転させて働いています。そんな彼らの思考回路には、常に本質は何かという問いが走っています。最も重要なポイントを見抜いて、最短距離で核心に迫ろうとするのです。この性質には理由があります。
研究の世界は競争が激しく、自分と似たテーマに取り組むチームが世界中に存在しています。業績を挙げるにはライバルよりも早く成果を出さなければなりません。だから本質を突く。それも、なるべく早く突きたがる。一秒でも早く本質を浮かび上がらせるため、研究者は周りから攻めるなどというまどろっこしいことをせず、いきなり本丸めがけて豪速球を投げつけてくるのです。
つまり、研究者がストレートに質問してくるのは、本質的なことだけを効率よく知りたいから。余計な情報はノイズに見えてしまって、あまり価値を感じないのです。もちろんノイズの中に思わぬ宝物が潜んでいることもあるのですが、まずは目の前にある宝箱をいち早く開けにかかるのが研究者という生きものの性なのです。
相手に攻撃の意図はない


研究者からの質問の切れ味には、最初は面食らうかもしれません。どうしてこんなに速い直球を投げ込んでくるのか。もう少しゆっくり、せめてワンバウンドくらい挟んでくれれば心の準備ができるのに、と思いますよね(それはそれで捕りにくいか…)。
ここでお伝えしたいのは、彼らは好きで火の玉ストレートを投げているわけではないということ。自分の質問がどれほどの速度で相手に届いているか、たぶん本人も気づいていません。全くの無自覚なまま豪速球を放っています。研究者の皆さんは、学生の我々が怯んでいることすら知らないのではないでしょうか。恐ろしいことです。ありがとうございます。
ピッチャー側を変えられないのなら、キャッチャー側の我々が変わるしかありません。研究者の生態をよく理解して、そういうものなんだと受け入れてしまいましょう。
大事なのは、質問者に発表者を攻撃する意図は微塵もないということです。彼らは攻撃したくて豪速球を投げているわけではなく、己の知的好奇心を満たしたいがために直球で質問を投げつけてきます。実際、的確に回答すれば、相手はすべてが満たされたような笑顔で帰っていきます。なんて幸せそうなのかと、ついこちら側まで笑顔にさせられます。世界平和の実現もそう遠くないかもなと本気で感じますね。
直球質問に怯む気持ちはよく分かります。私だって最初は怖くてたまりませんでした。しかし、相手の質問を恐れる必要はありません。きちんと回答すれば大丈夫。我々発表者がやるべきことは、相手からの質問を正面から受け止めて、過不足なく回答することだけ。
怖くなったときほど冷静さを意識してみてください。普段からよく勉強して知見を培ってきたでしょうから、自信を持って対応して大丈夫ですよ。普段、サボっていらっしゃる方は、火の玉ストレートの餌食になってください。
最後に
学会やゼミで直球質問が怖いと感じている方へ、処方箋をお届けしました。
直球質問は、研究者が持つ本質を問う姿勢の表れです。知的好奇心が強いほど質問のキレは増しますが、そこに攻撃の意図はありません。研究者の職業病のようなものだと心得てください。
直球質問には冷静に対処するのが一番です。過不足なく情報を伝えることができれば、相手はちゃんと納得して引き下がってくれますから。


















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