11. 札幌の中心部にキャンパスが広がっている
北海道の大学と聞くと、どのようなイメージがありますか? 原野の真ん中にポツンと建っている映像が浮かぶかもしれません。牛が横切り、鹿が走り、教室の中を猫がうろつく。夜には熊が出る。荒野の中で命懸けで学問に励んでいる。それもそれで開拓使的なロマンがありますが、実際のところ、その真逆です。
北大札幌キャンパスは、JR札幌駅北口から徒歩五分。札幌は人口約200万人を擁する大都市ですから、キャンパスの周りにはオフィスビルや商業施設が林立しています。正門を出れば大通り、少し歩けば百貨店やカフェ。後述のように、キャンパスは緑豊かで、もはや森。「大都会の中の大自然の中にある大学」を同時に名乗れるのは、おそらく日本で北大だけでしょう。
12. キャンパスが美しすぎて、もはや観光地

北大のキャンパスには年間を通じて大勢の観光客が訪れます。大学ですよ? 教育機関ですよ? なのに観光バスが横付けされるし、自撮り棒を持った人が中央ローンを闊歩しているのです。
最初のうちは(なぜ大学を観に来るんだろうか)と不思議に思っていました。でもある日、他大学に通う友人を案内したとき、友人が「ここ本当に大学なの? 公園じゃなくて?」と心底驚いている姿を見て、自分の感覚が麻痺していたと気づきました。あの環境は普通じゃない。毎日通っていると麻痺しますが、普通じゃないのです。おかしいのです(失礼)。
在学中、観光客が写真を撮っている横を、寝癖のまま自転車で駆け抜けていました。せっかくの景観を台無しにしてしまい、大変申し訳なく思いながら、寝癖は最後まで直しませんでした。
13. 敷地面積が日本最大級
札幌キャンパスの面積は約177万平方メートル。エスコンフィールドに換算すると、約38個分だそうです。南北約2.4キロ、東西は約1キロあり、端から端まで歩くと30分以上かかります。
入学当初、『敷地が広い』という情報をただの数字として受け止めていました。入学後、実際に北端の獣医学部あたりから南端の正門まで徒歩で移動してみると、”広い”が”遠い”に変わりました。寝坊して遅刻してしまいそうなとき、北大の広さは仇となります。
冬もなかなかキツい。雪のなか歩いて移動しなければならず、建物にたどり着くまでに鼻の穴がカチコチに凍るのです。マジで勘弁してくれ、せめてロードヒーティングを入れてくれと何度思ったことでしょうか。
もちろん、悪いことばかりではありません。授業の合間にぶらぶら歩いていると、構内で季節の変化を感じ取れるのは、広大なキャンパスならではの良さです。一年生の頃は移動距離に文句を言っていても、卒業間際にはもっと歩いておけばよかったかなぁ…と思っています。
14. おおらかな校風が、キャンパスの根底に流れている
北大のキャンパスに初めて足を踏み入れたとき、最初に感じた印象は「ゆるい」でした。もちろん、良い意味のゆるさです。学生たちが芝生に寝転がっていたり、犬を連れた市民がのんびり散歩していたり、大学というよりも巨大な森の中に研究棟が建っているような空気を感じました。
研究室に配属されてからも、この印象はそれほど変わりません。教授との距離が近く、研究の方向性についてフラットに議論できる環境がありました。もちろん研究には真剣に向き合いますし、締め切り前の修羅場もありますよ。何かやらかしてしまったときは、ちゃんと激詰めされますから安心してください。
北大は都会の大学には珍しく、日常の根底に流れる空気が、どこかゆったりとしているのです。息を詰めて全力疾走するよりも、深呼吸しながら遠くまで走れる環境のほうが、結局は遠くまで行けると知っているからかもしれませんね。あるいは北海道に来て、みんな揃ってのんびり屋さんになっちゃったのか。
自分ももともとはせっかちな気質でしたが、北大で八年過ごして数分程度の行列なら並べるようになりました。大成長です。ありがとうございます。
15. 全国各地から学生が集まる
北大の教室に座っても、隣の学生が北海道出身とは限りません。関東、関西、九州、東北、四国と、文字どおり全国各地から学生が集まってきます。道外出身者比率は6割にも及び、地元占有率がどうしても高くなりがちな地方国立大学とは趣がかなり違います。
私は広島出身なのですが、入学後すぐに行われたオリエンテーションが方言の見本市みたいで面白かったのをよく覚えています。東北弁の友人の発言が聞き取れず、別の友人に翻訳してもらったこともあります。私の広島弁もだいぶ珍しがられ、「なんかしゃべってよ」と言われてしゃべると「なんか違う」と言われました。何が違うのか、説明してほしかったです。
これだけ出身地がバラバラだと、生活の常識が微妙に食い違っていて飽きません。お雑煮の具材で真剣に揉めたり、「肉まん」か「豚まん」かで一触即発になったり。文化の違いに日常的に触れられる環境は、思った以上に視野を広げてくれます。全員が同じ土地で育っていたら、あの面白さは生まれなかったでしょうね…
16. 教養も専門も、ずっと同じキャンパス
大学によっては、教養課程と専門課程でキャンパスが分かれているところがあります。1〜2年は都心のキャンパスで過ごし、3年から郊外に引っ越す。引っ越しの手間がかかって、想像するだけで面倒くさいですよね。
安心してください。北大は教養も専門も同じ札幌キャンパスで完結します。一年生のときに毎日通った道を、博士課程に進んでもまだ歩いていられます。行きつけの学食も、昼寝スポットも、サボるときの隠れ家も、卒業するまでずっと変わりません。最高ですよ。
唯一の弊害があるとすれば、あまりにも居心地が良すぎて、「ここを出て社会に出る必要があるのか」という疑問が博士課程あたりで本格的に芽生えてくることです。私にも覚えがあります。
生活基盤が変わらないからこそ、プライベートを充実させられます。もちろん、キャンパスに愛着が湧きすぎて、卒業後もなかなか札幌を離れられなくなるリスクはありますが、それはまた別の話です。
17. さよなら、スギ花粉
春先になると、日本中の花粉症持ちが目と鼻を真っ赤にして苦しんでいます。私も花粉症で、すごく苦しかったです。毎年3月〜4月は目がかゆくて鼻水が止まらず、QOLが地の底まで落ちていました。
ところが、北大に入学して以来、春が来ても何も起きません。目はかゆくならず、鼻も通ります。「今年は花粉少ないのかな」と思ったら、そもそも飛んでいませんでした。北海道はスギがほぼ生えていないため、スギ花粉の飛散量がほぼゼロです。ゼロです、ゼロ。毎年春になっても何も起きないので、最初は自分の花粉症が治ったのかと思っていました。
花粉症が理由で北大を選ぶのは、アリではないかと思います。毎年春に地獄を見ている受験生のみなさん、一度真剣に検討してください。花粉とは無縁の春があなたを北海道で待っています。ただし、シラカバ花粉は存在するので、完全に無縁とはいきません。油断するとやられます。
18. 東京の四畳半の値段で、12畳に住める
札幌の家賃は、同規模の大都市と比べて明らかに安いです。大学周辺のワンルームなら月4万円台で見つかることも珍しくありません。東京で4万円台の物件を探したら、たぶん四畳半ほどしかないのではないでしょうか。
私が住んでいたのは、北二十三条にある、大学から自転車で5分ほどのアパート。築浅物件で家賃は5万円台。12畳の広々としたワンルーム。あまりに気に入りすぎて、部屋を買って一生住みたくなったぐらいです。ほんと、よい暮らしができたな、恵まれていたなと感じます。
家賃が安いぶん、浮いたお金を食費や趣味に回せるのも大きなメリットです。仕送りやバイト代でやりくりしている学生にとって、固定費が低い札幌は本当に助かります。広島で一人暮らしを始めてから、札幌の家賃がいかに天国だったか思い知りました。あー、早く札幌に帰りたい。
19. 北海道へのアクセスは良好

「北海道って遠いでしょ」と言われがちですが、実はそうでもないんですよ。新千歳空港は国内線の便数が多く、東京からなら約1時間半で着きます。私の地元からでも2時間弱。北大よりも東京の奥地にある大学に行く方が遠いかもしれません。空港から札幌駅まではJRの快速で約40分ですし、札幌駅から大学までは徒歩5分だし。学会発表で本州に出張するときも、新千歳の便数が多いおかげで、日帰りすら視野に入ります。
成田や関空などの近くに住んでいてLCCを使える人はもっとラッキーです。実家から大学までの移動を往復2万円以下で済ませられる可能性があります。おめでとうございます。
ただし、冬だけはアクセス最悪です。冬の北海道は連日猛吹雪で、悪天候のため欠航するリスクが常につきまといます。仮に出発地を飛び立っても、千歳の気候が悪ければ、津軽海峡でUターンして引き返すことも。冬の飛行機は、着陸するまで安心できません。帰省のたびに「今回は大丈夫か」と祈る習慣が身につきました。良い習慣かどうかは分かりませんが、おかげで飛行機に乗るたびに日頃の行いを振り返るようになりました。信仰心が育つ立地です。
20. 街が碁盤の目で、迷子にならない
札幌の街は南北と東西の通りが直角に交差する碁盤の目構造になっています。住所も「北○条西○丁目」のように座標で表現されるので、慣れてしまえば地図なしでもだいたいの位置関係が分かり、迷子になりません。方向音痴の人間にとって、これがどれほどありがたいか。
私は方向感覚がかなり怪しい人間ですが、札幌では一度も迷子になりませんでした。道が全部まっすぐで、交差点が全部直角。条件がこれだけ揃っていれば、さすがに迷いようがない。逆に言えば、札幌で迷子になる人がいたら、それは才能です。天才ですよ、おめでとうございます。
ただ、碁盤の目に慣れきった人間が他の街に行くと大変です。卒業後に広島に戻って暮らし始めると、道がグニャグニャ曲がっていて驚きました。斜めの道ってなんですか。T字路の先がまたT字路ってどういうこと? 札幌に慣れきった脳では、故郷ですら迷子になってしまいます。
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