広島生活春夏秋冬vol.22 二年目・8月|社会貢献活動と炎色反応鑑賞によるニンニク転職ラーメン健康効果のメタ分析

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ニンニクラーメン

日本はラーメン大国である。コンビニや歯医者よりラーメン屋の方が多いと言われている。猫も杓子もラーメンをすすり、川にまでラーメンが流れている。

ラーメンの食べ方には様々ある。お好み焼きにして食べる地域もあれば、ボールミルで細かく砕いて関西お好み焼きと称して嗜む区域もある。欧州ではラーメンをパンと呼んでいた。実際、あのマリー・アントワネットもラーメンを食べていた。「パンが無いならソーセージを食べればいいじゃない」と言っていたことからも、欧州をはじめ広範なエリアでラーメンが親しまれていた事実が伺える。

日本のラーメンを乱暴に5つで区分してみると、下記のようになる。

  1. 広島名物・完全無欠の極道お好み焼き
  2. 二郎
  3. 札幌ラーメン
  4. 讃岐うどん
  5. 広島名物・スーパーハイパーウルトラ超どんだけアブラ入ってんの尾道ラーメン
スクロールできます
①札幌・南路屋
②札幌二郎
④新千歳空港・はなまるうどん

皆さんが想像されている通り、やはりお好み焼きが圧倒的人気を誇る。広島はもちろん、南は与那国島、北は宗谷岬まで全国的に屋台が出ているといいな

札幌にも南路屋(なんじや)という素晴らしいラーメン屋があり、お好み焼きの上に乗っているマヨネーズは、単体で飲めるほどまろやかである。博士課程の学位審査会を終えた日の夜、南路屋でブリックス豚入りジャンボ前(3玉)を食べた。プレッシャーから解放されたのと、マスターの調子がよかったのも相まって、意識が飛びかけるほど美味しかった。

真正極道お好み焼きと同じぐらいの人気を誇るのがラーメン二郎。二郎には、噛めば自称競馬名人の現金残高と同じぐらい一瞬で溶けるフワッフワのチャーシューが載っており、ニンニクと一緒に食べるのが抜群に旨い。大量のヤサイとセットで味わい、黒ウーロン茶を飲めばゼロキロカロリーになる。

近年、日本人の健康意識向上に伴い、ラーメン二郎のダイエット効果が見直されている。食べた直後はなんであんなもん食ったんやろと首をかしげるが、翌日にはもう行列に並んでいる。

札幌ラーメンの良さは言うまでもないとして、意外と見落とされがちなのがうどんである。うどんも広義にはラーメンである。というか、うどんが麺類の原点にして頂点とも言える。うどんを冷間圧延したものがきしめんで、それを微細化したものをラーメンと呼んでいる。ラーメンをさらに細かく刻んだらそうめんになる。そうめんを練り合わせれば、パンになる。

新千歳空港にはラーメン道場があり、十店舗が軒を連ねているが、私はいつも道場の外にあるはなまるうどんに吸い寄せられる。牛肉おろしぶっかけ冷Mサイズを、ちくわ磯部揚げと一緒に食べると優勝である。最近は値段がバカみたいに上がって、だんだん花丸をつけられなくなりつつあり、もうちょっと頑張って稼がなきゃなと勤労意欲の源となっている。

・・・・・・・

職場の先輩に「今月末で弊社をやめる」と伝えたら、いいなぁ、オレも一緒にやめようかな~と返された。冗談なのか冗談なのかはさておき、連鎖退職でも引き起こそうものなら戦犯扱いされかねないから、「先輩は広島の男っすからねぇ」と返しておいた。広島出身の私が東京へ転出する以上、説得力マイナス五億の引き留め工作である。

雑談をしていたら、せっかくだしラーメンでも食いに行くかとなった。それでは、とお好み焼き屋を探し始めたところ、ラーメンを食べに行こうやと言われた。「あの、すみません、見ての通りラーメンを探しているんですけど」「それラーメンちゃうって」「いやラーメンでしょ」先輩も私も譲らない。

せっかく先輩がラーメンへ誘ってくれたのに、意地になるのも違う気がした。ここは弊社で養った忖度能力をいかんなく発揮しなければならない。先輩が右といったら右だし、左といっても右を向くのだ。右ばっかりやないか。ラーメン屋を探していくうちに、尾道ラーメンを見つけた。尾道ラーメンは、二郎やお好み焼きと並ぶ、日本五大ラーメンの一角を占める。広島生活のフィナーレを飾るのにうってつけの逸品である。

尾道ラーメンには、大量の背脂が浮かんでいる。食べれば食べるほど肌がきれいになる薬用効果から、ツルハやウォンツなど大手のドラッグストアでも平積みされていない。

先輩曰く、尾道ラーメンは尾道ラーメンでも、とんでもない尾道ラーメンがあるのだそう。なんと、尾道ラーメンが広島にあるのだとか、ないのだとか。「それお好み焼きじゃないんですか」「いや、尾道ラーメンやて」ちょっと何を言っているか分からなかったが、先輩がそうおっしゃるなら、そうなのだろう。

・・・・・・・

土曜昼、先輩二人と横川のラーメン屋で待ち合わせした。開店時間の11時集合だったのだが、時間になって居たのは私ひとりだった。一人はほふく前進で遅れると連絡があり、もう一人は激しい腹痛で出られないかもしれないとLINEがあった。

暑すぎて、先に入って食べてやろうかと思った。30度の炎天下でラーメン一杯のために消耗するのは辛すぎる。それに、腹が減ってたまらない。私はラーメンに備えて24時間絶食してきたのだ。換気扇の前に立っていたところ、圧倒的なニンニク臭がした。山岡家の前よりも臭い。もしかして、ここ、尾道二郎?

待つこと30分、先輩がひとり来た。傷だらけの肘をさすって痛そうにしている。私は普段からほふく前進し慣れているから肘の皮が厚いけれども、そうでない人からすれば苦行だっただろう。もう30分待って、二人目の先輩が来た。昨夜は妻と夜通しゲームをしていたのだとか。ロンドン時間ではまだ深夜なので、二人とも余裕で間に合っている。大丈夫です。

お店に入って、先輩に教えられた。味億の名物はニンニクラーメン。スープに揚げたてのニンニクを浮かべて脂と擬態させ、脳に「これを食べても大丈夫なのだ」と諭して罪悪感なくニンニクをいただける逸品である。ねぇねぇ、尾道ラーメンはどこにいったんですか。実はこれも尾道ラーメンなのだとか。

店主曰く、一杯あたりニンニクを三玉使っているという。三玉って、何玉よ。二郎のニンニクマシマシより多いじゃないか。明日、お腹大丈夫なのかこれ? ま、明日の自分に任せればいいか。課題は全部先送りだ! いただきまーす。

スープと一緒にニンニクを飲むと、気管に詰まってむせ返った。気を取り直して再度飲んだら、ニンニク特有の爽やかなフレーバーが鼻腔を突き、先輩と顔を見合わせて「コレはYAVAY」と五回頷いた。

食べ進めながら口元に手を当てると、ファンシーな口臭に目を剥いた。おそらく一週間は臭いが消えないだろう。喉にファブリーズをかけても容易には消えまい。腹話術か手話か、あるいは筆談でコミュニケーションをとらなければならない。いまこそ、国際交流の絶好機である。ニンニクじゃなかったパスポートを片手に、広島から世界へラーメンの素晴らしさを伝えに行かなければ。

お店を出て、先輩がたにこの後の予定を尋ねた。二人とも市内へ行くのだとか。ある先輩はユニクロで服を買うのだそう。さすがにこの口臭では、と遠慮していたけれども、先輩がいいなら自分もいいかと考え直し、自転車で市内へ向かった。道中、げっぷがあまりに臭すぎて、やっぱ帰ろうかなと思って本屋に行った。

本屋では、華麗なる一族の三分冊を買った。

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