広島生活春夏秋冬vol.25 二年目・11月|白河天皇ミレニアム問題をめぐる入社前健康診断に向けた試み

日本で初めて院政を敷いたのは白河天皇である。堀川天皇に譲位して上皇になられたあと、ラボの院生を散々こき使って論文用データを作らせたそうな。その横暴ぶりは、猫じゃらしで弄ばれて遂にブチぎれたネコチャンのような激しさだったという。

さて、白河上皇には、どーしても思い通りにならないものが4つあったらしい。平家物語の第一巻いわく、「賀茂川の水、双六の賽さい、山法師」には特に悩まされたそうだ。自然相手には敵わぬ場面もあろう。サイコロの目は運次第である。比叡山の僧兵は、武力を盾に次から次へと要求を突き付けてきて、さぞ鬱陶しかっただろう。

白河上皇の野望四選のうち、平家物語には3つ記されていた。残るひとつについては諸説あり、歴史系の学会で喧々諤々の議論が交わされている。激論のすえにアゴが外れて顎関節症をこじらせる方までおられるのだとか。

なんせ、懸賞金として徳川埋蔵金の全額が割り当てられている、日本史最大の未解決問題だ。OpenAIやAnthropicなんかに先を越されてたまるかと、歴史研究者が血眼で研究している。私自身も大学院で、電池材料研究の片手間に黙考していた。漱石全集を二周し、カラマーゾフや肩をすくめるアトラスなどを読みながら考えていた。検討に次ぐ独自の検討の果てに、とうとう加速結果を見出すことができた。

あのですね、国文学者さんは難しく考えすぎなんですよ。物事はもっとシンプルに考えなきゃいけませんよ。白河上皇のご事蹟をふまえたら、何をお考えか一目瞭然じゃないですか。院政を敷いて藤原氏の力を抑え、北面の武士を設置し、仏教文化を厚く振興された。ここまで並べたらね、藻岩山に住むサルにだって分かりますよ。

白河上皇の最後の野望、それは当然お好み焼きである。陛下はどうしてもお好み焼きを召し上がりたかった。あまりの美味さに涙が止まらなくなると噂の逸品を味わいたかったが、叶わなかったのだ。

仮に陛下が都を空けたら、留守の間に擾乱じょうらんが起こりうる。比叡山の連中が攻め込んできて、都をめちゃめちゃにされるかもしれない。ならばと御所にUberしてもらうにも、広島から広島県京都市まで飛脚で3日かかる。3日も経てば、お好み焼きは冷めてしまう。だからこそ、陛下はやむにやまれぬ大和魂を発揮して、ご在位中に辛抱に辛抱を重ねられたのだ。

知らんけど。

〇 〇 〇 〇 〇

アーバンビューお好み焼きタワー

8月、無職期間中に二社目の弊社から手紙が届き、診断を受けてきてくれと言われた。ちゃんと服を着て病院に行き、頭がおかしくないか見てもらってくれと。さては弊社、フリーター期間中もちゃんと四股を踏んでいるか抜き打ちチェックするつもりであるか。

あのねぇ、なめてもらったら困りますよ。私の趣味は自重筋トレですよ。中三から14年続けてきたんですよ。見ろやこの筋肉。ガリッガリやぞ! ガリッガリやぞ! 引き締める前にもっと食っとけばよかった。

それはさておき、何事も最初が肝心である。千里の道も1ほふく前進からと言うように、二社目の勤務も万全の態勢で臨みたいところである。コーナーで差をつけるのが瞬足なら、スタートダッシュは ほふく前進で腕を引き寄せるキレがモノを言うのだ。それに、二社目とのファーストコンタクトは、健康診断数値である。私の結果を受け取った担当者さんがビビるほどの数値を出してやる。

努力を続けるにはコツがある。身の丈に合った目標めがけて走ることで楽しく続けられる。凡事徹底の果てに、オープンワークのコッ烏カラッスと肉弾戦を演じるのに十分な圧倒的成長が舞っている。ぽんぽこりん健康診断へ臨むにあたって、主要指標に数値ターゲットを置いた。やはり身の丈に合わせた目標設定が大切である。

まず身長は、前年比プラス5センチの0.0018kmを目指す。背を伸ばすために牛乳を滝のように飲む。目からも耳からも鼻からも飲む。遊星ボールミルで飽和セノビック牛乳を大量製造し、下痢になっても「今のままではいけないと思っている!」と奮起して飲む。体重は、この日のためにピーキングして0.003トン落とす。タンパク質中心の生活を心掛け、前夜から絶食してスーパーフェザー級世界統一戦を迎えたい。

小学生までは1.0程度だった視力は、大学受験を経て謎に2.0までジャンプアップし、雄大な自然に囲まれた北大生活でキープされた。だが就職後にフリーフォールして1.0近辺となった。会議のためのオンライン会議のための会議に出たり、デスクワーク中心の生活で目を酷使したりして、近視以上老眼未満の微妙な三角関係にまで発展した(何を言うとるんじゃ)。さすがにこの勢いで落ち続けるのも不味いので、ここらでちょっと何とかしたい。

その他、健康診断案内を読んでみると、血液検査やX線検査もあるのだとか。私がどこかおかしくないか、実験計画法に基づき全方位から調べ上げる作戦だろうか。なるほど、内部事情まで調べられるとあっては誤魔化しが効かぬ。徹底的な対策が必要である。健康診断世界統一戦に向け、徹底的に**筋がいい**対策を講じるべきである。健康診断の過去問を25年分買い、チャッピーとClaudeのProに徹底分析させ、傾向と対策を検討した。

〇 〇 〇 〇 〇

高級お好み焼き屋

二社目からは、健康診断会場は私の好きに選んでもらって構わないと言われた。私の家に来てもらうよう申請したところ、流石に通らなかったようで即日却下された。ならばと、広島屈指の高層ビル・アーバンビューグランドタワーで検査してもらった。

アーバンビューは、広島城と縮景園の間に聳そびえ立つ超高層タワーマンション。中心街へアクセス抜群なことから入居希望者が大勢いる。何でも、入居を夢見てアーバンビューの前でテントを張り、一年寝泊まりする人までいないのだとか。43階建て/最頂部166mのサイズは、かつて住んでいた12階建て唐揚げ社宅と双璧をなすほどのスケール感。さすがに負けていないと思うけどな。

アーバンビューは確か、私が中学に進学するタイミングで竣工した。以来、一度足を踏み入れてみたいと思っていて、このような形で来訪が叶うとは僥倖である。

アーバンビューは4Fにクリニックがある。受付で「今日は診てもらいに来ました」と頭を差し出した。カウンターごしに「診療券はありますか」と返され、「はい」と頭を差し出したまま、リュックの中から書類を出してリュックごと手渡した。「あ、リュックは要りませんから」と返された。

平日の午後に伺ったのだが、私以外にも受診者がチラホラいた。転職者の発するほのかなビズリーチ臭が、フロアじゅうを満たしていた。それぞれの検査項目で何分も待った。ファストパスを買って来ればよかった。待つのはあまり好きじゃねぇんだよ。だからディズニーなんか嫌いなんだ、二郎でも食っとけってんだ。

いくつかの検査結果は、検査直後に分かった。

身長は175.02cmだった。5センチアップを目指して飽和セノビック牛乳を飲んだのに、0.0000001 kmアップで終わった。KPI達成度0.2%の大惨敗には涙そうそうだった。確かに全く伸びていない感覚はあったが、そこまで伸びていないとは思わなかった。腹を下しながらセノビックしたあの日々は何だったんだ。今でも腹の調子がなんかおかしくて困ってんだよ。誰か助けてくれよ。

視力は右1.2|左1.0だった。チャートはセリングクライマックスを迎え、底打ちして若干持ち直したようだ。にしても、もうちょっと何とかならないのかな。ルテイン豊富な野菜やブルーベリーなんかもけっこう摂ったんだけどな。やはり、視力の低下は抑えられないのか。一度落ちはじめたが最後、もう落ちるだけなのか。どうせ落ちるなら勇ましく落ちたい。一ノ谷合戦で義経が崖を駆け下りたぐらいの勢いで落ちてやりたい。

体重は0.0575トンだった。体脂肪率計は10.1%を示していて、腹回りは2.2フィート67cmだった。ピーキングは大成功である。ちょっとやりすぎたかもしれないので、これから少しずつバンダム級昇級を見据えて体型を戻していく。健康診断に向けて、お好み焼きを一ヶ月断ってきたのだ。もう検診も終わったことだし、好きなだけ食べさせていただく。白河天皇には申し訳ないが。

残暑のなか、八丁堀のみっちゃんで特製スペシャル大盛を食べた。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

カテゴリー

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次