【不合格体験記2016】現役時代に京都大学農学部にA判定から6点差で落ちた一部始終

目次

試験1日目

起床~試験開始

試験当日はスマホにセットした目覚ましが鳴る前にスッと目が覚めました。

少し目をこすり、ホテル備え付けの時計を見ると、時計はなんと4時44分44秒を指していました。

4の羅列が目に入った時、私は「えっ?!」と悲鳴を上げてしまいました。

  • コレは試験の出来を暗示しているのか?
  • もしかして自分は落ちるのか?

不吉な数字を前にして、私は恐怖で動けなくなりました。

しかしよく考えてみますと、”4″はシアワセの4とも捉えられます。

そこで、

かめ

大丈夫、大丈夫。4がいっぱいって事は、今日笑ってホテルに帰って来られるって事だよ

と何度も唱え、自分をどうにかなだめすかしました。

起床早々に爆上がりした心拍数が少しずつ下がり、徐々に落ち着きを取り戻していきました。

寝汗ならぬ”起き汗”をかいた私はシャワーを浴びて穢れを落とし、(何を弱気になってんだ。これまでたくさん頑張ってきたじゃないか!)と無理やり自分を奮い立たせました。

体を拭き、ホテルの朝食会場に行ってみると、そこでは受験生と見受けられる頭の良さそうな人たちが食べ物を無表情で食べていました。

彼ら/彼女らの発するオーラにあわや跳ね返されそうになったものの、そこをどうにか踏ん張り、バイキング形式の朝食会場へと歩みを進めました。

このあと酷使する頭のため、私は糖質補給最優先で食べ物を選んでいきました。

普段なら大喜びでムシャムシャと食べていたであろう好物も、その日だけは緊張と重圧で全く味を感じませんでした。

無理やり食べ物を体内へと流し込み、出発準備を整えホテルの部屋を後にしました。

その後、前日のシミュレーション通りJR奈良線で東福寺まで行き、そこで京阪電車に乗り換え、出町柳駅で降りました。

出町柳から京大北部キャンパスまでゆっくりと歩いて行きました。

(一直線にキャンパスまで行くのも興ざめだなぁ)と感じ、試験2日前に内見・合格前予約をした物件の前を通る事に決めました。

物件に無事たどり着いたのは良いものの、その周囲をぐるぐると廻っているうち、いつの間にか迷子になっちゃいました。

そこで、手持ちのiPhone5の地図アプリを起動し、京大までの道のりを案内してもらうことで九死に一生を得た形です。

京大構内に入った時、農学部棟前には既に大勢の受験生が試験会場前に並んでいました。

そこでは学生寮の方と見受けられる方が入寮希望者を募集しておられました。

私も少し気になったので配布物(ビラ)を受け取るべく近づこうとしたものの、寮生の方が発する圧倒的異臭にたじろぎ跳ね返されてしまいました。

もともと京大の吉田寮に憧れて京大を目指した私でしたが、寮生の臭さは思わず幻滅してしまうほどの強烈さでありました…

試験会場がオープンとなり、階段を昇って試験教室へと向かいました。

座席は教室の一番後ろと分かり、後ろに人がいたら集中できなくなる私としては最高の席順を引き当てた格好でした。

ただ、同じ長机の左隣には、中高一貫男子校に通っていた私と最も縁遠い存在である”女子高生”が鎮座していたのです。

かめ

やばい、女子がいたら気が散って集中できなくなっちゃうやん…

と、謎の女子アレルギー反応を懸念するほど男子校生活は私の心をおかしくしました。

ひと教科目の国語に備え、持参した京大英語25か年にパラパラと目を通しました。

そして、頭を国語処理モードに切り替え、試験開始のゴングを待ちました…

ひと教科目:国語

実を申せば、私は京大国語が大の得意科目なのです。

模試では100点満点中50点以上をキープしており、偏差値は60を切ったことが一度もなかったほどですから。

”難しい文章をじっくりと読み、文字数の指定されていない長方形の記述欄をひたすら埋める”というのが京大国語のあらましなのですが、時間に追われずゆっくり考えられるこの形式が私に本当にピッタリでした。

試験直前に臍下丹田を意識して深呼吸し、「それでは始めて下さい」の合図と同時にゆっくりと問題冊子のページをめくり上げました。

試験中は自分でも驚くほど集中して解答することができました。

周囲の物音が全く聞こえず、問題文とじっくりと対話しながら記述欄にみっちり答えを書けました。

その年は問題が簡単だったのか、試験終了15分前には全ての記述を完了してしまいました。

書き間違いが無いかなど念入りに見直しをし、余った時間は問題冊子中の挿絵に落書きをして過ごしていました。

試験終了の合図を聞き、(まぁ、この調子なら受かるでしょう^^)と笑みを浮かべ、私は手からシャーペンを離しました。

想像より遥かに緊張せず、京大の問題との相性の良さを再確認する第一科目のテストでした。

点数開示の結果、国語は100点満点中60点の出来でした。

昼休み

午後の数学に備え、昼休みに燃料補給することにしました。

“試験教室で食べても良い”とのアナウンスがあったものの、ピリピリとした雰囲気の中で食事を摂るのがどうも気が進みませんでした。

そこで、京大北部キャンパスを歩きながら、のんびりとご飯を食べました。

良い手ごたえを得られた試験の後だからコンビニで買った食事すらもおいしく感じられ、体力がすぐに満タンまで回復していくのをハッキリと感じ取れました。

立ち食い散歩を終了し、冷えた手指を温めに試験教室へと戻りました。

ちょっと一息ついた後、持参した京大数学25か年をパラパラと見て、国語から数学モードへと思考回路を切り替えました。

私の場合、京大二次試験において数学が一番の鬼門だと考えていました。

というのも、京大模試ではいつも偏差値50前後であり、(よっしゃ、できた!)と思っても全く点数が伴わず、手応えに結果がが全くついてこない教科だったのです。

河合塾の全統模試では常に偏差値70以上であり、数学はむしろ得意科目だと思っていました。

しかし、誘導問題のない京大形式の数学となると点数を取れず、高三の1年間は京大数学で点を取る方法を終始模索する毎日でした。

得意でもあり苦手でもある数学で掲げた目標は、200点中100点以上、つまり5割の点数を死守する事。

2完2半、いや1完4半でも何でもいいから、(絶対に100点以上取ってやるぞ!)と気合を入れて試験開始の合図を受けました。

ふた教科目:数学

問題冊子をめくった瞬間、私の中で不思議な出来事が発生しました。

というのも、あまりに気合を入れ過ぎて頭がパニックになり、目の前の問題文の意味をよく呑み込めず、開始3分ぐらいフリーズ状態となってしまったのです。

もしかしたら過呼吸となっていたかもしれませんが、試験真っ最中の私には”自分の身に何が起きているのか”ちょっとよく分かりませんでした。

(このまま問題文を見続けていてもパニック状態からは脱せない)と本能から察し、冊子と目を閉じ、2分ぐらい深呼吸を繰り返す事で、ようやく冷静さが戻ってきました。

私に心配の声をかけてくれた試験官に「大丈夫です」と返事したのも、落ち着く一つの材料となったでしょう。

試験開始から5分経ち、ようやく私の数学試験がスタートしました。

震える右手を左手で支え、解けそうな問題から解き進めました。

しかし、明らかに変な計算間違えを連発してしまい、全ての問題において自身の導き出した解答に自信を持つことができませんでした。

それに加え、(方針だけでも立てて部分点を狙おう)と思っていたのに、私の正常ではない頭では方針を考えることすらままなりませんでした。

まるで後ろから呪いをかけられているみたいに何もかもが上手く行かず、書いては消して、書いては消してを繰り返しているうちに数学の試験が終わりました…

手応えは皆無。何も思い出したくないほどでありました。

もし参考書持ち込み可だとしてもほぼ同様の出来だっただろうし、「私の完全なる実力不足だった」と認めざるを得ない大惨事の二科目目でした。

数学は200点満点で60点の出来でした。コレが京大不合格の決定打となりました。

ホテル帰還~就寝

心身ボロボロになりつつ農学部棟を後にすると、北部キャンパスのすぐ外で代ゼミの方が解答速報を配布していました。

そんなものを見なくたって不出来なのは分かっていたから、「解答速報で~す♪」と差し出されるビラをスラロームの要領で回避して通りました。

ただ、私のすぐ後ろにいた受験生は速報を受け取ったみたいであり、

  • よっしゃ!オレ3完2半!
  • ダメだ~、オレは2完2半やったわ~

と、周りへ散々アピールしていました。

私も冗談で「やった, 4完やわ!」とこれ見よがしに言おうかと思いましたが、自分の品位を損なうだけだし、ウソをついてまでする意味を見出せなかったので、叫びたいのをグッと堪えて出町柳駅のホームへ足早に向かったのでした。

京阪とJRに揺られている間、窓ガラス越しに虚空を見つめるより他に何もすることができませんでした。

疲れていたのもあったけれど、翌日の英語と理科で挽回できないほどの圧倒的ディスアドバンテージを背負ってしまい、

かめ

一体明日はどんなモチベーションで戦えばいいんだ…

と途方に暮れる帰り道でした。

また、今まで強気だった私の脳裏を

A判定だったのに落ちるかもしれない

という言葉がよぎりました。

起床直後に見た4時44分44秒といい、数学の試験中に襲われたパニックといい、京大からやんわりと「ぶぶ漬けでもどうどすか?」みたいな感じでお断りされているように思えたのです…

中三から京大だけを想い続け、ここまでわき目も降らず京大へ一直線に突っ走ってきました。

しかし、どうやら一方的な片想いだったみたいで、フラれたショックで倒れそうになりました。

ホテルに帰って夕食を摂り、浴室にお湯をためてザブンと浸かりました。

クソッ!クソッ!と平手で何度も水面を叩き、悲しさと悔しさを痛みで昇華させました。

あまりの手応えの無さにとうとう吹っ切れてしまい、

かめ

負ける前に何としても一矢報いてやらなくては…!

と激しく闘争心が湧きたってきました。

体を拭いて服を着て、限りなく低い合格への可能性を信じつつ、長い長い一日を締めくくったのでありました。

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