【論文投稿】辛辣で理不尽な査読コメントを受けてグッときたときの対処法

論文にとって、査読は信頼性の命綱です。専門家の目を通過したからこそ、読み手は論文の中身を信じてくれます。

査読はありがたい仕組みではあるのですが、査読者というのは何の情け容赦もなくバッサリいく生き物でして、絶賛だけで終わることなどまずありません。よくて論旨の修正を求められ、ひどければ大幅修正。さらにひどければリジェクト(掲載拒否)です。

しかも、査読コメントの文面は、おそろしく直接的。英語が下手くそだとか、掲載に値しないとか、火の玉ストレートのオンパレードで、受け取った側のメンタルなど考慮されていません。

私は大学院生活の四年間で計七度のリジェクトを食らいました。食らうたびにメンタルがボロボロになり、椅子に座ったまましばらく動けなくなりました。

命からがら博士課程を修了し、ようやく過去を振り返る余裕ができたいま、あのときこうしていればよかったなという方法論が少しずつ見えてきました。

この記事では、辛辣で理不尽な査読コメントを受けてグッときたときの対処法を紹介します。論文投稿で疲弊しきっている大学院生や若手研究者の方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

目次

論文と自分とを切り離す

論文投稿にあたって、私たちは莫大な時間と熱量を原稿に注ぎ込みます。データを何度も整理し直し、図を描き直し、一文一文を執念で推敲して、ようやく投稿にこぎつける。原稿が出来上がるころには、論文はもう我が子みたいなものです。

そんな大切なものがリジェクトされたら、どうなるでしょうか。自分の存在まで否定されたように感じてしまいますよね。

でも、ここで冷静になって考えてみてください。否定されたのは、あなた自身でしょうか。違いますよね。論文の掲載を受け入れてもらえなかっただけです。論文の中身が否定されたわけですらありません。あなたの研究者としての価値が毀損されたわけでも、もちろんない。

私たちはまだ何ひとつ失っていません。研究の成果も、費やした努力も、全部そっくりそのまま手元に残っています。

投稿先のグレードをもう少し変えてみれば、案外すんなり受理されることだってあります。査読コメントを真摯に受け止めて修正すれば、次の投稿でアッサリ通るかもしれません。

いずれにせよ、意に沿わない結果が返ってきたときに大事なのは、論文と自分を切り離すことです。自分は自分、論文は論文。結果に振り回される前に、いま実際に起きていることを正確につかむ。

当時の自分には、この切り離しができませんでした。リジェクトを食らうたびに自分の四年間が全否定されたような気がして、一週間はまともに何も手につかなかった。でも、いま振り返れば分かります。否定されていたのは掲載の可否だけで、自分自身には指一本触れられていなかった。あのとき冷静にそう受け止められていたら、翌日にはもう次の投稿先を探し始められていたはずです。

辛辣な査読コメントは論文をより良くする好機ととらえる

辛辣な査読コメントは心にきます。自分もこれまで何度も書かれてきました。英語が下手くそだ、論理が不明瞭だ、と遠慮の欠片もない筆致でズバズバ指摘されます。あれだけ一生懸命書いたのに、どうしてそこまで言われなければならないのか。英語がヘタだって? それは校正会社に言ってくれよ笑。自分に言われたってどうしようもありません。

ただ、査読の世界において、査読者は神です。掲載の可否は査読者の判断に委ねられていますから、ヘタに楯突けばもっとひどい目に遭います。学術の世界は狭いので、一度悪い印象を与えてしまうと、別の論文で同じ査読者にあたったとき、また手厳しく攻撃されます。

だから、理不尽だと感じるコメントも、心がズタズタになる辛辣な指摘も、論文をより良くするための材料だととらえてみてください。執筆チームだけでは気づけなかった論文の粗を、第三者がわざわざ見つけてくれたのです。でも博士課程を終えて振り返ると、あの辛辣な指摘がなければ、論文の弱点に自力で気づきませんでした。

もちろん中には、本当に論文を読んだのかすら怪しい頓珍漢なコメントもあります。そんなときも、腹を立てるのではなく、こういう読み手にも伝わる文章に仕上げてやろう、と構えてみてください。査読者の読解力が足りなかったのか、自分たちの表現が足りなかったのか。答えがどちらであれ、論文をブラッシュアップする大チャンスですから。

実際、自分が七度のリジェクトを経てたどり着いた論文は、初稿とは見違えるほど良くなっていました。あの理不尽な査読なしには、あの完成度に届きませんでした。悔しいですけれど認めざるを得ません。

「この論文の良さが分からないなんて可哀そうに」と開き直る

残念ながら、査読者との相性は、どうにもなりません。自分の研究を面白がってくれる査読者にあたれば、話はスムーズに進むでしょう。しかし、まったく興味のない査読者にあたれば、ボロクソのけちょんけちょんに言われて終わりです。

論文投稿のとき、執筆チームから査読者の推薦リストを渡すのが一般的です。自分たちの研究に関心を持ってくれそうな研究者を選んで提出します。ただし、査読の公平性を保つために、編集者はリスト外からも査読者を召喚します。だからどうしたって、自分たちの研究に興味のない査読者にあたるのです。避けようがありません。

もし、ひどいコメントを受けてしょげ返りそうになったら、「今回は相性が悪かったのだ」と割り切ってみてください。そしてここからが大事なのですが、この論文の良さが分からないなんて、なんて可哀そうなんだと、堂々と開き直ってしまいましょう

皆さんの論文がアクセプトされて、たくさん引用されるようになったら、きっと思い出すはずです。あの査読者には見る目がなかったな、と。そのとき存分に笑い飛ばしてやってください。自分も実際、三度のリジェクトを経てアクセプトされた論文の引用数が10を超えたとき、ボロクソなコメントを送ってきた査読者を思い浮かべて、ひとりでニヤニヤしました。スッキリしましたよ^ ^

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