北大と国研で研究している化学系大学院生かめ (D2)です。学士・修士・博士とこれまで北大に八年所属しています。
出身地は広島。大学進学時に家を離れ、下宿にて一人暮らしを始めました。友達も知り合いも全くのゼロからの蝦夷地開拓。部活やサークルに入るタイミングを逸して見事な逆・ロケットスタートを果たしたのです。一人で寂しく大学生活を送るかに思われました。趣味でランニングやブログ執筆等に熱中してかなり楽しく過ごせました。
この記事では、大学受験生時代を振り返り、北大の総合入試理系 (総合理系)を第一志望に掲げた理由を記していきます。
- 北大志望の方
- 北大へ行こうか/否か迷っている方
- 北大志望のお子様をお持ちの親御さん
こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
それでは早速始めましょう!
北海道大学を志望した理由
まず、北大を志望した理由を話します。北大を選んだのは以下3つの理由から↓
- 北海道が好きだったから
- 旧帝大の一角として潤沢な研究予算を期待できるから
- 花粉やゴキブリなどが居らず、生活上の困難が少なさそうだから
以下で一つずつ解説していきます。
北海道が好きだったから
小学生のころ、親に連れられて北海道旅行へ行きました。札幌と旭川の二都市を訪れた記憶が。
札幌で食べた海鮮丼が絶品。ネタが大きく、しかもプリプリ&新鮮で、広島で一度も味わったことのない感覚に驚天動地の衝撃を受けたのです。次元が違う。ヤバい。コレが魚?こんなに美味い魚を当たり前のようにスーパーで買って食べられる北海道民が羨ましくてたまりません。
また、旭山動物園のシロクマがフワフワで本当に可愛かったんです。見ているだけで癒されます。可愛いかったなぁ。親にお願いしてシロクマのぬいぐるみを買ってもらったほど。このぬいぐるみには小学校や中学校でいじめられた時に大いに助けられました。「デブ」だとか「消えろ」だとか言われて帰っても、ぬいぐるみと戯れていればどうにか立ち直れた。シロクマくんは今でも下宿で大切に保管しています。絶対に捨てられません。私が死んだとき、棺桶の中へ一緒に入れて葬送して貰いたいぐらいに愛着があります。
小さい頃に北海道へあまりにも良い印象を受けた私は、 (大学へ進学するなら北海道の大学がいいなぁ) と漠然と考えていました。高三の受験では別の大学を受けたものの、一浪して初心に帰ってみたとき、心が北海道へ行きたがっていたので北大志望に。
旧帝大の一角として潤沢な研究予算を期待できるから
2chや5chで色々と言われているけれども、北大は腐っても旧帝国大学 (旧帝大)です。1918年の創立以来、100年以上の歴史を紡いできた知の巨人。旧帝大には日本政府から多額の研究補助金が配られます。トップの東大には流石に及ばないけれども、北大と非・旧帝大との間に研究費の面で歴然とした差があるのは事実。
研究はお金がなければ行えません。お金が不足気味だと実験装置を買えないし、実験試料も実験ノートも揃えられないでしょう。論文出版にもお金が必要。英文校正や公開料などで一論文あたり50万円程度かかってしまいます。学会発表へ行くにも多額の出張費が。学会の年会費、参加登録料、移動費や宿泊費などで国内学会出張でも10万円は必要です。
国からの補助金が乏しい大学へ行ったら研究を自腹で行わねばなりません。サンプルの購入や出張費、論文の掲載料で合計いくらかかるやら… それでもお金が足りなければ今後の研究を諦めねばならなくなるかも。お金さえあればできる研究もお金がなければ続けられなくなるのです。そんなのあまりに悲しいじゃないですか。私は嫌でした。「あと○○万円あればデータを集められるのに…」と国へ恨み節を炸裂させるのは。
支給されている補助金が少ないと分かっている大学へ進学するぐらいなら、最初から潤沢な予算を持っている大学へ行った方が得策。北大は旧帝大。お金を持っているリッチな大学なように見えたので、北大を選びました。
花粉やゴキブリなどが居らず、生活上の困難が少なさそうだから
私は重度のスギ花粉アレルギー。花粉シーズンになると目や鼻がかゆくて仕方が無くなり、地獄を味わわされます。針葉樹林に火をつけて回りたい。伐採したい。スギやヒノキの木を見たら切り倒してしまいたくなる。
おまけに虫が大の苦手。この世に存在する全ての虫が嫌い。カブトムシやクワガタムシでさえ耐えられません。何が可愛いのだか、ちょっとよくわからない。私が一番嫌いなのはゴキブリ。姿を見かけた瞬間に嘔吐します。ゲロをまき散らしながら「アァァーーーッ!!!」と阿鼻叫喚。部屋の中にゴキブリなんて出ようものなら気絶してしまうでしょうね。耐えられません。無理。どうしてゴキブリなんていう気持ち悪い虫のこの世への存在が許されているのか分からない。
幸い、北海道にはスギやヒノキの花粉が飛んでいません。正確に言うと、函館や江差など道南地域には飛んでいるものの、札幌や旭川、稚内など道央以北には飛んでいないのです。花粉症の人間にとってはもはや天国のような世界。日本に残された数少ない避「粉」地が北海道にはあるのです。実のところ、北海道は夏に一瞬だけシラカバ花粉が飛散します。シラカバはスギやヒノキほど多くの花粉を飛ばさず、そこまで鼻をかゆくさせないので問題ありません。
あと、北海道にはゴキブリもいないんですよね。仮に夏、本州からゴキブリが持ち込まれたとしても、零下十度の凍てつく冬に全滅して息絶えてしまいます。一人暮らしのアパートの中でゴキブリを見なくて済むのは本当に有難い。ゴキブリとの仁義なき戦いを想定せずに済み、日々安穏な心境で済めそうだと思って北海道を選びました。ちなみに私は八年間の北大生活において一度もゴキブリを見かけたことがありませんゴキブリがいないって本当の話ですよ。ゴキブリ嫌いの方はぜひ北大へ進学なさって下さい。
総合理系を志望した理由
私が総合理系を志望したのには2つの理由が↓
- 大学での所属学部・学科を大学進学後に決められるから
- 入試の難度がちょうど良かったから
以下で一つずつ解説していきます。
大学での所属学部・学科を大学進学後に決められるから
世間の大半の大学では学部・学科を入試出願時に指定させられます。その学科での勉強内容について、具体的に知らぬまま選ばねばなりません。
受験生はただでさえ膨大な試験範囲の学修に苦闘させられている。勉強だけで手一杯なのに、進路選びもしなくちゃならないだなんてあまりにハード。せめて学部だけ決めるぐらいならまだ何とかできるでしょう。学部や学科、それに○○コースまで選ぶとなったら厳しすぎます。時間をかけずに片手間で進路を選べば学科と自分とのミスマッチ率が高くなるでしょう。「半導体や炭素材料について学びたかったのに、いざ入ってみたら金属材料のことばかり学ばさせられた…」といった感じで嘆き悲しまねばならなくなる。
総合理系の場合、入学時に学部・学科を指定する必要はありません。入試に受かって得られるのは北大の一年生になる権利のみ。進路については入学してから一年間じっくりと考えられます。長期休暇に学科別説明会が催され、各コースの先生や学生と直接話せる機会まであるのです。入学試験時には北大へ受かることだけに集中できます。進路は進学後に決めればOK。受験生の間は各科目でどれだけ多くの点数を重ねていくかのみにコミットすれば良いのです。
浪人で精神を追い込まれていた自分にとってこの仕組みは大変有難かった。病んだ心で進路を選んで選択ミスを犯すよりも、とりあえず受験に受かってしまった後で進路を選んだ方がより確実じゃないかな、と。
入試の難度がちょうど良かったから
入学後に進路を選べる大学は北大以外にもいくつかあります。代表的なのは東大。入試時に文科/理科一類~三類へ分かれて受験し、東大では二年次の後期に進路振り分けが行われるそう。東工大 (現・東京科学大) や金沢大にも似たような制度があるみたいです。
受験生当時の私の頭では東大への進学はやや厳しかったです。模試の判定的にはC~B判定をいただいていたものの、東大入試問題との相性が悪すぎて、また問題が難しすぎて時間内に合格点を積み上げられる見込みを立てられませんでした。北大の問題だったら解けたのです。問題との相性が随分良かったようで、どの教科の過去問もスラスラと解けて爽快感さえ覚えました。北大模試ではA判定。十回受けて十回受かりそうな感覚があったので総合理系を受験しました。
最後に
「北海道が好き」という単純な理由から始まった私の北大生活も、気づけば8年が経ちました。正直に言うと、最初は「旧帝大だから」とか「研究費が潤沢」なんて、ちょっと格好つけた理由も並べていたのです。
でも本当のところを言えば、小学生の時に食べた海鮮丼の美味しさと、旭山動物園のシロクマの可愛らしさが、私の心をグッと掴んでいたんですよね。それに、花粉症の私にとって、スギ花粉のない北海道は天国のような環境。おまけにゴキブリも出ないときました。大学生として過ごすにはこれ以上ない場所だと思いました。
そして、浪人生だった私にとって、総合理系の「入学してから専門を決められる」というシステムは本当に救いでした。受験勉強に集中できたし、焦って進路を決めなくて済み、進路のミスマッチを回避できたのです。
研究室で論文を書きながら窓の外に広がる銀白色のキャンパスを眺めると、「あの時、北大を選んで本当に良かったな」と心から思います。受験生の皆さん。大学選びに悩むのは当たり前です。自分の「好き」という気持ちも意外と大切な判断材料になるかもしれませんよ。
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