試験当日
起床~試験開始

試験当日はスッキリとした目覚めでスタートしました。
5時にセットしたアラームを止め、ベッドからのそのそと這い出しました。
鏡で顔を確認すると、何だか自信に満ち溢れているように感じられました。
中3次に馬術競技で国体優勝した時も同じような顔をしていたので、

何か今日は良い事がありそうな気がするなぁ
と、早くも吉兆を予感したのでありました。
寝癖を直すついでにシャワーを浴び、小声で国歌を熱唱しながら体を粛々と清めました。
体を洗い、水分を拭き取り、服を着て椅子に鎮座しました。
浪人時代の朝ルーティンとなっていた計算ドリルを何問か解き、北大英語の長文を何題か音読して脳を活性化させておきました。
いつもやっている事をやったおかげで緊張感が少し和らいだ気がしたし、(コレだけやってきたのだから絶対大丈夫だ!)と自分に言い聞かせる事ができました。
現役時代の反省を活かし、浪人時代はホテルのレストランで食事を摂りませんでした。
というのも、現役時代の私は朝食会場に入る時点で他の受験生の圧に負けてしまい、弱気になったまま試験に行って酷い目に遭ったからです。
浪人の試験当日はホテルの部屋で食事を摂りました。
おにぎりとサンドイッチを1個ずつ食べ、最後にさけるチーズにガブッとかじりつき、(北大もこうやって喰ってやるからな…!)と、早くも闘争心が全開でした。
6時55分ごろ、部屋を出ました。
念のため忘れ物が無いか確認すると、部屋に受験票を忘れたことに気が付き、回れ右してホテルへと取りに戻りました。
気を取り直し、北大の試験会場へと歩みを進めました。
地下鉄さっぽろ駅から南北線に乗り、約3分ほどで北18条駅に到着しました。
改札を通過し、地上へ上がると、既に北大へと伸びる長い行列が形成されていました。
私もそこに加わり、ツルツル路面を一歩一歩丁寧に踏み締め、”滑らないよう”注意して歩きました。
試験会場はテスト開始1時間前にオープンとなった記憶があります。
暖かな日差しがあまりに気持ち良く、このまま帰ってしまいたい衝動をグッとこらえて会場内に入りました。
私の試験教室はE301。3階で一番広い教室でした。
いざ着席してみると、まず椅子の硬さに思い至りました。
私は乗馬をやっていた事もありお尻の皮が薄く、この椅子に長時間座っていたらお尻を痛めてしまうような予感がしました。
また、机の縦方向の幅が50~60cmほどしかなく、あまり広々とスペースを使えなさそうな雰囲気でした。
さらに、机と椅子の間隔も私の好みに馴染まなくて、どうにもスッキリとしませんでした。
唯一の救いは、前後の受験生が不在だったこと。
加えて前から二番目&通路側の席だったため周囲にほとんど受験生がおらず、私の集中力をかき乱す存在が少ない点は大きなアドバンテージだと感じられました。
ひと教科目の数学に合わせ、脳を数学モードにチューニングしました。
新数学スタンダード演習を流し読みして数式に少し目を慣らし、少しだけ苦手意識のあった確率分野だけ数問解いて落ち着きを得ました。
試験監督がゴソゴソと準備を始め、そのタイミングで私も勉強の手を止めました。
臍下丹田に力を入れて集中力をマックスまで高め、目を閉じ深呼吸してリラックスしました。
数学では満点を取ろうと考えていました。
というより、英・数・理どれかひと教科受験しなくても、総合理系の合格ラインをぶっちぎるつもりで臨みました。
ひと教科目:数学


試験開始の合図とともに、問題冊子を一枚めくりました。
”絶対満点取るぞ!”と気合を入れ、目の前の5題に取り組んでいきました。
出題された全ての問題に一瞬で方針が立ったため、あとはひたすら手を動かして計算するだけでした。
その計算問題に関しても、現役時代は緊張で手が震えてボロボロ計算ミスしていた一方で、一年間計算ドリルを繰り返し行ったおかげで全く計算ミスをしませんでした。
唯一、複素数の問題だけ少し分からない所がありました。
その問題に時間を取られていたら他で点数を取れなくなるので、他の4題をさっさと片付け、試験の残り時間は複素数の問題に100%コミットしました。
試験終了まで粘ってみたものの、どうしてもその問題だけ答えを出すことができませんでした。
しかし、それ以外の問題は全てクリアしたので、(140/150は固いな)と安堵して数学の戦いを終えたのでした。
試験が終わってトイレに行くと、多くの受験生が友人同士で「オレ○完だったわ~」と会話していました。
盗み聞きしたどの受験生よりも多分良い点数を取れていたので、私の気分は早くも楽勝モードに突入しちゃっておりました。
センター試験の点数が255点、数学が140点なので、予想合格最低ラインの530点にはあと135点(4割5分)で到達します。
また、主席合格ラインと考えていた目標の650点越えにはあと255点(8割5分)必要だったので、残り2科目も全問正解するぐらいの勢いで猛然と戦っていこうと決意しました。
昼休み


まだあまりお腹が空いていませんでしたが、昼ご飯を食べるならこの時間しかなかったので、食事を摂っておく事に決めました。
コンビニで買ったサンドイッチと練乳入りフランスパンを口いっぱいに詰めこんで、午前中に失ったエネルギーをフル回復して午後の戦いへ態勢を整えました。
ほんのりとやわらかい日差しにいざなわれ、会場の外へ散歩しに出掛けました。
しかし、思っていたよりずっと寒く、散歩開始3分でギブアップして、そそくさと試験教室に戻りました。
次の英語試験に備え、頭を英語モードにチューニングしました。
北大英語15か年を速読し、システム英単語の一番難しい章を簡単にさらっと流し読みしました。
センター試験と同様、大量の英文を短時間で処理する方式のため、事前に頭の回転を速くしておく必要がございました。
そこで、ネットで見つけた指回し体操を行い、試験開始の寸前まで脳の合法ドーピングに努めました。
試験官がやって来ると、勉強道具をしまって口の体操を行いました。
試験中、英文を口パクしながら読み進めていくため、以前テレビで見かけたモグモグ体操を試験官に笑われるまでやり続けていきました。
2教科目の英語では最低8割(120点)を取るつもりでした。
解答速度と正確性を極限の水準で両立させるため、心身を本気モードに切り替えました。
2教科目:英語


試験開始とともに問題冊子を一枚めくりました。
出題傾向は例年と同じで、特に答えにくそうな問題も見当たりませんでした。
そこで、いつも通り、大問を1→2→4→3と片づけていく事に決めました。
慎重に問題文を読み進め、記号問題や和訳問題をササっと処理をし、大問4までを試験時間の半分でクリアしました。
適度な緊張感と指回し体操のおかげで、普段の1.5倍速ほどのスピードで英文が頭に入っていきました。
まるで日本語を読んでいるかのように英文を理解できたため、テンションがどんどんハイになり、ニヤニヤしながら受験していました。
最後に回した英作文は、”日本人の働き方のメリット/デメリットを書きなさい”という趣旨の問題文でした。
今まであまり考えてこなかった議題だったため少々手間取りはしたものの、どうにかひねり出して以下のように解答しました↓
- メリット:クビになるリスクが低いので安心して働くことができる
- デメリット:ぶら下がり社員をクビにできないからいつまでたっても賃金が上がらない
英作文を終えた時、試験時間はまだ30分近く余っていました。
そこで、読解問題の読み違いがないかをよく確認し、英作文ではスペルミスを入念にチェックしておきました。
あまりにもヒマだったので、試験終了15分前からは机に突っ伏し休憩していました。
試験官や周囲の受験生からは(コイツ, 勝負を諦めたのか笑)と思われていたかもしれませんが、私の心の中では



さすがにコレは受かったやろ。
次の理科を受けなくても総合理系の合格点に届いているだろうな
と、早くも勝利宣言している所でございました。
解答用紙の上で寝ていたため、答案によだれを垂らさぬよう、口元をしっかりと締めておきました。
もしよだれで用紙を汚してしまった時には、「天井から水漏れしてきたんです」と言い訳しようと考えていました笑
そんなこんなで時間をつぶし、無事に試験終了時刻となりました。
よだれフリーな解答用紙を試験官に手渡し、1時間ほどの大休憩に突入しました。
大休憩


すでに合格を確信していたため、危うく帰ってしまいそうになりました。
しかし、(まだ戦いは終わっていないぞ!)と、主席合格へ向けた大勝負に向けて再び気合を入れ直しました。
受験終了後に知ったのですが、北大入試はひと科目でも受験しなければ全教科未受験扱いとなってしまうため、もしココで帰っていたら不合格になっていたのでございます。
まさに天国から地獄へ転落する寸前だったため、気を緩めなくて本当に良かったと思っています…
最終科目の受験の前に、少しだけ外気を吸いに行きました。
冷たい空気を肺へ取り込み、上がった体温を下落させました。
雲一つない空を見上げ、空の蒼さに驚きました。
今までは受験によるストレスで空がくすんで見えたのですが、受験から解放される事がほぼ決定した今、私の両目を覆っていた見えない汚れが一気に剥がれ落ちていったのでしょう…
スッキリ気分転換できたところで、試験教室へと舞い戻りました。
理科の勝負に備え、化学重要問題集と名門の森を一通り流し読みしておきました。
また、指回し体操とモグモグ体操で脳細胞を活性化させました。
最後に、カフェイン入りのエナジージェルを一気飲みし、脳の合法ドーピングに努めたのでありました。
最後の理科では9割(135点)をとろうと考えていました。
必ず主席合格するために、全問完答するつもりで思考回路のエンジンを全開にしました。
3教科目:理科


試験開始時、数学の時のような緊張感は一切存在しませんでした。
会場の雰囲気に慣れたのと、すでに合格を確信していたのが安心材料としてあったからだと考えられます。
最初に解いた物理の問題のレベルは、名門の森より1~2ランクほど簡単でした。
全てどこかで見かけた問題だったし、一か月前まで応用問題として京大物理25か年をやっていたおかげで北大物理が非常にやさしく感じられました。
実の所、北大物理と京大物理は”穴埋め形式”という点で共通しているため、京大対策がほぼそのまま北大対策にもなるのです。
コレが志望校変更の際に北大を選んだ理由の一つでございまして、”最初の問題を間違えると大問まるまる吹っ飛ばしてしまう”というスリルの元、細心の注意を払って解ける所まで回答しました。
この年の化学は少しだけ難しかったみたいです。
重要問題集をやりこんでいても対応できない問題が数問あったため、それは「捨て問」と早々に割り切り、他の問題で点数をかき集めておきました。
物理/化学ともに解答用紙を9割ほど埋め、試験時間は残り20分余っていました。
もうこれ以上頭を使う気力が湧かず、10分程度見直しを行い、あとは机に突っ伏し、終わりの刻を待っていました。
ホテル帰還&就寝まで


「解答をやめて下さい」の合図とともに伏せていた顔を上げ、間髪入れず解放感が私をそっと抱きしめてくれました。
よだれフリーの解答用紙を試験官に渡し、帰り支度を始めようとしました。
すると、試験官から受験者全員に対して「20~30分待機しておくように」とのアナウンスがありました。
(何かトラブルでもあったのかなぁ…?)と思っていましたが、どうやら全ての解答用紙が揃っているか、試験官が確認するための時間だったようです。
再び机に突っ伏して、辛かった浪人生活を回想してみました。
昨年はA判定だったのに京大に落ちたから、浪人時代は模試でいくら好成績をとっても全く嬉しく感じられませんでした。
また、成績が良ければ良いほど(また不合格になる予兆なのかな…?)と不安を感じ、いっときも気を休める事が出来ませんでした。
そんな過酷な状況で、よくぞここまで走り切った
と、安堵と歓喜が入り混じった不思議な感覚を味わいました。
現役生より一年間遠回りしてしまったけれども、おそらくこの一年は自分にとって不可欠な時間でした。
- 精神の未熟さ
- 勉強に対する姿勢
- 私生活の規律
など、社会人になる前に己を見つめ直す必要があったのです。
この1年をどう意味付けするかは将来の私が決めることです。
浪人期が私の未来に繋がると信じ、(これからは前を向いて生きて行こう)と誓いました。
「試験教室から出ても良い」との合図とともに、私はおもむろに席を立ち上がりました。
受験生の大群にもまれながら、階段を降りて屋外に出ました。
外は大雪が降りしきっておりました。
傘を持ってこなかったのを後悔したものの、今更悔いてもどうしようもないので、なるべく頭を濡らさぬよう、地下鉄北18条駅へと足早に向かいました。
南北線をさっぽろ駅で降り、ホテルに帰って一息つきました。
何か美味しいものを食べに行こうと思ったのですが、急に寒気がし始めたので自粛しておく事にしました。
近くのコンビニで体の欲するものを適当に仕入れ、ホテルの部屋のベッドで掛布団にくるまりながらぬくぬくと食事を摂取しました。
いつもより2ランクぐらい上のおにぎりとパンを口に頬張り、



お金持ちになったら毎日こんな旨いものばかり食べたいなぁ
と、ひとり妄想に耽っていました。
就寝前に、親へ受験終了のメールを送りました。
親も「よかった^^」と返してくれ、受験が終わった実感が少しずつ湧き上がってきました。
浴槽にお湯をはり、ざぶんと浸かって温まりました。
体を拭き、服を着て、幸福度MAXの状態で寝床につきました。
合格発表当日編に続く…
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