北大応用マテリアル工学コースあるある9選【卒業生が語る】

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④工場見学で製鉄所に行ける

B2の後期には、応マテの同期全員で工場見学に出かけます。工学部正面からバスに乗り込み、室蘭にある製鉄所や発電施設を見学するのです。講義で特性を習ってきた金属が、実際の工場でどのように使われているのかを自分の目で確かめられるレアな機会です。

運のよい学年は、高炉が稼働しているところを見せてもらえるらしいです。高炉というのは、鉄鉱石を熱処理して鉄を取り出すための巨大な炉のことで、稼働中の迫力は相当なものだと聞いています。私の学年がどうだったかは、あえて言及しません。いや、やっぱり言及しますが、高炉は休止中でした。ちなみに他の製造ラインも休止していて、ただ生暖かくて広大な工場を歩き回っただけでした。

工場見学は一泊二日の日程で行われます。夜は自由行動なのですが、学生というのはじっとしていられない生き物なので、だいたい駅前の居酒屋に繰り出します。そして翌朝、誰かが前夜の武勇伝を語り始めるのがお約束です。飲みすぎて道端でスプラッシュした猛者もいたと聞きました。工場で吐かなくてホント良かったと思います。

一応、これは遠足ではなく実習なので、あまりはっちゃけすぎない方がよいかもしれません。出禁になったら後輩に迷惑ですからね。

⑤教授の人格と専門金属が一致している

応マテの先生方には、それぞれ専門とする金属があります。鉄鋼材料を扱う先生もいれば、アルミやチタンなどの軽金属を研究する先生もおられます。中には固体ですらなく、気体を扱う先生もいらっしゃる。

講義を受けていると薄々気づくのですが、先生方の人格が、専門とする金属の性質と驚くほどよく似ているのです。

鉄を専門とする先生は、保守的でどっしりとした存在感があります。まさに鉄のように堅牢で、講義の進め方も揺るぎません。高温金属を専門とする先生は、何がとは申しませんが、爆発力が凄まじいです。普段は穏やかなのに、ある瞬間に一気にエネルギーを放出される様子は、まさに高温下の金属反応そのものでした。軽金属専門の先生は、口調や姿勢がしなやかで物腰が柔らかく、アルミのような軽やかさを感じさせます。

そして恐ろしいことに、研究室に入って研究を始めると、学生まで専門金属に人格が寄っていきます

私の専門はリチウムでした。リチウムは反応性が極めて高く、ほんの少しの刺激で激しく反応する金属です。研究を続けるうちに、私もリチウムと同じように短気になり、すぐ頭がカッカとするようになりました。一方で、研究の糸口をつかむやいなや、爆速で実験を進める推進力もリチウム譲り。結果として一年飛び級で博士号を取得しましたので、リチウムに似たことが必ずしも悪いわけではなかったようです。

応マテに進学したら、自分がどの金属に似ていくのか、楽しみにしていてください。どの金属に似たいかの観点から研究室を選ぶのも面白いかもしれませんね。

⑥難しすぎて脳が追いつかない講義がある

応マテには難しい講義がいくつかあります。私が特に苦しんだのは、強度設計学移動速度論の二つです。

強度設計学では、『転位』と呼ばれる結晶中の線状欠陥について学びます。金属が塑性変形するのは、この転位が結晶の中を動くからだと言われています。言われてはいるのですが、『転位』があまりにも抽象的な概念で、先生の説明をいくら聞いても理解できませんでした。目に見えない線状の欠陥が、結晶の中をするする動いて、それで金属が曲がるのだと言われても、頭の中に映像がまるで浮かんでこないのです。結局私は、転位を理解できなかったのが一つのきっかけとなり、金属工学の本流から外れた研究テーマを選ぶことになりました。

もう一つの難敵は移動速度論。移動速度論は、熱や濃度の拡散を数学的に扱う講義です。金属工学というよりも流体工学と呼んだ方がしっくりくるかもしれません。講義では、数式が次から次へと繰り出され、無次元数がうじゃうじゃ出てきます。おまけに、講義が板書ではなくスライドで進むものだから、早すぎてノートを取れません。諦めて過去問を何年分も解いて試験に臨んだのですが、イマイチ振るわず、B+でした。

移動速度論には後日談が。

正直言うと、講義を終えた時は、「もう一生この分野と関わることはないだろう」と清々しい気持ちでいました。あまりに難しくて理解できず、何がなんだかよく分からないうちに終わってしまいました。ですが、研究室に入ったら、なんと電池内部の物質移動速度論を扱うことに。電池反応に伴う電解液中のイオン挙動を流体力学的に表現する研究が始まりました。なんという腐れ縁でしょうか。こっちはもう嫌だと言っているのに、移動速度論の方が「まだ付き合おうよぉ~」とおねだりしてくる。

結局、移動速度論は博士課程の最後の最後でようやく少し理解できるようになりました。学位審査会でも、移動速度論の先生から移動速度論の質問をされ、冷や汗をかきながら煙に巻いて乗り越えたものです。あれ、やっぱりあまり理解できていないかもしれませんね。博士課程をやり直しましょうか。なんてことを言うんですか、絶対に嫌です。

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