【苦行】七年半 (2685日) に及ぶ「冷蔵庫無し生活」の末に導き出された結論

目次

要旨

私は北大進学後、博士二年次の8月まで七年半、冷蔵庫を買わずに過ごしてきた。”冷蔵庫に頼るのは甘え”と捉え、忍耐力や創意工夫力を高めるために冷蔵庫の購入を拒んできだ。次々と腐っていく食べ物。発酵してネバネバになった白米。状態の悪い食べ物を食べたくなくても食べざるを得ず、イグアスの滝のように激しい下痢を催して苦しんだ。七転八倒の末、冷蔵庫無しでも生きられるようになった。しかし、札幌生活最終年度にして、ついに冷蔵庫の購入に踏み切った…

背景

近年の気候変動に伴い、本州の夏が急激に暑くなっていっている。日中、太陽が顔を見せている時は、体温を超える気温まで上がる場合も決して珍しくはない。暑いのは日本全体、、、というわけでもなさそうだ。沖縄の気温は昔からはほとんど変わっておらず、北日本の夏は相変わらず冷涼。”本州だけ誰かから嫌がらせされているのか”といわんばかりの暑さ。いわゆるヒートアイランド現象なのだろうか?本州全体がヒートアイランド現象だなんてちょっと考えられないけれども。

私は12月生まれ。昔から暑いのが大の苦手。出身地・広島の夏はジメジメとしていて最悪。外へ出た瞬間に額からジュワッと汗が吹き出し、目的地へと辿り着いた頃には汗だくで脱水症状で茹でダコ状態に。大学へ進学するならば涼しい所がいい。どれだけ寒くても構わないから、暑さに悩まされない地域に行こうと考えた。そうなると選択肢は【北海道】か【ロシア】の二択に絞られる。さすがに国内がいい、ということで志望校を北大に決定。一浪の末に総合理系へ合格。札幌の居心地の良さが気に入り、学部・修士・博士とこれまで8年通ってきた。

北大進学時、親から次のように言われた。『冷蔵庫と洗濯機のどちらかを買ってやるから、どちらか好きな方を選びなさい』と。いずれか一方しか買ってもらえないようだ。両方は無理。片方しか買ってもらえない。これには思わず文句を言った。あまりに薄情過ぎやしないか、と。いくら涼しい北海道とはいえ、冷蔵庫も洗濯機も両方必要だろう。しかし、親はどちらかしか買ってくれない。いくらお願いしても”ダメ”の二文字。

押し問答の末、遂に私は腹を据えかね、「どっちも買ってくれないのならどっちも要らんわ。無しで済ませる」と宣言した。いくら頭を下げても買って貰えないなら、北大進学後、アルバイトして自分んでお金を貯めて買ってやろうじゃないか。こんな酷い親だとは思わなかった。今どきの学生で冷蔵庫も洗濯機も買ってもらえない奴なんかほとんどおらんわ。反省したのか、親は慌てて『だったら両方とも買ってやる』と言い出した。な~にが買ってやる、だ。どこまで調子が良いのだろうか。今度はこっちが断る番。何度言われても「買ってもらわんでいいから」と申し出を拒む。冷蔵庫も洗濯機もなしで生きてみせようじゃないか。ご先祖様は家電製品無しで生きてきた。私にだって同じことはできるはずだ。

目的

このようにして洗濯機と冷蔵庫のない学生生活がスタート。不本意だが、致し方ない。なんせ買ってもらえなかったのだから。お金を貯めたらすぐに入手するつもりだった。そりゃそうだ、家電製品がなければ不便極まりないだろう。洗濯機はどうにかなる。洗剤をつけて手洗いして天日干しすれば臭いぐらいは落ちるだろう。でも、冷蔵庫だけは無理だ。特に夏が厳しい。食べ物がすぐに腐ってしまう。大量買いも無理。作り貯めなどもっての外。お金を貯めたらすぐに買おう。まずは冷蔵庫の入手が先決だ…

冷蔵庫の必要性を重々承知しておきながら、今年の夏までかれこれ七年半、冷蔵庫を買わずに済ませていた。最初の一年は苦しかったけれども、二年目からは慣れ、三年目にはもう (冷蔵庫なんて要らないんじゃないか)と悟りを開き始めてきた。こうなったらもう所有欲との我慢比べ。買うか、買わないか。両社の狭間で揺れる想いを体中に感じてきた。決してお金が無かったわけではない。積み立てNISA、および新NISAを始められるぐらいの余剰資金はあった。しかし、買わなかった。冷蔵庫に頼るのは「甘え」だからだ。冷蔵庫なしで生きられなければ将来の日本を支えられない。世界一素晴らしい我が国を支える基幹人材として【冷蔵庫無し修業】で己を鍛えるべきだと考えた。

七年半に及んだ本研究の目的は、冷蔵庫をあえて買わぬことで、自己の忍耐力やハングリー精神、創意工夫力を極限まで高めることである。幾度もの死線を乗り越え味わったのは、文明に対する感謝の心だった。

実験方法

春から秋は部屋の窓を開放して外気と内気を同一に保った。冬は窓を閉め、灯油ストーブで室内を20 ℃に維持した。食料は全て、直射日光の当たらない室内の冷暗な場所に安置した。なお、部屋は南向きである。

食料として、主食にミルキークイーン (30kg, 広島県安芸高田市産) を楽天市場で購入した。米は精米せず、玄米のまま炊飯&摂取した。一度に炊飯する量は3合である。炊飯後、炊きあがった米を五等分し、0.6合ずつ冷凍タッパーへ入れて冷暗所へと安置した。主菜には、あいこちゃん (鯖缶, 伊藤食品)を用いた。ぬちまーす (天然塩, 沖縄県宮古島産)で塩気を足したり、激辛一味唐辛子 (チャイナ産)で刺激成分を加えたりした。副菜として、スーパーで購入したキャベツ (北海道産 or 千葉県産)やアボカド (ペルー産)、それに豆腐 (産地不明)を適宜摂取した。副菜は全て、冷蔵庫無し生活に伴う生活満足度の低下を少しでも抑えるためのものである。

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