航空券を手配し、旅程も組み立てた。四度目の正直となる卒業旅行を前に浮足立ってきた。なんせ、初めての海外旅行である。いかなるドキドキ★ワクワクが待ち受けているのかと思わずにいられない。あんなことやこんなことやそんなこともあるのではないか。
せっかくなので、旅行先の歴史や土地の特徴について調べてみた。
まずはオランダ。アムステルダムは干拓してできた街。街を自然にフィットさせる日本的発想と異なり、自然を街にフィットさせる欧州的な力業で形成された。街全体に運河が張り巡らされており、ザ・計画都市といったところである。男性の平均身長は180cmで、175.02cmの私が行けばチビ扱いである。車道と自転車道と歩道があり、自転車道を歩行者が歩いていたら大声でドヤされるのだとか。
オランダは、世界的画家・フェルメールの出生地。フェルメールはデルフトで生まれ育ち、種々の妄想を繰り広げながら名作を世に放った。真珠の耳飾りの少女や牛乳を注ぐ女など、青を基調とした作品で知られている。私もフェルメールの作品を見てから青が好きになった。オランダに行ったら是非、真珠の耳飾りの少女を見てみたい。
スペインは地方ごとに性格が大きく異なる。私が訪れるバルセロナはカタルーニャ州と呼ばれ、一年を通して温暖な気候である。夏はとてつもなく暑いらしい。なのでちょっと暑さが引いた9月中旬に訪問することにする。海沿いということで海鮮系の料理がおいしいのだとか。バルサの料理屋に行ったらパエリアを食べなければならない。
バルセロナは、サッカーのFCバルセロナや、ガウディのサグラダ・ファミリアで知られている。私は小学生のころテレビでサグラダ・ファミリアを見て、世の中には鉛筆みたいな建物があるのか、将来は三菱鉛筆に就職だな… と驚嘆した記憶がある。それ以来、一度訪問したいと思っていた。出国前にサグラダの見学チケットを購入し、ガウディの設計思想を十全に予習しておいた。
最後にイギリス。イギリスは世界の問題児である。多国間紛争の半分以上は、過去にイギリスが働いた悪事に起因している。ブリカスにもほどがある。そのくせ英国ブランドは抜群に高く、私も大好きである。英語はイギリスで生まれ、いまや世界中で話されている。アメリカ人や非英語圏の人の英語は聴きやすいけれども、本国の英語は何年経っても聞き取れない。もうちょっとこう、ハッキリ話してくれないか。マジで何を言っているか分からない。
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出発前日まで旅先について調べ、万全の態勢で翌朝を迎えた。目覚めは抜群に良かった。あと数時間後には成田を離陸しアムステルダムを目指して飛び立っていると思うと、興奮でまばたきを忘れるほどだった。
ちゃんと服を着て、さぁ、行こうかと玄関を開け、引き返した。そういえば荷造りをしていなかった。財布とスマホとパスポートだけでは無理があろう。アムスとバルサは気温差が凄い。温度調節できる服が必要だ。着替えだって要る。現地調達は高くつく。本当に何も用意していなかったので、大慌てで荷造りを始めた。
下着は、そうだな、3日分あればいいだろう。今回はほぼ3日おきに国を移るし、宿で洗濯させてもらえば足りる。ズボンは2着が限界である。3着以上はリュックサックに入らない。シャツも2着入れるのがやっと。必要最小限の荷物で海外を身軽に動き回りたい。それに、格安航空で動く区間もあるから、荷物はなるべく小さくしておきたい。
衣類を下敷きに、パスポートと変換プラグを載せ、上から貴重品を詰め込んだ。どうにかリュックサック一個に収まった。荷造りをものの5分で終えた。出発前にバタバタするとしんどいし、もっと早くからやっておけばよかった。そういえば留学前もこんな感じだったな。
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気を取り直して。
これから念願の海外旅行に出る。後悔なきようしっかり楽しみたい。さぁ、出発だ! とドアノブに手をかけたとき、買っておいた海外SIMの置き忘れに気付いて再び引き返した。
本当に、もう忘れ物はないよな…?


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