宿からウィーン中央駅まで遠い…!
私と隣の部屋とを隔てる壁から聞こえる大音量の洋楽で朝2時に起床。2~3時間しか眠られていない。フラフラする。吐き気まで催してきた。こんな夜更けにどうしてこれほど大きな音を出すのを是としたのだろうか?日本人とあまりに感覚が違い過ぎて全くついて行けない。壁を一発”バンッ!”と蹴り上げた。相手もさすがにマズいと思ったのか、大音量が中音量程度にまで下がった。うるさい事実に何ら変わりはない。昂る気持ちを宥めるため”なんの音楽を聴いているのだろう?”と意識を向ける方向を変えた。どうやらヒンディー語の曲らしい。歌う内容はサッパリ分からないし、過去にインド人へ嫌な思いをさせられたことがあるのでますます腹が立ってきた。
二回目の壁キックをお見舞いする直前に音が止んだ。どうやら彼は寝ることにしたらしい。そうだそうだ、ちゃんと睡眠をとってくれ。どうか私にも安眠時間を確保させてくれ。目を瞑り睡眠をとろうとした。しかし私の脳は覚醒状態。一切寝付けなかった。隣の部屋から聞こえるいびきにため息をつき、朝まで起きていることに。二日間で5時間しか寝ていない。私の体は大丈夫なのだろうか?
ホテルを7時にチェックアウト。08:28発ミュンヘン行きの列車に乗るためウィーン中央駅へ。道に迷わず向かえたら1時間で駅まで辿り着く計算だった。しかし迷った。曲がるべき道を曲がらず逆方向へ進んでしまったり、体調の悪さで頭がクラクラして方向感覚を失ってしまったりした。ウィーンの街は全体的に傾斜がある。駅が高所で観光地が低所。2日前、ホテルに向かう道のりは下り基調で快適そのもの。今日、逆に駅へと向かう道のりは上り基調で過酷。それぞれ喩えるならば、箱根駅伝の6区と5区に該当するだろうか。なかなか急な上り坂をヒーヒー言いながら列車への搭乗を目指した。
急ぎ足だったのが功を奏し、時間に余裕を持ってウィーン中央駅に辿り着いた。3回目にコースロストしたときはあわや列車を逃してしまうかと思った。電光掲示板でホームを確認。肩から荷物を下ろし、「疲れた…」と一息ついて休憩をとる。
初のファーストクラスも…?
指定されたホームへと向かった。数分待つと列車がやってきた。私は一等車両にも乗れるユーレイルグローバルパスの持ち主。これまで空席の都合で一等車両には乗ってこなかったが、本来、すべての列車で一等車両に乗って悠々自適な旅を営めるはずだったのだ。
誰にも予約されていない席がないかどうか探してみる。隣に誰も座らない一人席を確保できた。早速腰を下ろしてみると、シートの柔らかさに思わず笑顔が漏れ出た。こんなフカフカレザーシートと比べたら、二等の座席は木の板のようだ。足元は広々。膝をピンッと伸ばしても前の席に接触しないから驚きだ。
ファーストクラスにはウェイトレスが待機している。座席で注文・会計を済ませ、ウェイトレスが『はい、どうぞ』と飲食物を持って来てくれる。車内食堂へ足を運ばずとも構わないわけだ。周囲にはコーヒーやサンドイッチを頼んでいる方がチラホラ見られた。私の場合、今回は何も頼まなかった。お腹は空いていないし、のどは乾いていないし、余計に何かを注文して懐を寂しくするのは得策ではないだろう、と。
ファーストクラスにうっとりしていると、電車はザルツブルグ駅で停車した。ドイツ語の車内アナウンスがアナウンスがあり、その直後、乗客が一斉に降り始めた。まだミュンヘンではないはずだけれども… そこら辺をブラブラしていたウェイトレスに事情を英語で伺ってみた。どうやらこの列車は何らかの都合でミュンヘンに行かないらしい。ウィーンの最西端の駅へと進路を変えて進むことになったようだ。出発したあと進路を変えるだなんて、果たしてそのような荒業が成立するのだろうか。ブツブツ言っても仕方がない。10分後に出る各駅停車のミュンヘン行きの列車に乗り換えた。
一等車両は乗り換えたお客さんでいっぱい。仕方なく二等車両に搭乗した。厚みの薄いクッションのせいでお尻が痛い。身体を甘やかした当然の報いだ。
ミュンヘンへ近付くにつれ、周りが白くなり始めてきた。雪だ。それもかなり積もっているようだ。北海道と変わらないじゃないか。寒さといい、雪景色といい、北海道と瓜二つといった形。さすがにミュンヘン市街は雪が積もっていないと願いたいのだがどうか。積もっていたらまともに歩けず、観光どころじゃなくて困っちゃうよ。
寒いぞミュンヘン
ほぼ定刻通りにミュンヘンに到着。ホームへ降りるや否や、強烈な寒気が鼻を鋭く突いた。しばれる寒さ。ヒリヒリと痛い。凄い所に来てしまったようだ。早く屋内へ避難しなくちゃ体がガチガチに凍ってしまいそうだ。
ホテルの最寄まで乗り換えなしで行ける地下鉄を発見。一回分の乗車券€3.5 [560円, 高い!]を購入して乗車する。乗客の人種は多種多様。白人が5割、黒人が3割、中東系とアジア系の人がそれぞれ1割ずつといった形。ロンドンの地下鉄にはない物騒な雰囲気。正直、怖い。ドイツの治安の悪さを暗に物語っている。ドイツと比べたらイギリスって安全な国なんだな。欧州を周遊していくうちにイギリスの良さが分かり始めてきた。最も、一番良い国は我らが日本国である。移民に侵食されてドイツのようにならないことを切に願っている。
案の定、ミュンヘン市街も雪が積もっていた。路面は凍結。超スリッピーだ。これじゃあ観光は厳しそうだな。寒いし、滑るし、体力の減りが温かいイギリスに居た頃の倍ほどの早さで困らされている。
ホテルは一泊8,200円。二泊する予定なので16,400円もの出費となる。ミュンヘンではコレでも安めの部類。西欧の物価はあまりに高すぎる。テーブルがあるのは有難い。デスクワークをする際、フル活用させて頂こうじゃないか。
晩飯は近所のスーパーで調達した。チーズとハム、それにビーフカレーだ。部屋に電子レンジが無いから冷たいままでの飲食となる。おまけに食器が無い。チーズの入ったプレスチックのトレーを空にして、スプーン代わりにして食べる。カレーの味の濃さに驚いた。まるでカレーを煮込み続けて残った濃厚エキスを入れているみたい。別に取り立てて美味いわけじゃない。それぐらいしか食べられそうなものが無かったから仕方がなくこれ等を選んだだけだ。
就寝時間が迫るにつれ、咳き込みが益々重度になってきた。昨日まではあった頭の熱っぽさが無いぶん幾分楽ではあるものの、しんどいのには変わりが無いのでベッドの上でゲホゲホ苦しんだ。こうして苦しむのもあと少し。1週間後には慣れ親しんだ日本に帰ってゆっくりとできる。早く日本に帰りたいなぁ。今回の留学と旅行でヨーロッパがどれほど合わぬか分かったのは収穫かな。あ、トルコは大好きなんだけれども。トルコなら長期間滞在しても大丈夫そうなんだよなぁ。
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