大学受験 仮面浪人失敗体験記

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D1)です。高3のとき京大農学部にA判定からの大逆転不合格を喫し、一浪時に北大総合理系へ進路変更し合格、進学した経緯があります。

北大入学後、北大へ通うのがあまりにイヤで仮面浪人 (仮浪)したことが。結局は仮浪を辞め北大に居続けるものの、京大への想いが無くなるまでになんと6年もかかりました。

この記事では、仮浪を志してから諦めるまでの6年間について書きます。

  • 仮浪しようかしまいか葛藤して苦しんでいる方
  • ”こんな苦しい思いはしたくない!”と頑張る材料を得たい受験生の方

こうした方々にピッタリな内容なので是非最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

浪人時代:京大志望も、夏休み明けに北大へ進路変更

前述のように私は京大を諦め、北大へ行くことを選びました。浪人の夏、京大オープンでA判定・冊子掲載された途端に緊張の糸が切れてしまい、”ハードな勉強をこれ以上続けられない”と志望校を2ランクダウンしたのです。家で母から断続的に「銭喰い虫!」といびられ心身を消耗していたのも一因でしょう。いずれにせよ、北大を選択したのは紛れもなく自分の意志によるものです。京大志望から北大志望になった途端に心が晴れ晴れ。”来春こそは笑えるのかな”と希望の光が差し込んできたから。正直言って、北大に落ちる気が全くしなかったのです。事実、北大には余裕で合格。英語・数学・理科のいずれかが0点でも合格していました。

B1:京大から逃げて北大に行った自分をどうしても許せず仮面浪人を開始

二次試験でもう少し苦しい思いをしていれば仮浪など志さなかったはず。あまりに余力を残して合格できてしまったものだから消化不良に。受験から解放されたというのはもちろん、何事にも代えがたい幸せ。ただ、『その幸福を得るため必要な代償をちゃんと支払ったのか?』といったら微妙。自分は最後までサボることなく懸命にラストスパートしたのだろうか。これだけ余裕で受かったんだもの、自分なりに最善を尽くせば京大へ行けたんじゃないだろうか。嗚呼、自分はいったいどうして京大から逃げてきたのだろうか。自分を許してあげられない。自分と自分なりのケジメをつけるには果たしてどうすれば良いのだろうか…

一人でウジウジ悩み続け、気が付けば大学の新歓シーズンがあっという間に過ぎ去っていました。部活にもサークルにも入りそびれた私は【ぼっち大学生】まっしぐら。気分転換にやったランニングへ打ち込んでみるも心は晴れない。受験から逃げたケジメをつけるにはもう一度受験と向かい合うしかない。そこで私、北大に居ながら京大受験に向けて動き出しました。たしか一年次の夏のことか。貯金をはたいて参考書を買い、もう一度勉強し始めたのです。けれども心が追いつかない。「もう勘弁してくれよ!!」と叫んでいる。シャーペンを持つと手が震え始めるほど体が勉強を嫌がっていました。”京大に行く”という高い目標を下支えする心のガソリンが枯渇していたのです。

京大模試に申し込んだ。センター試験 (現:共通テスト)にもエントリーした。受験料は断食で捻出した。どうしても京大へ行きたくて行きたくてたまらなかったから耐えられた。けれども受験には行かなかった。いや、栄養失調で足が震えて受験会場まで辿り着けなかった。皮下脂肪がペラペラになり、あばら骨が浮き上がるほど衰弱していた。そんな自分を客観視しては(なんて自分は軟弱なんだ…)と余計に自分を責め立てる日々。

仮浪を始めたことについては誰にも打ち明けませんでした。打ち明ける友達さえできなかったから打ち明けようがなかったのだけれども。

B2~B3:学部の勉強を頑張り院進時に京大へ行こうと目論むも、そもそも学部の勉強が面白くなくて勉強する気力さえ湧かなかった

仮浪に失敗し、学部二年次から工学部へと進学しました。二年次の半ばまでは (こんどこそ…!!!)と仮浪を続けていたものの、夏の模試を同様の理由でまたしても受けに行けませんでした。”自分に仮浪は無理だったんだな”と悟って仮浪を諦めます。どうしても意志を保ち続けられずにとうとう音を上げました。

北大工学部へ後期から入ってきたクラスメートと意気投合、たちまち仲良くなります。彼は東大に落ちて北大に来たらしく、似た者同士、協力して試験を乗り切りました。よくよくネットで調べてみると、大学受験の雪辱を晴らす機会は大学受験だけではないみたい。学部四年次の夏、『大学院試験』なるものがあるらしく、そのタイミングで他大学を受験し受かればリベンジ成功というワケ。「コレだ…!」と脳へビビっときました。学部の勉強へ打ち込むこと、自分のモヤモヤを晴らせられること、これ等2つを同時に叶えられる道を見つけたのです。世間では【学歴ロンダリング】と悪い言葉で取られております。だからどうした?自分が納得できるのならそれでいいじゃないか。

しかし。コレにも失敗しました。学部の勉強をしっかり頑張れば確かに院試で他大へ行けるが、そもそも学部の勉強が面白くなさ過ぎてぜんぜん打ち込めなかったのです。”どうしてこんなにつまらないんだ…”と吐きそうな思いで勉強する日々。 (自分に何か非があるのだろう)と、図書館で専門について関心を持てそうな本を借りて読むも興味は湧かず。大学受験時の選択はおろか、一年次の進路振り分けでの選択にさえ後悔するハメに。何をやっても失敗、後悔。”どうやったら幸せになれるのだろう…”と毎日頭を抱えていました。

B4~M1:大学受験の雪辱を研究で晴らすべく毎日研究室へ通い詰めた

大学受験もダメ、大学院受験もダメ。(だったら何ならできるんだろうか?)とアイデンティティーの確立に苦しむ。学部四年次、研究室に配属されました。四年次はコロナ騒動の影響で研究室にほぼ行かせてもらえなかったものの、修士一年次からは人数制限を受けつつ研究室へと通えるように。こうなったら研究で成果を出すしか他に道はありません。京大生が逆立ちしたって敵わない成果を挙げ続けてギャフンと言わせてやる。

研究を進めるにあたって基礎知識の理解が不可欠となります。勉強すると受験時のストレスが蘇って体中に蕁麻疹が出るが、京大生を打ちのめすためには蕁麻疹なんかに負けていられない。文字通り毎日、月曜から日曜まで研究室に通い詰めました。研究室に並んでいる日本語の本をほぼ全て読み込み己の血肉に。続けて同じペースで実験を。二か月の実験で先輩の過去3年分のデータ容量を上回るペース。たくさん学会に出席し、一度は優秀講演賞をいただいた。【京大生に勝ちたい】ただこの一心で無我夢中に駆け抜けました。

M2・10月:海外のビッグジャーナルに論文がアクセプトされ、(京大なんてどうでもいいや)と思えるようになった

実験で得られた成果をもとに英語で学術論文を書きました。思いのほか凄い成果だったらしく、研究室の指導教員の勧めで海外のビッグジャーナルへ投稿する運びに。論文執筆に半年間。投稿してからほぼ一年。粘りに粘ってアクセプト (論文が受理されること)普通の京大生ではまず出せないであろう成果を遂に出すことができた…!!!。その一か月前、博士課程進学者15,000人の中でも700人しかなれない『日本学術振興会特別研究員DC1』に内定しました。同世代における若手研究者の中で頂点に立つことができたのです。

”特別研究員採用”や”論文のアクセプト”という大きなイベントが立て続けに起こり、

かめ

そういえば自分、どうしてこんなに京大を気にしていたのだろう…?

と正気に返ってしまいました。”京大に勝つ”と鼻息荒くしてきたおかげで成果を出せてきたけれども、そもそも京大を気にしなくちゃいけない理由など一切無かったのではないか、、、と。京大に受かろうが受かるまいが自分の価値に何ら変わりはない。自分の心の持ち様・捉え様によって物事の見え方が変わるに過ぎない。自分が京大を気にするのをやめれば受験の呪縛から解き放たれる。逃げた?違う、”転進”したんだ。諦めた?違う、”もっと良い道を見つけた”んだ。

仮浪や院試への挑戦などを経、大学受験後にできた心のモヤを6年がかりで拭い去れました。あぁ、清々しい。コレでようやく新しい人生が始まるんだな。

【おまけ】D1・10月:オックスフォード大学へ半年間、長期留学

前述の特別研究員制度で得られる給与と研究費をフル活用し、イギリスにある世界一の大学・オックスフォード大学へ半年間留学できることに。この記事はオックスフォード留学中のとある土曜の朝に書き上げたものです。”京大に落ちたから…”と腐ることなく頑張り続け、最後にこんなに良い思いをさせてもらえるとは僥倖^ ^。”これまでよく頑張ってきました”との神様からのご褒美と捉えています。イギリスではオックスフォードを拠点に、ロンドンやコッツウォルズ、ストーンヘンジやセブン・シスターズなどたくさん観光へと繰り出す日々。もちろん研究はするのですが、せっかくイギリスへ来たんだもの、イギリス中をくまなく巡って全て見尽くしたいと思っています。

かめ

喜んだのもつかの間、オックスフォード留学の初日にあまりにも残酷な事実出来事が待っていました。詳細は『留学体験記・週刊オックスフォード』シリーズにて

最後に

仮面浪人を志してから諦めるまでの6年間についてはコレで以上になります。

「努力は必ず報われる!」だなんて口が裂けても言えません。何かの偶然で勉強を継続できなくなって進路変更をせざるを得ない場合もあれば、そもそも目標が自分に不相応ならいくら頑張ろうとも手が届かないし。ただ、「報われたければ努力するしかない」というのは紛れもない世界の真理。努力に努力を重ねてようやく見えてくる景色というものは必ずあるから。この記事をご覧になっている仮浪しようかしまいか迷っている方には、「とりあえずやってみたら?その代わり本気でな」とのメッセージを送りたい。仮浪中は本当に苦しいと思うし、もしかしたら上手く行かない可能性だってあるわけだけれども、やらずに後悔するよりは絶対マシなので是非挑戦して下さい。

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