「大学に入ったら友達をたくさん作らなきゃ!」と思い込んでいる方は多いでしょう。
高校までは、クラスの中でうまくやっていくことが何となく求められていました。昼食をひとりで食べていたら心配されますし、グループに入っていないと浮いた存在扱いをされて何かと面倒臭い。”集団の中にいること自体が安心の証”みたいな空気感がどこの学校にもあったと思います。
大学に入っても、最初のうちはどうしても高校までと同じ感覚を引きずってしまいがちです。実際、周りは入学式当日からグループを作り始め、出遅れたら終わりだと言わんばかりの雰囲気。私も入学初日の賑やかな教室を見渡して焦った記憶があります。
でも、内向型の人間にとって、友達を無理に作ろうとする行為はただの苦行です。外向型の人が自然にできることを内向型が同じようにやろうとすれば、エネルギーを消耗します。私は大学・大学院八年間の経験を通じて、内向型には内向型の大学生活の過ごし方があると確信しました。
今回は、内向型を自覚している方に向けて、大学生活を自分らしく過ごすための考え方をお伝えします。友達が少ないことに不安を感じている方や、周りのキラキラした大学生と自分を比べてしまう方が、少しでも気持ちが楽になってもらえたら嬉しいです。
内向型人間に華の大学生活はトコトン合わない

『大学生活』というと、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。サークルに入って仲間と汗を流し、授業終わりには友達とカフェに寄る。長期休みにはみんなで旅行に行ったりもする。SNSに流れてくるキラキラした投稿を見ていると、大学とは華やかに過ごすべき場所なのだと思い込みそうになります。実際、大学入学前の自分も、そんな華の学生生活に憧れていました。
ハッキリ言いましょう。内向型人間に、華やかな大学生活は絶望的に合いません。
華やかな大学生活を心から楽しめるのは、人と関わることでエネルギーを充電できる外向型の人です。外向型にとっては談笑の時間がガソリンみたいなもので、人と一緒にいればいるほど元気になれます。一方、内向型の人間が同じことをやろうとすると、ガソリンを補給するどころか、タンクに穴が開いてガソリンが漏れていきます。楽しいはずの時間が、なぜか疲労に変わっていくのです。め~っっっちゃ疲れます。
私自身、大学に入りたてのころ、ランニングサークルへ入ったことがあります。走ることが好きだったので、楽しくやれるだろうと思っていました。
確かに走るのは楽しかったものの、練習終わりの時間が辛かった。みんなで食堂に寄ってベラベラ喋るのですが、テンション高めに騒ぐメンバーと調子を合わせるのが苦しかったです。ランニングで消費するカロリーより、練習後の交流で消費する精神エネルギーのほうが圧倒的に大きく、一か月で辞めてしまいました。
サークルを社交性の問題で脱落するとは、入会した時点では予想だにしていませんでした。しかし、辞めたことを後悔していません。合わないものに無理して合わせようとしなくていいし、合わせたって疲れるだけですから。
大学は高校までと違い、自分の好きなように過ごせます。履修科目は自分で組めますし、誰と一緒にいるかも決められます。ひとりで過ごしたければ、そうすればいい。罪悪感を覚える必要はない。ひとりの時間を心地よいと感じるのが、内向型が生まれ持った特性なのですから。
内面性の深化に時間を費やそう

外向型人間は、エネルギーを自分の外側に向けます。たくさんの人と関わり影響を与え合うことで、世界を外へ、外へと押し広げながら気力を満たしていくのです。友達が増えれば増えるほど活力がみなぎるという、内向型から見れば、なかなか不思議な生き物です。
それに対して内向型は、エネルギーを自分の内側に向けたがります。ひとつの問いについてどこまでも深く考えたり、自分が過去に経験したことを丁寧に振り返ったりして、内側の世界を豊かにしようと試みるのです。外から見ると、ぼーっとしているように見えるかもしれません。ですが、我々の頭の中では、とんでもない量の思考が渦を巻いています。内向型の脳内は、表面の静けさとは裏腹に、常に大忙しなのです。
内向型人間の実体が世間であまり知られていないのは、内向型がそもそも表に出たがらない生きものだからです。そりゃそうですよね、だって内向型なんですから、なるべくなら表に出たくないし、SNSでバズりたくもない。そもそも、この世界で目立ちたくない。内向型が内向型であるがゆえ、内向型の生態や日常はあまり知られていません。
実は、表に出ていないだけで、内向型人間は一定数存在します。部屋の隅で本を読んでいる学生も、ひとりでイヤホンをつけてキャンパスを歩く学生も、頭の中では密かに豊かな世界を育てている最中かもしれないのです。
内向型の自覚がある方は、大学時代にぜひ内面性を深めることに時間を使ってみてください。心に響く本を読んで思考を深めるもよし、好きな音楽に浸って感情を豊かにするのも有意義でしょう。内向型の人は、脳みそに栄養をたっぷりと注いであげてほしい。考えるのが好きなら、いまの時代はAIが壁打ち相手になってくれますよね。思索の旅を永遠に続けられます。
狭く深い人間関係を作ろう

無理して友達を作りに行かずても、大学生活では自然と仲間ができます。内向型だから人間関係が生まれないなんてことはなく、むしろ、ヘタに力まないでいる方が自分に合った相手と出会いやすくなるものです。
たとえば、実験で同じ班になった相手と、最初はぎこちなかったのにいつの間にか気軽に話せるようになっていた、ということがあります。講義で隣に座った人へ消しゴムを借りたのがきっかけで、会うたびに軽く挨拶を交わす間柄になることもあるでしょう。大学には、同世代の仲間との接点が至るところに転がっています。
友達というのは、意気込んで作りに行かなくても、日常のちょっとした場面から自然と生まれてくるものです。大人数の輪に無理して入る必要はありませんし、全員と仲良くしようとしなくてもかまいません。内向型の人間にとって、浅い関係を広く維持すること自体がエネルギーの大量消費につながりますから、数を追うのは得策ではないのです。
ただし、「なんだか長く関われそうだな」と直感が働いた相手は、絶対に大事にしてください。内向型の人間は日頃から自分の内面をよく観察しているぶん、他者を見る目もかなり鋭い傾向があります。言葉の端々や、ちょっとした振る舞いから相手の本質を見抜けるのです。この人なら大丈夫そうだなと思ったら、自分の直感を信じてみて良いと思います。実際、私も大学に入って初めて仲良くなったヤツとは、大学院修了後もまだ仲良くしています。
広く浅い人間関係を100個持つより、狭く深い人間関係を数個持っている方が、内向型の人生はずっと豊かになるでしょう。




















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