コロコロ
ぽにょを見ながら瀬戸内海の潮騒をBGMに、目をつむって人生を考えていた。
暗い過去と向き合うために故郷へ帰ってきたが、闇があまりに深すぎて、底なし沼に引きずり込まれそうになっている。他にいくらでも勤め先があったなか、わざわざ経営危機の会社を引き当て、キャリアの駆け出しで早くもゲームセットしかけている。広島に帰ってきて一年と少し経ち、運気が好転する予兆は何ひとつない。
人生をダメな方へ持って行くのは簡単である。ひたすら怠けてゴロゴロ過ごせば、お望み通りに堕落できる。でも、そんな自分を受け入れられるのか。堕ちきって負のオーラを放つ自分を、自分は受け入れられるのだろうか。そもそも、そんなヤツを自分だと言えるのか。ここで足を止めたとして、今まで幾重もの毒を克服してきた自分に何と申し開きするのか。
成功にはタイムラグがある。一直線で伸びていくのではなく、上がったり下がったりを繰り返しつつ、長期的には対数的に駆け上がっていく。
馬術で全国を獲ったときは、そうだった。大会の数か月前からスランプに陥ったが、練習で試行錯誤を繰り返して感覚を掴み、その勢いで大会に臨んで金メダルを獲得した。大学受験でも、研究でも、陸上競技でも、成功する時の流れは同じ。うまくいく前には必ず修羅場があって、地獄を踏破した末に栄光が待っていた。
広島に戻れば苦しくなるのは想定内だった。なんせ、ここは毒親の本拠地である。通勤のたび実家が視界に入り、ボディーブローのようにダメージが積もっていく。しかし、私はわざわざ苦しい思いをするため広島に戻ってきた。苦しみは予想以上に重たいものだったが、望み通り、試練を全身で浴びられている以上、何ら文句を言うこともない。
いま、人生で一番の苦しみを味わっている。浪人時代なんかより遥かに辛い。だからこそ、人生の手綱を固く握りしめ、長期的視点で考えていきたい。いますぐ楽になる方法よりも、10年・20年後の自分を楽にする道を探り当てたい。シンプルなことを淡々と続ける。身体を鍛え、本を読み、よく働き、よく寝て、ぽんぽこする。インスタ映えするキラキラした人生は望むべくもないけれども、せめて死ぬ間際に自ら納得できる軌跡を刻んでいきたい。
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12連休が終わり、最初の週末がやってきた。土曜朝、河川敷で17km走り、筋トレを行い、ぽにょとのスーパー・ハイパー・ウルトラ・超・どんだけ・無理ゲー of the year世界統一戦に向け、万全の態勢を整えた。イメージトレーニングはバッチリである。ゴングが鳴ったらタックルして、あとは成り行きに任せて戦っていく。必要があれば、鞆の浦にいたベトナム人の釣り人を応援に呼ぶ。
ぽにょとの統一選に向けて、腹筋もやっておくことにした。
筋トレ歴14年の私ぐらいになると、片手でローラーを転がせるようになる。ローラーを軽く握り、カーペットの上で膝をつき、反らないよう十分注意しながら徐々に身体を倒していく。起き上がるときも同じく、姿勢を崩さぬようじっくり身体を元に戻す。右腕が疲れたら、今度は左腕で。左右5回ずつやれば、カーペット一帯がかなりきれいになる。
コロコロは、確かに使えば使うほど汚れてしまうけれど、紙をはがせば真っ新な面が出てくる。使い物にならなくなったら切り捨て、フレッシュな部分をこき使う。コロコロは会社と瓜ふたつである。実際、東京丸の内のコンサル界隈では、コロコロから着想を得た施策がアサインされている。勤め先では早期退職で組織の新陳代謝を図っているし、結婚後、夫は妻の手のひらでコロコロされている。つまり、資本主義社会にはコロコロが通底しているのだ。
だが、私はコロコロに勇気をもらっている。ボロボロになっても「まだ戦える、俺はまだやれる!」と頑ななまでに言い張る様に、私は涙が出そうになって、やっぱり出ないほどの心強さを感じる。コロコロでも日々を懸命に生きているのだ。私もそう易々と人生を諦めてはいけない。
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時を戻そう。12連休の反動はすさまじかった。
朝、会社に行こうと服を着替えたら、服が「行きたくない!」と出社を拒否し、玄関で凝固してしまった。仕方なく服を着ずに外に出たのだが、さすがに服を着ないのはどうかと思い、ちゃんと服を着て外に出た。嫌がる服をなだめ、なんとかオフィスに着いたものの、PCのログインパスワードをど忘れし、3回ミスったら終わりのロシアンルーレットに挑戦した。私は日頃の行いがすこぶる良い。河川敷を闊歩するカラスに投石し、糞をかけられる因果応報を食らっている。持ち前のウンの良さを活かして、崖っぷちの3トライ目に奇跡のログインを果たした。
さて、と仕事に集中しようとしたら、メールが100件来ていて、その処理に追い回された。処理し終えたころには10件プラスされていて、それを読み終えたらまた1件増えていた。アキレスと亀の実写版だろうか。何が何でも未読ゼロにさせない、偉大なる何かの意志を感じた。これこそが神の力なのだろう。
在宅業務中の癖で、ついオフィスのど真ん中で四股を踏んでしまった。周囲の人にごめんなさいと頭を下げ、移動しようとしたら、ウォーキングランジでまた筋トレしてしまった。疲れた頭に栄養を、と昼食をとろうとしたら、家の玄関に弁当袋ごと置き忘れてきた。仕方なくコンビニで飯を買おうとしたものの、めぼしいものは全部売り切れていて、カロリーメイトとサラダチキンしかなかった。仕方なくパイン飴を買った。
チームは連休明けから大忙し。何やら、不具合や対応の遅れがあったらしい。事情もまだよく飲み込めないうちに、他部署から「どうなってんだ!」と激詰めされた。どうなってんだと言いたいのは、こっちなんだわ。悔しくて、その場で地団太と四股を踏んだ。
月曜から金曜まで、同じような流れで過ごした。今週もホントひどい目に遭った。
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土曜は、朝、ランニングとコロコロでストレスを吐き散らした。カラスに投げつけたいピカピカの石があったので、拾って投げてやろうと思ったが、北海道大学の全人教育で培われた慈悲の精神が発動して思いとどまった。
午後は、英語学習で粛々とキャリアの準備を進めた。月末の英検一級一次試験に向け、アウトプットの質を高めていく。特に対策が遅れているライティング対策をチャッピーと進めていった。
一か月前までは一級なんて絶対通らないと思っていたが、最近急にできるようになってきた。本番までにもっと力を伸ばして、かなりいい勝負ができるだろう。オックスフォード仕込みの英語を回答用紙に刻み込み、採点官を「なに書いとるんじゃコイツ、もうちょい綺麗な字を書けや、アバタケタブラ!!!!!」と発狂させてやる。
もし英検一級を取れたら、世界へのキャリアが拓けるだろう。世界を舞台に活躍する未来を、己の手で手繰り寄せられる。広島で小さく終わるはずだったシナリオを、何段階も上方修正できる。弊社に入社して以来、この日のために勉強し続けてきた。5月31日午後、これまでの全てを試験にぶつけてやる。
いざ、英検一級Round1へ…
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~COMING SOON~

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