社会科見学

広島は中四国最大のターミナル駅である。一日の利用者数は百万人を超えたらいいなと言われており、毎年新宿駅や渋谷駅とトップの座を争えたら嬉しいなぁと願っている。実際、広島駅の人だかりはものすごく、いつ行っても人がウロウロしている。
広島駅ビルは昨春リニューアルオープンした。外装は、これまでのレトロな昭和風デザインから、ガウディを思わせるほど創造的で先鋭的なデザインに様変わり。なんて素晴らしいのだろう。これでは、どこからどうみても駅ではないか。昔の駅ビルを見慣れている身としてはすこし寂しいけれども、老害と言われるのが怖いので、価値観を徐々にアップデートしていきたい。
ミナモアは何でも揃っている。ブルーハーツの「あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいもっともっと欲しい~」を叶えてくれる。
ドラえもん学会では、ドラの腹に着いている袋は、ミナモア派と池袋派で分かれている。私はもちろんミナモア派で、のび太がドラえもんに泣きつくたび、ドラからミナモアに連絡が入り、大急ぎで必要物資を届けに行くと考えている。そう、少年たちの夢や希望は、ミナモアが作っているのだ。
私も最初はんなわけあるかいと思っていた。四次元ポケットは量子力学のたまものである。しかし、昨年ミナモアを徘徊した際、自説を撤回せざるを得なかった。確かにミナモアは四次元ポケットである。無印良品にはどこでもドアが置いてあり、東急ハンズではタケコプターが売られていた。それに、ドラミちゃんがネコカフェで働いているのを見て、決定的証拠をつかんだ。もう間違いなく、ミナモアは四次元ポケットであろう。池袋なんか話にならん。
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広島を離れる前にもう一度ミナモアを訪れた。ミナモアへ行くということは、ミナモアへ行くということである。ミナモアは、人類の欲望を階層構造で表現している。
2Fにはうまそうなスイーツが陳列されており、本当に美味しそうだからつい買ってしまう。我らが北海道のスープカレー屋も居を構え、その隣には立ち食い寿司屋がある。反対側の棟には化粧品が売られていて、芳香臭が大迫ぐらいハンパない。
3Fにはちゃんとした服が売られている。服などなくても文明は成り立つのに、わざわざオシャレという概念を作って服を売るあたりはガウディ的である。ちゃんと服を着ているだけで勘弁してもらえないか。服って、煩わしいんですよ。無い方がよくないですか? 服だけかと思いきや、無印良品もなかなか頑張っている。無印ではときどきドライフルーツの試食をやっていて、お腹がすいたらふらっと寄ってみるといい。
位置エネルギーを抱えて4Fに上がればGong Chaがある。Gong Chaではタピオカが売られていて、店の前は10~20代女性で大行列だった。タピオカって、そんなにおいしいのか。乳濁色流体にアルパカを入れて攪拌して何が楽しいのか。あれ絶対、飲んだら太るでしょ。
アルパカをゲットした女性たちは、スマホで嬉し気にパシャパシャやっている。遠目に観察しながら、はよ飲めよ、いつまで写真撮っとんじゃいとイライラしていた。よく観察してみると、インスタにうpしているようだ。あの人たちは、インスタにうpできれば気が済むようだから、タピオカの代わりに一個ぐらいでっかい鼻くそが入っていてもバレないんじゃないか。
同じ階にはFrancfrancがあった。フランクフランクは壁も製品も白ベースで、健康食で名高いラーメン二郎よりずっと透明感があった。白すぎて、もはやホワイトアウトしていた。お店に入れば遭難しかねないほど眩しく、店の前を通り過ぎるのがやっとだった。おじさんの私には目が辛い。さらば、青春の光。
目をおさえて5Fに上がると、JINSが見えてきた。フランクフランクが眩しかったあなた、サングラスはいかがでしょうか、ってか。ドリルを売るには穴を売れを体現していて、マーケティングの鑑だと感心した。徘徊していたらネコチャンを発見した。ネコチャンと一緒にお茶を飲めるカフェがあって、入ろうかな、いや一人じゃなんか恥ずかしいなと気後れした。
んで、6Fはフードコート。我らが真正極道疾風怒涛広島お好み焼きを筆頭に、博多もつ鍋も、イタリアンも、スペイン料理も鰻もある。変わり種だと、うどん屋もある。うどん屋まであるフードコートなど、全国を見渡せど滅多にある。お好み焼きで腹を満たしたあと、シメにツルっといただくのが良い。アルパカどころではないカロリーを摂取し、明日からも元気に頑張っていきましょう。
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屋上には展望デッキがある。何とも言えない絶妙な景観をしており、灼熱の炎天下で日光に晒されながら護摩行を楽しめる。
太陽にあぶられながら、一年後の自分は何歳かなと考えていた。毎年一つずつ歳を重ねていくわけだけれども、ちゃんと成長できているのか。歳相応に成熟できているのだろうか。
会社で仲の良い同期にはみな彼女がいて、車を持っており、家まで買った連中もいる。私はといえば、マチアプで撃沈し、自転車を車と言い張って乗り回し、賃貸卒業の目途も立っていない。家を買うどころか、広島に生活の根を張れずに東京へ転職する。なんかもう、全然ダメじゃないか。いつまで高校生みたいな生活をしているのか。あまりに情けなくて、夜しか眠れないわ。
博士課程まではそれなりに上手くいってきた。一浪で北大進学後、ドクターを一年飛び級修了して帳尻を合わせて就職した。さぁ、これからだ! と息巻いて駆け出した矢先に躓いた。起き上がった途端にまた転び、立ち上がれなくなるまで痛めつけられた。もう何なんだよ…と嘆くほど、失敗続きの一年半だった。
学生時代はエネルギーの矢印を己に向け、目標達成にありったけの力を費やせた。研究も趣味も個人プレーで片付く範疇でやっていたし、努力すればするほど力がつく感覚があって、周囲の目を気にせず際限なく努力できた。
会社員になると集団プレーが求められ、周囲と手を取り合って仕事するスタイルに切り替わった。仕事面だけに影響するなら良かったが、プライベートでも周りがどう捉えるだろうかと気にする体質になった。これまでなら脇目もふらず全力を尽くせた事柄にも二の足を踏むようになった。そんなのじゃダメだと分かっていても、見えない何かに力を制御されてしまう。息苦しくてたまらない。
仕事に人生を変えられたのならば、自分に合う職を選べば自分の生きたいように生きられるのではないか。量産開発職から研究職に戻れば、学生時代のような情熱が回復する可能性がある。もちろん加齢に伴い気力は衰えるし、昔と比べたら月とすっぽんぽんだろうけれど、何かへ熱狂的に打ち込むあの感覚なら取り戻せそうな気がする。
来月からは素材メーカーで研究職として働く。人生を再スタートするつもりで遮二無二働きたい。
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