分かりやすい!金属材料学の超優良入門書・基礎材料科学のご紹介

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う現役北大院生のかめ (M2)です。学部時代は金属材料系のコースに所属しており、大学院では材料系の専攻にて電池の電解質をターゲットとして研究活動を行っています。

M1として札幌駅近郊の書店を徘徊していたそんなある時、私は専門書コーナーにて一冊の神参考書を発見してしまいました。この記事では、そこで見つけた超優良参考書である『基礎材料科学』のレビューを書いていきます。

目次

基礎材料科学ってどんな参考書?

基礎材料科学とは名前の通り、材料学の基礎的な知識を網羅した参考書です。

本書には

  1. 物質の構造:結晶学や欠陥など
  2. 材料熱力学:熱力学の法則や化学ポテンシャルなど
  3. 状態図と相転移:状態図の読み取り方
  4. 拡散現象:フィックの法則や拡散モデルなど
  5. 材料電子論:材料と量子力学のコラボレーション

このような内容が詰め込まれています。

何回か読んだ感じでは、そこまで難しい踏み込んだ内容は書かれていない (あえて省略した?)印象です。河合出版の大学受験参考書・やさしい理系数学のように名前と中身のギャップが激しすぎるなどといったことは全くなく、あくまで基礎の基礎を一通り網羅してくれている参考書です。後述の通り、本書は材料学の概観を掴むのに最適な入門書となっています。学部配属直後の一冊として、また院試勉強のとっかかりとしては最高の参考書なのではないでしょうか?

かめ

すんごくどうでもいい話なんですが、『やさしい理系数学』って全然やさしくない事で有名なんです。現役生時代の私はコイツを解こうと躍起になり、結局全然モノにできなくて、他の科目の勉強時間が削られてしまった挙句、大学受験で落ちて浪人する羽目に陥りました…笑

基礎材料科学のいい所

私は基礎材料科学を読み、すごく良い参考書だなぁと感じました。そう思った理由は以下の3つ⇩

  1. 学部時代に講義で扱った知識の6割以上が一冊にコンパクトにまとまっているから
  2. 2020年10月に出版された新しい本なので、現代人にとって理解しやすい文章で構成されているから
  3. 決してぼったくり価格ではないから

以下で一つずつ詳述していきます。

自分が学部時代に習った内容の6割以上が一冊にまとまっているから

大学の講義を受ける場合、やたらと沢山の複数の教科書を購入するよう求められると思います。私は大学一年次だけで15冊以上教科書を買わされましたし、学部生活が始まってからも7~8冊教科書を買った記憶があります。新学期がやってくるたび、私はいつも

かめ

なんでこんなにたくさん買わないといけないの?一冊でまとめてくれたらいいのに…

とブーブー文句を言いながら教科書購入の列に並びました。まぁ、到底一冊で収まりきらないボリュームだから複数冊に分けられているのですが、本を買う身としては(一冊でまとめてくれた方がお財布的に超助かるんですけど…)と思いまして、専門知識が一冊にまとめられている本を常に探し求めていたのでありました。

そんな中で見つけた基礎材料科学は、なんとこの一冊で私が学部時代に教わった知識の6~7割を網羅しています!学部時代に7冊以上本を買わされたのに、結局の所、この一冊でおおよそ解決してしまうわけです。もちろん『基礎材料科学』はあくまで基礎レベルのため、各分野の高難度の事項は収録されておらず、さらなる学習のためには別の参考書が必要となります。一方で、学部レベルの金属材料学の概略を掴むにはこの一冊で十分であり、(この本と学部時代に出会いたかったなぁ…)と心の底から思う次第です。

文章が非常に分かりやすくて読みやすい

大学で指定される教科書の中には、岩波文庫の如く、文字が擦り切れていて情緒すら感じさせてくれるものがございます。我が材料系学科の場合、金属物理学序論という名著がそうした教科書に該当します。コレは別に悪い意味ではなく、昔から使われている古典的参考書の価値は現代になっても薄れないものです。時代に淘汰されず生き残っているのはそれだけ内容が優れているためであり、そのような素晴らしい教科書を使って勉強できたのは貴重な経験だったと思っています。小説でも事情は全く同じで、古いからといって価値がないかといったら全然そのような事はありません。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や夏目漱石の『吾輩は猫である』等は100年以上前の作品ですが、現代までその価値を損なわず、純文学界に燦然と輝く一番星として君臨しているではありませんか!

だがしかし、正直な所を言わせてもらうと、昔ながらの参考書は現代人には若干読みにくく感じられます。文章のフォント然り、言葉遣い然り、何となくスムーズに読めないのです。その点、基礎材料科学は初版が2020年10月出版のため、フォントも文体もかなり読みやすいです。2010年代の文献をも引用しているため知識も格段にアップグレードされておりますし、金属物理学序論と基礎材料科学とを読み比べ、スッと頭に入ってくるのは断然『基礎材料科学』の方であります。

専門書にしては高くない

一般に、専門書は信じられないほど高価であります。高くても買わされる買う人がいるから高値で据え置かれているのですが、学生目線としては

後輩のAさん

もうちょっと安くしてよぉ…

とつい悲鳴を上げたくなりますよね。理系学生の私の場合、学部一年次だけで5万円、二年次以降で最低3万円は教科書代に費やしていたと思います。教科書購入直後が生活が大変ひっ迫し、教科書購入の時期がやってくるたび(生活費をどうやりくりしようか…?)と頭を抱えて悩んだものです。

その点、基礎材料科学はお財布に優しい価格設定となっています。その価格は2,600円+tax10%と、専門書の中ではかなり控えめな価格。別にこの本がなかったからといって困る事はありません。けれども、もし手元に一冊あれば、知識を総ざらいする時に心強い味方となってくれます。

最後に

基礎材料科学に関するレビューは以上となります。

まとめると、

  • 金属材料学の基礎を幅広く網羅した画期的な一冊!
  • コレ一冊で学部で習う知識の6~7割をカバーできる!
  • 最近発売されたばかりなので、文体もフォントもすごく見やすい
  • 2,600円(+tax)で買える、お財布に優しい価格設定

このような形になります。

本文にも書いた通り、この本はあくまで基礎レベルですから、さらに学習を進めていくには別の参考書が必要となります。ただし、学習の導入としては本当にちょうどいい難易度であり、これから材料学を習い始める学生さんや材料学の復習をしたい方にピッタリな一冊だと感じました。

以上です。

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