大学院の修士課程を早期修了するメリットとデメリット

博士課程の修了要件をM2の前期に満たす見込みだったので、2年間の正規修了年限を待たずに博士課程へ飛び級しようとした経験があります。最終的には指導教員に止められて断念しました。修士課程へ2年費やす代わりに博士課程を一年短縮修了する方針に切り替えたのです。

この記事では、修士課程を早期修了して博士進学(D進)するメリットとデメリットを、自分が実際に検討した過程をもとにまとめています。D進に興味のある修士学生さんや、修士課程に二年も要らないからさっさとD進させてくれよ、と思っている私のような方に向けた内容です。

かめ

それでは早速始めましょう!
まずはメリットから

目次

メリット①:奨学金返済免除や学振DC申請時の実績に使える

私はJASSOから第一種奨学金を借りていて、返済免除を目指して日々研究に勤しんでいます。返済免除の認定を受けるには授業の成績や論文投稿など、様々な評価基準でポイントを積み上げなくてはなりません。

返還免除レースでは、実は修士課程の早期修了も認定業績として加味されるんですよね。全額免除になれば200万円、半額免除でも100万円。バイトもせずにこれほどの大金を手にできるなら、早期修了を検討しない手はありませんでした。

学振DCの申請書でも、修士課程の早期修了は強力な武器になります。早期修了する人間なんてごく僅かですから、それだけで他の申請者と大きく差別化できるわけです。学振の採択率は15%前後。DC1の申請時点では業績面で他人と差がつきにくいので、どうにかして違いを際立たせなくてはなりません。修士課程の早期修了は、学振DC内定を手繰り寄せるキラーパスになり得るでしょう。

メリット②:大学受験浪人の一年間を取り戻せる

私は一年の受験浪人を経て大学に入りました。大学入学後、他の人より回り道したことをずっと気にして生きてきました。正直、辛かったです。挽回できる手段があるなら喜んで飛びつくつもりでした。

修士課程を早期修了すれば、受験で背負った一年のビハインドを取り戻せます。修士課程の早期修了は、浪人によって植え付けられた劣等感を払拭できる最高にして最後のチャンスだったのです。ここを逃せばもう二度と訪れない。

仮に博士課程まで早期修了できれば、全課程を標準年限でパスする学生より早く社会に出られます。非・浪人生を追い抜くことも不可能ではありません。劣等感どころか優越感すら得られるかもしれない。そんな皮算用をしていました。

メリット③:学費の節約になる

修士課程への在籍年数を減らせれば、そのぶん学費も浮きます。国立大の学費は年間53万円ですから、一年早期修了すれば53万円、二年早く社会に出られれば106万円もの節約になる計算です。

たいして講義を受けていないのに授業料を払わされる仕組みが、なんとなく腑に落ちませんでした。払わずに済むならそうしたかった。修士課程で浮いたぶんのお金はD進後の生活費に充てられます。D進後は完全に自分のお金で生きていくつもりだったので、少しでも蓄えに余裕があるに越したことはありません。

ここからは、デメリットの話です。

デメリット①:奨学金の返済免除額が目減りする

仮に修士課程を半年早く修了したとしましょう。そして、運良く奨学金の返済全額免除を勝ち取れたとします。2年間借りれば200万円なので、一年半なら150万円の奨学金が免除になるはずです。

さて、返済免除になるのはいくらでしょうか。200万円だと思うじゃないですか? 違うんですよ、150万円です。

JASSOの奨学金は、修士課程に在籍中に借りた分しか返済免除の対象になりません。一年半の在籍なら150万円、一年なら100万円までしか免除されないのです。つまり早期修了すると、返済免除額まで一緒に減ってしまうんですよね。

お金を少しでも多く手元に残したい方は、早期修了など企まず、おとなしく2年在籍したほうが得をします。

デメリット②:博士課程を中退したら、学部卒として社会に出ることになる

修士課程を早期修了しても、修士号は得られません。修士早期修了者は、修士課程を退学してD進するため、修士号はもらえないわけです。最終学歴が学士のまま博士課程へ進むことになります。

ここでひとつ、怖いシナリオを考えてみましょう。修士課程の早期修了者が博士課程で精神を病み、退学したとしましょう。さて、どうなるでしょうか。手元には学士号と大量の実験データしか残らず、修士号なしで社会に放り出されることにってしまいます。そのとき、就職はどうなるのか。働き口はあるのか、やっていけるのか。

仮に博士課程を中途退学しても、修士号があればどうにかなります。でも、肝心の修士号を受け取れずに退学した場合、後がかなり厳しくなるでしょう。早期修了を検討する際には、このリスクを頭の片隅に置いておいてください。

最後に

私自身は指導教員に止められて修士の飛び級は叶いませんでした。ただ、検討する過程で得たものは多かったです。

メリットとデメリットを天秤にかけてみると、早期修了は条件が揃った人間にとっては大きなアドバンテージになり得る一方で、セーフティネットを一枚失う覚悟も必要でした。

もし飛び級が可能な環境にいる方がいれば、自分の状況とよく照らし合わせたうえで判断してみてください。

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