【博士就活】電池材料研究学生の自分を受け入れてくれそうな業界はどこか?

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D2)です。D1の1月中旬より就活を始め、それからおよそ一か月で広島の某大企業へ内定しました。

この記事では、私が就活開始時に頭の中で漠然と考えていた自分を受け入れてくれる企業の候補について記していきます。

  • 電池材料研究者の方
  • 就職先選びでお迷い中の学生さん

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

電池メーカー

電池材料の研究をしていれば、当然、電池を作っている企業に就職可能。”可能”というより「引っ張りだこ」。どの電池メーカーも電池材料技術者が不足しているためです。研究で培った専門知識や実験ノウハウをそのまま業務に転用できるでしょう。アカデミアに居た頃とほぼ同じ研究ができるかもしれません。論文出版より特許出願がメインになります。今までと同様、論文を出していきたい方にとってはやや不満を募らせてしまう環境かも。ただ、これまで積み重ねてきたキャリアの延長線上に位置する企業なので、最も円滑に業務へ移行できるかと存じます。実務で必要以上にストレスを溜めたくない方にとってピッタリな就職先。

具体的な就職先としては、

  • パナソニック・エナジー [6752]
  • GSユアサ[6674]
  • 古河電池 [6937]
  • 村田製作所 [6981]

こうした会社が挙げられます。海外に目を向けてみればAESCやCATL (共にチャイナ系)、サムスンSDI (コリア系)などアジア系の企業もあります。

化学・素材メーカー

電池の中身は正極と負極、セパレーターに電解質 (液系・固体系)という四つの部材で構成されています。電池材料研究者はそれぞれの部材についてつぶさに研究していくワケですが、専門とする材料を製造している企業にも就職可能です。正極材が専門の方なら正極を作っている会社にジャストフィット。私のように液系電解質を専門とする人間は、電解質を構成する溶媒や溶質を製造する企業へ勤められます。

電池は電池メーカーだけでは完成させられません。電池を構成する部材の素材が無ければそもそも完成させられないのです。縁の下の力持ちとして活躍したい方は化学・素材系メーカーがピッタリ。最近は素材のみでなく、電池の完成品を作り始めた企業もチラホラ見受けられていますので、社会の下支え役に留まらず広範なフィールドで活躍できるかもしれません。

具体的な就職先としては、

  • 【正極】
    住友金属鉱山 [5713]
    日亜化学
    戸田工業 [4100]
  • 【負極】
    レゾナック [4004]
  • 【電解液】
    MUアイオニックソリューションズ
    UBE [4208]
    セントラル硝子 [4044]
  • 【セパレーター】
    旭化成 [3407]
    東レ [3402]

こうした企業が挙げられます。あまり有名でない企業もありますが、経営は盤石。そう簡単には潰れない優良企業ばかりです。

自動車メーカー

電池関連市場でいま最も成長著しいのは車載用蓄電池市場。経済産業省によれば、2019年から2030年にかけて市場規模は8倍増加するとの予想 [経済産業省]。欧米が日本の自動車メーカーをぶっ潰すために排ガス規制を強化してきた影響。「電気自動車じゃない車は欧米で売らせませんよ。ま、お前らには作れないだろうけどな笑」といった趣旨での妨害工作。日系メーカー各社はこの工作に相当な危機感を募らせています。だってそうでしょう。ガソリン車が一切売れなくなってしまう可能性があるのですから。特にアメリカでの収益減はマズい。今後も人口が増えていくアメリカでお金を稼げなくなったら企業としての存続が危うい。

自動車会社にとってはピンチでも、我々蓄電池材料研究者にとってはチャンス。今まであまり縁のなかった自動車業界へ就職できる可能性が生じました。車の電動化には電池が不可欠。電池は電池の研究をやってきた人に扱わせるのが適切というもの。企業の方に話を伺うと、電池の知見を有する人材がいま一人でも多く欲しいみたいです。応募すれば受かるボーナスステージ。入社後も会社の人に頼られ、存在自体を有難がられるやり甲斐満点な境遇が待っています。

具体的な就職先としては、

  • トヨタ自動車 [7203]
  • 本田技研工業 [7267]
  • 日産自動車 [7201]

こうした企業が挙げられます。勤務地や車のデザインなどで就職先を選んでみて下さい。

電力会社

国の方針で今後、電力会社は発電の際、風力や太陽光などの再生可能エネルギー (再エネ)を積極的に利用することになりました。再エネの出力は不安定。火力発電のように『電力のピークに合わせて発電量を増やす』といった感じに融通を効かすことが難しいです。再エネ利用のためには蓄電池がどうしても欠かせません。発電した電気の余剰分を一旦蓄電池に貯めておき、必要になった時に電池から電気を取り出すといった形。電力会社は電気・電子工学系の学生に人気な就職先。電気回路に詳しい人間が重宝される会社なのです。入社後、電気工事やその監督をする資格 (電験三種、二種)を取得するよう促されます。電験って結構難しいんですよ。高専や学部時代に電気の勉強をしている人間が圧倒的に有利に違いありません。

電気回路に関する知識の重要性は今でも決して色褪せておりません。今後はそれに加え、蓄電池関連の知識を有する人材の希少性が高まってくるでしょう。電池を扱うためには、電池の外回りの知識だけでは全く太刀打ちできないのです。どの発電方式にどの電池を使うのが最適なのかや、その電池をもっと大容量にするにはどうしたら良いか等は電池の研究者に考えさせるのが最適。電力会社に就職できる可能性が急速に高まりつつある現状。東京電力 [9501]や関西電力 [9503]、中部電力 [9502]などが具体的な就職先として挙げられます。

アカデミア

私を受け入れてくれそうな企業について考えてきましたが、当然、アカデミアに就職するのもアリでしょう。破滅的な待遇の大学はさておき、国研は非常に魅力的な就職先。蓄電池は日本政府から【重要強化分野】に指定されました。それ以来、産総研や物材機構には毎年巨額の研究費が流れ込んでいます。世界最高レベルの環境で思う存分研究が可能。私自身、B4からD2までつくばの某国研へ一年の半分ほど入り浸らさせて貰っています。つくづく実感するのですが、もうね、国研ってホンマにすごいんですよ笑(語彙力喪失)

  • 世界で数台しかない超高性能な実験装置がゴロゴロ転がっている
  • 使いたい装置があれば、専属のオペレーターさんが装置を操ってデータを取ってくれる
  • お金の問題を一切気にせず実験試料を注文させていただける
  • トイレは綺麗。ウォシュレット付き。毎日掃除してくれる(北大は週に1~2回…)

国研は研究者の楽園。研究好きな人にとってはパラダイス。給料は皆さんの想像する以上に良いと思います。年収はおよそ600万円からスタートし、主任研究員になれば年収1,000万円が見えてくるのです。その分、就職難度は高め。ある程度たくさんの研究業績が無ければ、採用面接にさえ進めず書類選考で足切りを食らうでしょう。私自身、D2から直接国研の研究者になれる見込みが立たなかったので企業への就職を選びました。ホントは国研に行きたかったんだけれどなぁ。まぁ、仕方がありません。企業で頑張ります。

最後に

電池材料研究をしている私の就職先候補については以上。日本の電池関連若手研究者さんの参考になれば幸いです。

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