週刊オックスフォード§9　ハエとの日英代理戦争！WiseとWasabiでひと悶着

2023年12月6日2023年12月12日

【57日目・リア幸60】11/27 (月)：ハエとの大戦争が勃発

留学期間の短縮を決めてから胸や心がグッと軽くなってきた。なんて心地が良いのだろう。まるで天にも昇るような気持ち。足取りが軽く、あまりの軽さに歩いていて足が空回りしそうなほどだ。放浪に向けてケガをしないよう足元には細心の注意を払わねば。吾輩は現役北大生。理性はもうない。イギリスの曇天と頻繁な降雨にあっけなく溶かされてしまったようだ。理性を捨てた男にもはや怖いものは存在しない。”怖い”と感じる思考回路さえ麻痺しているのだから最強なのだ。今なら私のバターを勝手に食った学生に打ち勝てるかもしれない。まぁ、私は武士道を備えているのでバターを食っても許してやるけどな^ ^

ていうか、一体どれだけラボが嫌だったのかという話である。お金と時間を払って嫌な思いをしに行くなど全くの意味不明な留学だった。”オックスフォードには魑魅魍魎がいる”と嫌になるほど思い知らされた。どこが紳士だ。怪物じゃないか。自分の目の前で自分の名前が書かれた食べ物をむしゃむしゃと喰われてホンマ不愉快だった。留学自体が嫌なのではない。オックスフォードで滞在しているラボとの相性が極めて悪かっただけである (←ココは誤解して欲しくない)。コレも含めて一つの勉強。もう二度と同じ失敗をせぬため手痛いミスが不可欠だったのだろう。

今日もラボで暇つぶしに勤しむ。決してサボっているわけじゃない。博士進学者を増やして日本の学術界を盛り上げるのに不可欠な当ブログの執筆を余念なく行っている。屁理屈だなんてとんでもない！学振DC1の申請書に「学術を振興するためブログを使ったアウトリーチ活動に励む」と書いて内定したのだから[学振DC1申請書]。論文執筆までやっている。なんだかんだ言って模範的北大生、如何せん真面目なので自身の研究を進めずにはいられない性分。パソコンでカタカタと文字を打ち込む。この2か月間、あまりに文字を打ちすぎてタイピングが本当に速くなったように思う。小学生の頃は右手人差し指で一文字ずつキーボードへ猫パンチするのがやっと。今やキーボードを一瞥さえせず、両手で自由自在に猫パンチを繰り出せるようにまで格段に成長した。

気持ち良く作業をしていた所、天井から私の頭へ何か急降下爆撃してきた。…ハエだ。すごい勢いで来やがった。だってすんごい痛かったもん。もしかして噛まれちゃったのか？にしてもハエの奴ら、すごい度胸である。自分の何百倍も大きな相手に特攻してきたのだから。アイツら、半端ない。マジ半端ないって。普通できひんやろ、そんなこと。バターを食った卑怯なイギリス人より遥かに立派な騎士道を備えている。視界の外から襲ってきたのは卑怯だが、まぁ、些末な事情は許してやろう。よし、分かった。一人の武士 (もののふ) として貴様の相手をしてつかわそう。一騎打ちだ。さぁ、尋常に勝負！かかってこいや。…ほら、お望み通り相手してやるんだぞ？

うわっ、今度は後ろから来やがった！しかも三匹！それはズルいんじゃないか？男なら一匹でかかってこいや。えっ、メスのハエだったの？じゃあ仕方がない…とはならないぞ。女 (くのいち)には女 (くのいち)なりの流儀があるってもんじゃないか。女だからって男へ気まぐれに暴力をふるって良いわけじゃないんだからな。レディーファースト？うるさいわ、ボケ！ブンブンブンブン頭上を飛ばれてこちとら大迷惑なんじゃ、タコ！

・・・

私の自慢の高速猫パンチをもかわされハエに制空権を握られてしまった。まさかハエに負けてしまうとは… イギリスのハエは只者じゃないぞ。WWIIでロンドンの空を守った戦闘機『スピットファイア』が脳裏をよぎる。こちらは戦艦大和である。弾幕を張っても張っても機動力を活かして突っ込んでくる飛行機には全然為す術もない。くそっ、戦に負けたままでは日本に帰って来られないじゃないか。責任を取って切腹せねば…いや、敵を打ち取り首級を上げて報復を果たしてからにしよう。