博士号取得後の進路「ポスドク (博士研究員)」について解説する

北大と国研で研究していた化学系大学院生かめです。博士課程修了後、地元のメーカーで開発職に従事します。

進路を決めたのはD1の1月。海外でポスドクになるか、国研の正規職に応募するか、それとも民間企業へ就職するかで迷いました。国研の正規職は希望のポストに空きがなくて断念。D1後期のイギリス留学中に大変嫌な思いを味わいました。海外でポスドクになって研究を続ける道も諦めて企業就職を選んだのです。

この記事では、博士号取得後の進路のひとつ「ポスドク」について解説します。進路を迷っている博士学生へピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

ポスドクとは?

ポスドクとは「ポストドクター (Post-Doctoral Researcher)」の略。日本語に訳せば「博士研究員」。

研究業界における正規職ポジションの数はごく僅か。限られた席を巡って大勢の博士号ホルダーが椅子取りゲームを演じます。国研や大学で正規職を得るにはたくさんの研究業績が必要です。研究業績の卓越している者から順に抜けていくのです。博士号を取ってすぐに正規職を得られるほど多くの業績を持っている人は少数。大半の人間は博士号取得後、研究機関で数年ほど研鑽を積んでからでなければ勝負になりません。博士号を取ってから正規職に就くまでの間の身分がポスドク。ポスドクは非正規労働者。数年の任期期間中に成果を出してアカデミアでの生き残りを図ります。

ポスドクになるには?

ポスドクになるには、博士号を取得し、修了後の受け入れ先を見つけられればOK。博士号取得が一番の難関。それさえ乗り越えたらポスドクになれます。

学費を払って通う学生時代とは異なり、ポスドクになれば給与を貰って研究する身分になります。”博士研究員”の名の通り、ポスドクは研究で飯を食っていくプロフェッショナル。博士課程で磨いた専門性を武器とし、世界を股にかけて戦っていきます。特許なり、学術論文なり、国際学会での講演なりで自身の研究業界における存在感を高めていくのです。ポスドクの給与の出どころは三通り。①自分で学振PDに採用されて予算を引き当てるか②国研でへ若手研究者育成制度に応募して採用されるか、あるいは③受入研究者に頭を下げて研究費で雇っていただくか

学振PDに採用された場合、学振PDとしての三年間の任期期間中は所属先を自由に選べるでしょう。日本国内だけに限らず、世界中のどの研究機関へでもポスドクとして勤務することが可能。学振PDを引き当てた以上、受け入れ相手はポスドクの我々へ給与を支払わなくて構いません。相手の立場から見れば、予算の追加負担ゼロで戦力を一人確保できるとあっておいしい話なのです。ポスドク期間中は博士課程と同様、自分の好きなように研究計画を立てられます。そりゃそうです。自分のお金で研究するのだから。自分にとっても受け入れ先にとってもwin-winの関係を結べるでしょう。

国研へ非正規職員として採用されたり、その他の機関に在籍している研究者にお金を出してもらったりする場合、必ずしも自分のやりたいように研究を進められるわけではありません。雇い主の立てた研究計画通りに研究を進めることが求められます。お金を出してもらう弱い立場な以上、受入研究者の指示を聞くしかありません。研究面での多少の不自由を甘受せざるを得ないでしょう。お金の余裕のある研究室なら大丈夫。予算がカツカツな研究室で働く場合、給与の支払いが滞納されたり、給与の不払い&クビになる可能性も。私がイギリスで留学した研究室は予算に余裕のないラボでした。同研究室のチャイナ人女性ポスドクが「給与支払いを滞納された!!」とカンカンに怒っていたのが印象に残っています。

ポスドクになった後の進路は?

ポスドクとして採用された後は、所属研究機関で研究に励み、たくさん論文を出版することが求められます。業績の量と質の両方とも欠かせません。出版論文数が多ければ多いほど職務経歴書の見栄えが良くなるでしょう。高インパクトなジャーナルへ出版した経験があれば自身の高い研究力の裏付けになります。欧州でポスドク時代を過ごした指導教員いわく、ポスドク期間中は研究「だけ」に集中できるのだそう。”成果を挙げねば契約を打ち切られる”という強烈な危機感も手伝って研究が加速するみたい。

数年間をポスドクとして過ごせば、そろそろ次の進路を考え始めるでしょう。ポスドク終了後の進路は三択。①国内外の研究機関②ポスドク、または③会社員or公務員が挙げられます。

そもそも何のためにポスドクになったか?正規職を勝ち取るために業績が必要だったからでしょう。ポスドクとして研究業績を十分積み上げられた方は満を持して公募戦線へ出撃します。大学の助教職や国研の正規職へ応募して採用されるのを待つのです。研究職の採用倍率は10倍以上。高待遇のポジションだと競争率が100倍以上まで跳ね上がることも。めでたく採用された方はポスドク時代を終えられます。採用されなかった方は、ポスドクをもう一年続けるか、また別の進路へと進みます。

海外ではポスドクでも高給がもらえます。博士課程を修了したてだと600~800万円ぐらい。数年間の経験を積めば1,000万円超えも珍しくありません。これだけお金を貰えるならば正規職に就かなくたって生存可能。指導教員いわく、海外では四十歳以上になってもポスドクをしている方が多くいるそうです。日本だとポスドクへの給与は高くて600万円。ポスドクとして生きていきたい方は海外へ活路を求めるのがオススメ。

研究ポジション争いに負けてしまった方や、研究が嫌になった方、自分の経験を実社会で活かしたい方などはポスドク生活に終止符を打ちます。民間企業や官庁へ応募して中途採用枠で就活を行うことに。ポスドクは企業で即戦力扱い。研究生活で培われた高い専門性を発揮してくれるのを嘱望されます。当然、企業からの要求は高め。何ができるのか、企業へどのような価値を提供できるのか、面接で深く問われるでしょう。

最後に

ポスドク(博士研究員)についての解説はコレで以上。博士課程修了後の進路選びでお困りの方へ参考になれば幸いです。

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