【大学院】博士課程でうつ病になりやすい3つの理由|うつになりかけた実体験から語る

札幌と筑波で電池材料を研究している北大化学系大学院生かめ (D2)です。研究のことで思い詰め過ぎ、博士課程在籍中に二度ほどうつ病になりかけたことがあります。ネットで検索してみると、博士課程でうつ病になってしまうのは一人や二人だけではないと分かりました。日本に限った話でもなさそう。世界中の博士学生が日々うつ病と戦いながらラボで頑張っていらっしゃるみたい。そう考えると心が救われ…ません笑。辛いものは辛い。早く解放されたいです。

この記事では、博士課程でうつ病になりやすい理由を実体験から考察してみました。

  • うつ病になりかけている/なってしまった博士課程の学生さん
  • 博士課程の学生がうつ病になりやすい理由を知りたい方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう

目次

学位取得に向けて年中無休で頑張るから

博士課程でうつ病になりやすい最大の要因は修了要件にあります。博士課程は学術論文を何報か書いて出版しなければ永遠に修了できない仕組みなのです。

学術論文はただ書き上げるだけでも大変な労力が必要です。図表を作り、考察を拵え、魅力的なイントロや要旨を作成せねばなりません。原稿を指導教員に渡せば一面血の海真っ赤になって返ってくる。修正してもらえるのはまだマシな方。ひどい時には「書き直し!」と無慈悲な死刑宣告を下されます。原稿を英語化する作業もあります。日本語とニュアンスの変わらぬ形で異言語の文章を作り上げるのは至難の業。論文を仕上げたら、今度は雑誌会社に送って査読していただく。査読がスムーズに通る時もあるし、「質が低い。他の雑誌会社に投稿して下さい」と論文の掲載自体を拒絶されてしまう場合も。

一つの論文を書き始めてから雑誌へ掲載してもらえるまでに少なく見積もって半年間かかります。一年以上かかることもザラにある。半年で済んだら相当ラッキーな方。博士課程在籍中はこのような知的ハードワークを来る日も来る日も続けねばなりません。手を止めたが最後、修了が遠のいてしまうから、学位取得のために歯を食いしばって辛さに耐えなければならない。土日の休みなんてありません。365日働き続けます。ブラック企業も顔が真っ青になるレベル。霞が関の国家公務員と同じぐらい働いているかもしれません。人間の許容可能なストレス量を遥かに凌駕しているでしょう。そりゃ病んで当然です。うつ病になるのもうなずける話。

指導教員と学生側との利害が一致せず、人間関係がこじれてしまいやすいから

博士課程で辛くなった学生は『一刻も早く博士課程を修了したい』と考え始めます。少しでも早くこの地獄から解放されたい。大学院を出て、安定した境遇で落ち着いて仕事に取り組みたい、と。学生にとって不幸なのは『修了時期が半年、ないし一年延びてしまう』こと。地獄が3年で終わると思っていたら、3年半、もしくは4年も続くだなんて想像するだけでおぞましい。少しでも早く博士課程を終えるために研究を頑張ります。研究が好きかどうかなんて関係ない。嫌いでもやるしかない。大学院から解放されるために。

博士学生を指導する教員としても、弟子が博士号を取得して社会に出て活躍してくれたら嬉しいに違いありません。「あの子、僕の指導学生だったんだよね~」とそこら中で自慢できるからです。しかし、こうも思っています。『もう少し長く居てくれたら僕の研究業績をもっと増やせるんだけどなぁ…』と。博士学生が書いてくれる論文の責任著者は指導教員。配下の学生が論文を書けば書くほど指導教員の実績も自動的に増えるのです。まともな教員は学生の修了を邪魔しようなどとは考えません。まともではない、自我を顕わしてしまった教員は学生の足をグイグイ引っ張ろうとします。そう、学生と教員との間で利害が対立してしまうのです。絶対に3年以内に修了したい学生vs.絶対に3年で修了させたくない教員】矛盾 (ほこたて) 対決が開幕する結果に。

民間企業で転職を考える方の動機第一位は『人間関係のこじれ』。やり甲斐よりも給与よりも人間関係の問題で出ていくみたい。職場では毎日同じ人と長い時間接するでしょう。毎日会う人との関係がおかしくなれば職場での居心地が悪くなってしまいますよね。研究室でも同じ。教員と学生との間で人間関係がこじれれば、研究室での居心地が悪くなります。企業と違い、そう簡単に所属研究室を変えるわけにもいきませんから、たとえ教員との関係がこじれたとしても学位取得まで我慢して付き合い続けねばなりません。人間、我慢が過ぎると心が壊れてしまいがちに。メンタルの破綻はうつ病への入り口。人間関係がキッカケでうつ病になる博士学生が一定数いらっしゃるようです。

自分だけが一人で取り残され、日に日に焦りが募ってくるから

博士学生の心中には、多かれ少なかれ【焦り】が根を下ろしています。論文を書かなきゃいけない焦り、研究が上手く行かない焦り、就活が思い通りに進まない焦りなど、様々な焦りを抱えているのです。個人的に最も大きな焦りは、『同期との間に拡がってしまったライフステージの差』かなと思います。自分と他の人とを比べたって意味がないのは知っているけれども、それでも比べてしまい、 (あぁ。取り残されちゃったなぁ…) と嘆く羽目に陥ったのです。

修士課程修了までは皆で仲良くエスカレーター式で進学していました。ところが、修士から博士に上がる人はわずか。全体の10%程度しかいません。大半の学生は役所や企業へ就職しました。今日も元気に全国各地で働いているでしょう。就職した人たちの中には既にパートナーを見つけて結婚した人もチラホラ。そのうち子供だって産まれるでしょう、私が大学院で自分の卒業の役にしか立たない論文を書いている間に。私はお嫁さんはおろか、まだ彼女さえ見つけられていません。一人で絶望の暗闇に居るからこそ、結婚したり彼女を作って幸せそうにしていたりする同級生が輝いて見えます。かといって彼女作りをする時間もない。まずは彼女よりも論文を作って博士修了を確実にすべきだからです。

博士課程在籍中は自分の力じゃどうにもならぬ焦りが募っていく一方。日に日に心が蝕まれていきます。辛くて辛くて仕方がありません。焦りはうつ病を加速させる触媒。焦れば焦るほど鬱の症状が悪くなります。なるべく早く博士課程を修了して焦りから解き放たれるしかありません。そういうわけで私は博士課程の早期修了を目指しているわけです。

最後に

博士課程でうつ病になりやすい3つの理由はコレで以上。皆さんの参考になれば幸いです。

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