広島生活春夏秋冬vol.1 一年目・4月編|太っ腹の弊社で会社員生活開始!二度目の初任給に狂喜乱舞

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前回のあらすじ

札幌での八年間に、人生の全てを懸けた。ランニング。研究。イギリス留学。就職活動。博士課程早期修了。目の前の困難を必死で乗り越えた。思い返せば、紙一重の勝負だった。努力と、体力と、運。全力を注ぎこみ、やっとの思いで掴んだ飛び級。がむしゃらに走っているうちにフィニッシュテープを切った。博士(工学)の学位を携え、八年ぶりに地元の広島へ帰ってきた。

広島の新生活は穏やかだった。研究から離れ、疲れた心をじっくり癒やした。いつしか、長らく続いていた希死念慮は消えていた。生きる喜びが胸いっぱいに広がった。洗濯機を買い、自転車を手に入れた。身の回りを整えながら、社会人としての土台を築いていく。

学位記を手に、北大を後にする。大好きな北海道に別れを告げた。心の奥でそっと誓う。札幌で得た糧を胸に刻み、広島で新たな物語を紡いでいこう、と。これまでの八年間は序章にすぎない。未来への航路はここから伸びていく。

さあ行こうぜ、どこまでも。まだ見ぬ景色を、この手で掴みに。

新スタジアムへ

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昨年12月、2025シーズンのサッカー観戦年間パスを購入した。応援するチームは、偉大なる紫軍団・サンフレッチェ広島。シーズンチケットがあれば、サンフレッチェのリーグ戦ホームゲームを全試合観戦可能。いちいちチケット争奪戦に参加しなくても済む。全試合観戦すればシーズンチケット代のおつりがくる。買わぬ手はない。即・購入した。

広島へUターン就職した理由? そんなもの、99%がサンフレッチェ観戦のため。残り1%が気まぐれ。一にサッカー。二にランニング。三、四、五、六が無くて、七ぐらいにやっと弊社。

愛する紫の男たちを背中から力強く後押ししたい。それはあくまでも建前である。
本音は違う。年間パスは、叫び放題・飛び跳ね放題・無法地帯フリーパス。大人が合法的に発狂できる聖域。それがサッカー観戦。叫べば叫ぶほど褒められる。跳ねれば跳ねるほど愛される。こんな場所、他にない。オフィスで叫べば懲戒解雇。スーパーで跳ねれば通報。ここなら違う。ゴールが決まった瞬間、「ハイパーウルトラサイヤ人」に変身しても許される。そんな黄金郷が、新スタジアムには広がっていた。

2/23のホーム開幕戦は行けなかった。札幌でDAZN越しに新スタジアムの超熱狂ぶりを体感した。ホーム第二戦から観戦を開始する。首からシーズンチケットをぶら下げ、新スタへ嬉々として足を運ぶ。Uターン就職してから初めて見渡すピッチ。「自分は本当に早期修了したんだな」と感慨が湧き上がってきた。あまりに興奮しすぎて、選手ウォーミングアップの初っ端から大声を出してしまった。試合開始前には喉がガラガラに。それでも声を出さぬわけにはいかない。気合いで腹から声を絞り出す。試合の最後まで選手を後押しした。

3/2は横浜FC相手に1-0で勝利。幸先の良いスタートを切った。次の試合は1-1の引き分け。以来、自分の見に行った試合は勝っていない。ひょっとして私は疫病神なのだろうか。いや、違う。勝利の女神を追いかける、ただの足手まといだったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

広島献血

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58回目の献血に行ってきた。今回からは広島にて献血。

広島市内にはふたつの献血ルームがある。市電の通りに沿って居を構えている「もみじ」と、本通商店街の中にある「ピース」。今まで広島で行っていたのは「もみじ」。市電沿いにあるから行きやすくて。今回行ったのは、市電沿いではない方。「ピース」は大通から外れたところにあり、穴場感がある。献血ルームは空いている方がいい。順番が早く回ってきて早く終われるから。

ピースは、初めて入る献血ルーム。一体どんな場所か。想像は膨らむ。果たしてどのようなファンタスティックワンダーランドなのか。さすがに完成度は舞浜を上回ってくるだろう。ネズミの国ごときに負けたらもうおしまいだ。せめて、札幌時代の行きつけ献血ルーム「アスティ札幌」を上回ってほしい。胸と血管を膨らませて向かう。

ビルの4Fにあったピースは、まるで女版二郎スターバックスを想起させるオシャレ空間。いたる所にテーブルと椅子がある。床は全面カーペット。ちょっとしたデートスポットにでもなりそうなロマンチックな世界観。「ニンニク入れますか?」と聞かれるかもしれない。もし尋ねられたら、「超濃厚フラチーノーナッツと、リスラッシュマウンテンっちんリン」と答えてやる。そんなことをしたら、本家の二郎では出禁。献血ルームも同じ。看護師さんから「アバタケタブラッ!」と瞬殺されかねない。

予想通り、献血ルームは空いていた。平日に行った影響を差し引いてもガラガラだった。やはり、大通から少し外れたところにあるからだろう。献血の穴場。ドーナッツよりも穴場。種がくり抜かれたアボカドに近い。静かに血液を捧げられるホーリープレイス。順番待ちもほとんどしなかった。受付から15分後には、私の血液が透明チューブを駆け上がった。

献血後にはアイスをいただいた。アスティ札幌ではパンをもらえた。広島ではアイス。パンとアイスならどちらがいいか。冬以外はアイスがいい。今の時期もアイスがいい。
今日はピースでブルーベリーチーズアイスをいただいた。口の中でブルーベリーとチーズがしのぎを削っている。これが「口喧嘩」とかいうヤツか。チーズinブルーベリーなのか、ブルーベリーinチーズなのか。どちらも譲らず主張し合っている。「押すなよ」「そっちこそ押すなよ」と牽制する。水と油も混ぜればドレッシングになる。いや、ならない。何が何だかよく分からない。

献血ルームの総合的な満足度は低くはない。100点満点で89.3点(ヤクザ)といったところだろうか。雰囲気はもみじよりもピースの方が好き。広島での行きつけはピースになるだろう。ちなみに、ピースから歩いて3分で、広島で一番まずいアレだと噂のお好み焼き屋さんに着く。間違っても足を踏み入れぬよう、くれぐれも気を付けていただきたい。

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