こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料を頂いています。
学士→修士→博士とこれまで一つずつ階段を上ってきました。実は私、学士課程では修士課程、修士課程では博士課程がどのようなモノかをあまり知らないまま進学してしまったのです。博士課程に進学後、およそ1年が経過。博士課程の正体について少しずつ明らかになってきた所で、学士・修士・博士課程の違いについてこの記事で解説してみることにしました。
- 修士 or 博士進学を検討中の方
- ”どうせ進学するなら各課程の違いを知っておきたい”という方
こうした方々にピッタリな内容です。是非最後までご覧いただければと思います。
それでは早速始めましょう!
学士課程
学士研究:自動車学校の申し込み説明会&体験授業
運転免許取得プロセスに喩えてみると、学士課程で行う研究は教習所の『申し込み説明会』や『体験授業』に相当します。
研究ってこんな感じでやるんですよ!面白い?それなら一緒に頑張ろう♪
と学生に”研究とは如何なるものか”を体験してもらうようなイメージ。お試しの側面が強いです。とりあえず実験や研究に挑戦していただき、(もっと研究、やってみたい!)と思った方に大学院への進学を勧める形。何も全員が全員、研究におあつらえ向きな性格だとは限りません。せっかちな人は研究に不向きだし (←私のことです)、早くお金を稼ぎたい!という即物的な方も研究の道へ進まない方が良いかもしれません。学生やその指導教員が研究の向き・不向きをなるべく早く判断するための期間。お互いにとって幸せな道を見定めるためのファーストステップ。
大学院試験:適性検査
長期休暇に控える大学院試験は自動車学校の『適性検査』と同じ。大学院 (教習所)で行うための基礎学力 (基礎能力)があるかどうか、また研究 (運転)に向いた性格かどうかを客観的に測るためのモノ。超人気専攻を除けば基本的に落とされることは非常に稀。院試は落とすための試験ではないし、院試で院”死”してしまう方はどこかに問題を抱えています。日本政府や大学院としても研究者を一人でも多く育てたい。日本の将来の学術界や産業界のリーダーを生み出す人材の【ハブ】として大学院は大きな役割を担っているから。
自動車教習所で受ける適性試験は自分の得意な所や至らない所を浮き彫りにしてくれます。大学院試験もまた同様。自分の得意分野や弱点としているカテゴリーを明確に示して教えてくれます。不得意ならば克服すればいい。もしくは得意な能力でカバーすればいい。今後の教習/大学院生活の指針を与えてくれるという点で共通。その結果を如何に利用するかは受け止める方次第であります。
院試の筆記試験を免除になった方は『適性検査』を受けずに修士課程へ進学することに。自分の学力や性格を顧みる機会を学士課程の間に設けておくのを勧めます
修士課程
修士課程:仮免許講習
めでたく修士課程に進学すると研究が本格的に始まります。修士課程や修士で行う研究は『仮免許講習』と似たようなもの。講義 (学科)と研究 (実技)の両方ともある点が自動車学校と同じです。学士より専門的な技能や知識を習得するのが修士課程の2年間。研究してみて (向いていないな) とか (娑婆に出たい) と思った方は就活するはず。逆に (研究って面白いな♪) とか (修士だけじゃ物足らないな) とお感じの方は博士課程へと進学します。私自身、修士だけでは研究に完全燃焼し切られなかったので博士進学を決意しました。 (修士号ってなんか中途半端だよなぁ…)と思ったのも動機の一つ。
修士論文発表会:仮免許試験
仮免許講習 (修士研究) は受けっぱなし (やりっぱなし) で終わらせるわけにはどうしてもいかないでしょう。講習で教わった内容の定着度を測り、きちんと身に着いているかどうかを確かめねばなりません。中間報告会や修論発表会に相当するのが自動車学校の『仮免許試験』。学科 (修論執筆)・実技 (プレゼン発表)と2種類の試験で受講者をふるいにかけるのです。
修論発表会は仮免許試験より難度がずいぶんと低い。特に実技。仮免試験は一度失敗すればその場で落第ですが、修論発表会ではその場で質問に答えられなかったからといって即・不合格とはならないからです。答えられなかった質問については後で個別に教授室を訪れ落ち着いて回答すれば良い。研究の都合上、分かりようがない質問には「分かりません」と答えてしまっても大丈夫。私の場合、修論発表会より仮免の実技試験の方が緊張しました。私の前に運転した方が不合格を食らってしまい、”自分も落ちてしまうんじゃないか…”と極度のプレッシャーに悩まされたものです。
博士課程
博士課程:本免許講習 (をする側、もしくは講習を作る側)
博士課程で挑む研究は修士よりますます専門的なモノに。これまでより一段階も二段階も深い内容を、もしくは真新しい内容を取り扱うことに。自動車学校で喩えるならば博士課程は『本免許講習』に相当するかと。ただ、博士課程では世に新しい知見を生み出す活動を行っていくので、講習を”受ける”側というより講習を”する”側、もしくは”新しい講習を作る”側と云えます。知識や技能の吸収は引き続き行いつつ、論文執筆を始めとする様々な創造的な活動をやる。3年間、時にはそれ以上 (泣) に及ぶ長期のハードワークの末にゴールがあるのです。
博士論文発表会 (公聴会):本免許試験
仮免許講習 (修士課程) のときと同様、本免許講習 (博士課程) の活動の成果もきちんと精査されます。博士課程のラスボス・公聴会に相当するのが『本免許試験』。”道路 (社会) で自立して運転 (研究) をする能力があるんだ”と審査員に示すのです。あの手この手で能力を試してくる問題 (教授陣)の罠をかいくぐり突破するのも同じ。めでたく実技 (プレゼン)・学科 (博士論文執筆) 両科目を突破したら輝かしい運転免許 (博士号)を得られます。コレでようやく長くて険しい戦いから解放されるというワケです^ ^
運転免許も博士号も所得してからがスタート。せっかく取った取得を役立てるべく運転/研究しなくちゃ始まりませんから
最後に
学士・修士・博士課程の違いについてはコレで以上になります。博士進学を考えている方や各課程の違いについて知りたい方の参考になれば幸いです。
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