研究室生活春夏秋冬vol.51 D2・5月|育志賞挑戦を断念。一年ぶりの筑波出張で錯乱。ヤケクソで大阪に日帰り弾丸サッカー観戦へ

目次

5/1:論文の骨子が根元から破綻(リア幸30)

博士課程早期修了には残り二報の論文出版が必要。二報のうち一報 [A報]は既に原稿を書き終えた状態。もう一報 [B報]に関しては次のつくば滞在でデータをそろえ切る予定だった。早期修了はもはや手中にあるはず。安牌だ。コレで来年からは待ちに待った広島での生活だ…!

事はそう簡単に運ばない。早期修了驀進ロードに早くも暗雲が立ち込め始めた。A報の論旨が根元から破綻。A報を書き直さねばならなくなった。A報執筆に用いたデータ解析手法がA報に適用できないことが明らかに。適用してはいけない条件のもと適用してしまった結果、それを元に展開した考察が全て科学的に意味のないガラクタになった。

データの追加収集が必要だ。手元にあるデータだけではあまりに少なすぎるだろう。次回のつくば滞在ではA報&B報の二つの論文用データを集めねばならぬ。論文を二報書けるデータをわずか7週間で余さず集め切る必要がある。…無謀だ。出来る気がしない。過去最速のデータ収集ペースを二倍は越えなきゃ達成できない。そんな速いペースでデータを集めたことがない。でもやるしかない。やらなきゃ広島就職は叶わない。無理だなんて言っていられない。出来る方法を探さなくちゃ。作業速度に限界があるなら頭を使って効率化しよう。つくばから札幌に帰る6月末、データを全て集め切ってガッツポーズを掲げている情景だけを思い描いて。

5/2~5/16:育志賞に挑戦…している余裕はない!(リア幸30)

A報破綻の翌日、所属学会から『育志賞』の公募がかかった。育志賞とは、日本学術振興会が全国の超優秀博士学生16名前後を表彰する制度。表彰されれば栄誉ある賞が貰える。副賞に100万円以上の奨励金をいただける。おまけに皇族の方との懇談会に参加可能。天皇陛下や秋篠宮殿下と直接お話しできるかもしれない。個人的には賞や奨励金にあまり価値を感じない。皇族とお話しできるのが一番の魅力かなと思う。オリンピックで優勝したりテレビに出るような有名人にならなきゃ普通、話せない。ただの一般人が殿上人とお話しできる貴重な機会を逃す手はない。

残念ながら、今の私に育志賞用の申請書を作る余力はない。自己推薦書や他己推薦書にうつつを抜かしているヒマはない。まずはA報とB報をどうにかしなくちゃならない。何をどのように実験するかを真剣に考え、具体的プランを拵える必要がある。育志賞に採用されなくても博士課程の早期修了は可能。A報とB報がアクセプトされなければ早期修了は不可能。そもそも、A報破綻に数か月間気付かなかった人間が育志賞に当たるとは思わない。私より数段優秀な人間にこそ育志賞の名誉は相応しい。

育志賞の申請を断念。名誉を追い求めるよりもまずは目の前に横たわる難題を解決しなくては。

5/8:49回目の献血(リア幸35)

筑波出張前に徳を積むべく札幌駅前の献血ルームへ。人の役に立つ行動を少しでもしていれば研究でも何か良いことがあるんじゃないかなぁと。今回が49回目。次が50回目だ。50回目はつくばでするつもりだった。献血可能期間を考えたら49回目は今のうちにやっておくのが無難。

検診のお医者さんが私を見るや否や、いかめしい顔をして背筋をグイっと伸ばす。”何を言われるのか”と身構えていた所、「今回が49回目の献血になります。次は50回目です。おめでとうございます」と告げられて拍子抜け。お祝いするならもう少し朗らかに頼むよ。あと、まだ私、49回目なんだけれども… まぁ、お祝いは何度されても気持ちが良い。49回目と50回目の2回も祝ってもらえるだなんて嬉しい話。

今回は血小板の成分献血。献血時間、およそ1時間。献血中はYouTubeで好きな音楽を聴いた。ここ数か月、ZARDにハマっている。ZARDの歌とZARDのカバー曲に耳を傾けていたらあっという間に献血が終了。今月の献血記念品は300mLの醤油。もう少し体に優しい品をくれても良さそうなものだが、無料で貰えるものだからまぁ、文句は言えない。

5/13:札幌から筑波へ!大雨に降られながら800km移動 (リア幸40)

昨日までのカラッとした晴天がまるで嘘のように曇った天気。横殴りの風。大粒の雨。天の神様による悪天候の豪華フルコース。飛行機の降り立つ羽田空港はいま警報級の大嵐らしい。大丈夫かな、着陸してくれるかな。そもそも飛行機は離陸してくれるのだろうか。目的地が天候不良なら欠航になる可能性もある…

離陸を信じて新千歳空港へ。札幌駅から快速エアポートで37分。空港へ近付くにつれ、徐々に空が明るくなってきた。一瞬だけ太陽が顔をのぞかせた。太陽さん、恥ずかしがらずに雲のカーテンを開けてくださいよ。

改札を出て展望デッキへ。空港の醍醐味はデッキでの飛行機鑑賞。離陸時にデッキ中へ響き渡るエンジンの咆哮を聴くのがたまらなく好き。今日はダメだ。雨が強すぎて外に出られない。傘が風に持って行かれそう。大雨にも見舞われ、たまらず屋内へ。

私は北大屈指の優柔不断男。B1の4月、夕食用の食材を決めかね、近所のスーパー内を3時間歩き回ったことがある。この一件に懲り、以降の大学生活では昼・夜の食事メニューを完全に固定した。昼は玄米&サバ缶&ゆで卵。夜は玄米&鶏むね肉&アボカド。同じ食べ物を今日まで7年以上食べ続けている。

新千歳空港には魅力的なレストランが山ほどある。寿司に海鮮丼、ラーメンに定食屋… どれにしようか悩んでいるだけで飛行機に乗り遅れてしまう。優柔不断な私は空港で足を運ぶレストランを固定しておかねばならない。新千歳の場合、はなまるうどんだ。はなまるうどんで『牛肉おろしぶっかけ・冷・M』を食べる。ところが今回、はなまるうどんのヤツ、期間限定メニュー『ゆず牛肉つけ麺』を出してきやがった。写真が食欲を強くそそる。どうしよう。牛肉おろしぶっかけか、それともゆず牛肉つけ麺か…

延々と続く優柔不断モードに入りそうだったため、勢いでつけ麺を選択。商品の写真と出てきた実物があまりに違い過ぎて肩を落とした。味は確か。不味くはない。ただ、うどんに粘り気がありすぎて他の麺とくっ付いて離れない。これでは食べにくくって仕方がない。麺の入った器へ汁をドバっと注ぎ込んで『ゆず牛肉うどん』を作成。コレなら旨い。つけ麺の10倍食べやすい。満面の笑みで昼飯を完食。

時間つぶしのため新千歳空港内を散策。国際線ターミナルにでも行ってみようかなと歩く。ドラえもんとのび太くんが子供を喜ばせる広場を通過。小さい頃はドラえもんが大好きだったのに、今ではちょっと嫌いになってしまった。就活サイト『マイナビ』でドラえもんと再会したせい。ドラえもんは俺たちに現実を見させない夢の存在でいて欲しかった。どうしてわざわざ学生が最も鬱になりがちな【就活】で再登場しやがるんだ。おい、ドラえもん。秘密道具で内定をよこせ!三〇商事やキ〇エンスの入社プラチナチケットを出すんだ!えっ、出せない?ならネズミを持ってくるぞ。出せ!出せ!つべこべ言わずにさっさと出せ!!!

…こんなことを口に出したら広場で遊んでいる子供が泣いてしまう。オックスフォード留学中に習得したエチケットでドラえもんに対する想いを飲み込む。一人で葛藤しているうちに国際線ターミナルへと到着。国際線は通常運航。全便欠航になったコロナ時代はもう遠い昔の話。今年の夏はどこかに行きたいな。マレーシアかインドネシアに行ってみたい。活気ある新興国の雰囲気を感じて元気になりたい。行けるといいな。研究が忙しくなければ…

ANA62便・羽田行きは無事に定刻通り出航。予定では定刻通りの着陸になるそう。関東近郊の嵐は予報よりも早く羽田を通過してくれたみたい。羽田は無事。でも、つくばは大嵐。まぁ、飛行機が欠航になるよりかはいいか。羽田に着いてつくばに着けないより、羽田にもつくばにも着けないのが一番まずい訳だから。

イギリスから帰ってきた今年1月下旬にZARDへハマった。以降、ブログを書くときや論文を読むときは必ずZARDを再生している。飛行機内でもZARDの音楽を堪能。YouTubeオフライン再生機能でスマホに保存した動画を流して頭をほぐす。今どきの歌は激しくて早い。おまけに言葉へ重みを感じず、聴く気になれない。ZARDや松田聖子さんらの音楽は穏やかでゆっくり。一つ一つの言葉を大切に紡ぎ出していて、気持ち良く耳を傾けることができる。つくづく思う、私は生まれる時代を間違えてしまったな、と。価値観といい、本や音楽の好みといい、昭和世代の価値観の持ち主だから現代の若者と理解し合えなくて辛い。

ターンテーブルで荷物を回収。東京モノレールで浜松町駅を目指す。広告曰く、”乗るたびにドラマがある”らしい。ドキドキ・ハラハラなモノレール旅は勘弁。もっと着実に、無難に終点へ着いて欲しい。

モノレールとJR京浜東北線を乗り継ぎ秋葉原駅へ。長くて急峻なエスカレーターでつくばエクスプレス (TX) の地下ホームを目指す。秋葉原からTX終点のつくばまでは快速でわずか45分。最高速度は130km/h。JR西日本の新快速と同じ速さ。線路を横断する車道や歩道が線路の何処にもないのが大きな特徴。遮るものは空気のみ。コレがTXの爆速たる所以である。東京近郊で乗せた大勢の乗客は7割がた流山おおたかの森と守谷で降りる。つくばへ着く頃、車内はガランとしてしまう。

つくばは雨。風は弱め。傘が必要な際どい雨量。さすが、つくば。世界最先端のテクノロジーシティーなだけはある。雨量は気象観測所が意図して調整している。えっ、本当かって?本当なわけがないだろう笑。

定期運行バスで国研へ。入構手続きとウィークリーマンション入居手続きを完了。お世話になる研究者さんは不在。あの人が居なければ何も始められない。アパートに入って軽く荷解き。夕食を調達しに最寄りのスーパーへ。歩いて片道30分。遠い… これがつくば。研究施設以外は何もないのがつくば。2日分のパックご飯とサバ缶とアボカドを購入。今日と明日はコレでしのぐ。明後日以降の分はAmazonで調達しようかな。

M2の3月以来、一年二か月ぶりの実験となる。失われた14か月の空隙を埋める戦いが今日から幕を開ける。

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