【比較】学振DCとJSTフェローシップとではどちらが『得』なのか?

今から2〜3年前、博士進学者の生活費を支援するフェローシップ制度が設立されました。学振DC1の採用枠からあふれた方の多くがフェローシップ制度を利用し、おかげで日本のD進者の大半が健康で文化的な研究生活を営めるようになっています。

ここでふと疑問が浮かびます。学振DCとフェローシップ、総合的に見てどっちがお得なのか。 20年以上続く支援制度(学振DC)とJST肝入りの支援制度(フェローシップ)。どちらも魅力的に見えますが、果たしてどちらを選べばよいのでしょうか。

この記事では、学振DCとフェローシップを4つの項目から比較していきます

  • D進を考えていらっしゃる方
  • 学振DC1内定を目論んでいる方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

給与:学振DC(20万円/月)の圧勝

ひと月ごとにもらえる給与は学振DCの圧勝です。フェローシップは所属大学によって金額が若干異なりますが、最高額の大学でも月15〜18万円程度で、学振DCとは2万円以上の差が開いています。

しかも2024年度からは、学振DCの任期最終年度に限って月額3万円が報酬に上乗せされるようになりました。また、2026年度より、学振の基本給が月22.7万円に上がりました。フェローシップとの差はますます広がる一方ですね。

研究費:学振DC(100万円/年)が上回る。ただし例外もある

両制度ともに、給与に加えて研究費も支給されます。学振DCは年間100万円程度、フェローシップは年間40万円。数字だけ見るとフェローシップの方が圧倒的に少なく見えますよね。

ただしフェローシップには出張費を無限に支給してくれる神仕様が備わっています。出張費が年40万円の枠を超過しても、使った分だけきっちり全額支給されるそうです。学会や共同研究で出張の多い方は、学振DCよりもフェローシップの方が得するかもしれません。

納税額:学振DC(給与所得)の方が多い。フェローシップ(雑所得)は経費の幅が広い

学振DCは給与所得扱いで、サラリーマンと同じように源泉徴収されます。給与全体の3割が「研究遂行経費」として所得から除外されるので、年間240万円×0.7=168万円が課税対象額です。

フェローシップは雑所得扱いで、フリーランスや個人事業主と同じようにe-taxや税務署で確定申告して納税額を確定させます。フェローシップの方が経費に繰り込める対象が幅広く、たとえば家賃を経費に組み入れられるのが大きい。学振DCの研究遂行経費には家賃を含められませんから、ここは明確な差ですね。

整理すると、収入も納税額も多いのが学振DC、収入も納税額も少ないのがフェローシップです。

なりやすさ:フェローシップ(倍率1倍未満)が圧勝。学振DC(倍率6倍)は狭き門

現状、フェローシップの採用倍率は1倍を下回っています。D進者の数に対する採用枠数があまりに多く、事実上の全入状態。研究計画さえきっちり仕上げて提出すれば全員がフェローシップ生になれます。お金の問題でD進を諦める学生はほぼいなくなったのではないでしょうか。

学振DCの採用倍率はおよそ6倍で、落ちる方が圧倒的に多い。フェローシップ制度の設立によって誰でもD進できる環境が整ったので、「せっかくだし、フェローシップだけじゃなくて学振にも申請してみるか」と軽いノリで申請する方が近年増加傾向にあります。学振DC内定を巡る競争は今後ますます苛烈になっていくでしょう。生成AIの出現も相まって、内定に必要な研究業績の水準は上がる一方です。

結論:学振DCの内定を得られるなら得ておこう

学振DCとフェローシップとを4項目から比較してみました。まとめた表を以下に示します↓

学振DCフェローシップ
給与月20万円月15~18万円
研究費年100万円以上年40万円 [出張費は無限支給]
納税額多め (給与所得)少なめ (雑所得)
なりやすさ倍率6倍倍率1倍

学振DCの内定を得られるなら、迷わず得ておくべきです。給与の額、研究費の潤沢さ、内定に伴う資金獲得実績の箔を考えれば、フェローシップより学振DCの方が博士課程で豊かな生活を送れます。

とはいえ、倍率6倍の壁は厚い。学振DCに落ちてしまった方はフェローシップによる救済をしっかり活用してください。フェローシップも十分に手厚い制度ですし、出張費無限支給や経費の柔軟さなど学振DCにはない強みがあります。どちらの制度を使うにしても、研究に打ち込める環境を確保できることが一番大切です。

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