ミソフォニアの発生メカニズムと症状を和らげる3つの方法

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D2)です。特定の音をトリガーに意図せず激しく苛立ったり悲しくなったりする『ミソフォニア (音嫌悪症)』に高校二年次から10年以上苦しめられています。

ミソフォニアには学校生活や大学受験勉強中に大いに苦しめられました。学校内に限った話ではなく、交通機関を使った移動中や娯楽施設内での寛ぎの時間にも苦しめられた。生きるのにやや支障をきたし、一時は自死をも考えたほど。音に対して汲々としながら営む生活はあまりにも辛い。少しでも辛さを和らげるために色々と試行錯誤しました。苦難の末、当分の間は生きて行けそうな自分なりの方法を編み出したのです。

この記事では、ミソフォニアの患者さん向けにミソフォニアの発生メカニズムやその症状を和らげる方法を解説します。本来、こういった話は医学者が詳しくすべき内容です。しかし現状、ミソフォニアを専門的に研究しているお医者さんはほとんど居りません。ミソフォニアという言葉を聞いた事のあるお医者さんさえごく僅かではないかなと存じます。如何せん情報不足。ミソフォニア当事者にとっては困る状況。そこで私が医者の代わりに『ドクターかめ』として情報発信することに決めました。

なお、私の専攻は化学。医学には全く詳しくありません。本記事は医学的根拠のある内容ではなく、あくまで経験則に基づいた内容である点に関してご了承いただければ幸いです。

ドクターかめ

それでは早速始めていきます

目次

ミソフォニアはどのようにして起こるか

ミソフォニアの発生機序

私の10年間のミソフォニア経験を踏まえ、ミソフォニアがどのようなメカニズムで起こるのか考察しました。あくまで私個人に限った場合、この病気の症状は上の4ステップを経て発生するようです。

上図について詳しく解説します。

STEP
耳から音が入ってくる

耳から体の中へ音が入ってきます。トリガー音もトリガーじゃない音も一緒になってとりあえず耳から入ってくる。第一段階ではまだ症状は起こりません。快・不快の感情さえ何ら伴わないのです。

STEP
脳により音が処理・選別される

耳から入った全ての音は脳に輸送され、ふるいにかけられます。雑音として無視すべき音、もしくは重要な内容だから理解しなくてはいけない音に分けられる。本記事ではこの操作に『雑音処理』という名を付けて呼びます。雑音処理が適切に行われれば聴くべき音だけに脳のリソースを集中させられるのです。”雑音”として処理された音は体の外に投棄されます。”雑音ではない”と処理された音は脳の別領域へ運ばれ、音の内容に関する詳細な分析が行われます。

STEP
雑音処理に失敗した音が脳へ体に痛覚信号を発信させる

普通の人なら鼻をすする音や咳払いの音などを簡単にスルーすることができます。それは、脳の雑音処理機能が正常に機能しているからです。我々ミソフォニア患者は『雑音処理』を上手く行えません。雑音として対外に放出すべき音の一部が正常に体外へ放出されないのです。それだけならまだ問題は起こらない。厄介なのは、”本来は雑音なのに雑音処理に失敗した音”が脳へ誤った信号を発信させる点。「胸を苦しくさせて下さい」とか「感情を苛立たせて下さい」とかいった風な自分を苦しめる指示が送り出されてしまいます。要は脳の機能の一部にエラーが生じているのです。いったいどうしてこのようなことが起こるのかは不明。何故かおかしくなっている。それも、致命的にこじれている。

STEP
胸や喉が苦しくなったり感情が暴走してしまったりする

脳による誤った発信が引き起こす【心身の反応】が我々に困難をもたらします。私の場合、胸が苦しくなったり苛立ったり悲しくなったりします。

我々がトリガー音を耳に入れた際、以上4つのステップを経て症状として身体に顕れます。ミソフォニアの症状を和らげるためには、我々が人為的にいずれかの段階へ介入し、一連の流れを断ち切って最終段階への到達を阻止せねばなりません

正直、私自身、ミソフォニアの完治には至っていません。ですが、次に述べる対処法を見つけたおかげで症状を9割以上緩和させられております。皆さんも今の辛さが9割以上楽になったら幸せになれると思いませんか?今まで音のせいで諦めていた様々な活動に触手を伸ばせるようになるかもしれません。皆さんが楽になるお手伝いをさせて下さい。それではこれから、ミソフォニアの症状緩和法を3つご紹介します。

ミソフォニアの症状を和らげる3つの方法

STEP1への介入:トリガー音が入ってきた瞬間、体の中から一瞬で外に追い出してやる

耳から音が入って来る際、音が脳へと輸送されるまでの間にはごく僅かながら時間が存在します。時間にして数ミリ秒、いや、数マイクロ秒程度でしょうか。コレはあくまでも感覚的な話。実時間に直せば数ピコ秒かもしれません。でも、耳から脳へ音が伝播するまでの間には確実に少しだけ時間があります。脳が音をふるいにかける前に耳が[うずまき管[部位の写真]が]音をふるいにかけるための時間。脳だって音以外にも生命機能の維持に労力を割かねばなりません。脳が音を選別する負担を少しでも軽減させるべく、耳が少しだけ音をスクリーニングしてから音を脳へ受け渡すのでしょう。

したがって、我々ミソフォニア患者はまず、音が脳へ輸送される前に音を狙撃して体から追い出してやらねばなりません。その方法を教えます。音が聞こえた瞬間、もしくはその直前に腹筋へ力を入れて下さい。ギュッと力をこめましょう。そんなに強い力を入れずとも構わないから、へそのあたり、丹田と呼ばれている部分を意識して力を入れて下さい。脳が音の認知へ割くはずだった機能の一部が音の出力に割かれるのです。要は『気が紛れる』という意味。音に体が反応し始める時間を少しだけ遅らせられます。

腹筋に力をキュッと入れた際、お腹がほんの一瞬、外側へ出っ張ったかと存じます。体が内側から外側へパワーを炸裂させようとしているのです。我々にとってのトリガー音は、この内から外への流れとともに体の外へと追い出されていきます。ひとたび音を追い出してしまえば、原理上、ステップ1がステップ2へ、そして3や4へと進行することはないでしょう。力を入れる場所は別に腹筋ではなくとも構わない。それが背筋だろうが太ももだろうが上腕二頭筋だろうが構いません。瞬発的に最も力をこめやすい部分へ”内から外”の流れを意識して出力して下さい。音の脳への侵入さえ防いでしまえたら音を怖がらなくても大丈夫👍

STEP2への介入:座禅で無の境地に至り、音を体から通過させる。脳へ絶対に音の選別をさせない

脳による雑音処理の正確さには、自らの【意識】が大きな影響を及ぼすのではないかと感じます。

「トリガー音が聞こえないで済みますように…」と音を恐れている時は当然、過敏になるでしょう。雑音処理の失敗により心身へ大惨事を招いてしまいやすい傾向にある。「恐れるものは何もない。ドンと来い!」と泰然としていれば冷静でいられます。仮にトリガー音が聞こえてきても、落ち着いてSTEP1に介入して音の追い出しに取り掛かれるはず。こんな単純な話で片づけられないのは私自身、百も承知しています。冷静か/否かという次元の問題ではないんですよね。冷静だった心境が一瞬で大嵐に変わるのがミソフォニアの怖さ。冬の登山時の気候変化よりも心情が目まぐるしく変わるのですから。

気持ちの持ちようでどうにもならない音への対処法を皆さんに伝授します。【無】になって下さい。「なって下さい」と言うのも変ですよね。意識を消して下さい。魂を抜き、その場でフワッと幽体離脱して下さい。自分”という存在などまやかしだ。そんなもの、この世には無いと考えましょう。幽霊や透明人間を目指して『無の境地』に至るのです。思考もない。脳もない。体も心もそれらの痛みもない。何もないのなら苦しみさえない。ミソフォニアに煩わされる自分などどこにも居ない。

無の境地の片鱗を垣間見るには座禅修行がオススメ。一日10分、余裕があれば30分や60分ほど連続で座禅しましょう。自宅や公園など、静かな所で執り行って下さい。座禅修行を重ねるにつれ、音が体に留まらず、通過していく感覚を味わえるはず。一瞬たりとも音が耳や脳にとどまらなければ脳が雑音処理時にエラーを起こすこともありません。ステップ2が3へ、4へと進まないのでミソフォニアの症状に苦しまされないのです。

STEP4への介入:運動で体を疲れさせて『反応』を防ぐ

脳がエラーを起こしてしまうのは仕方がありません。手術で脳の神経回路を正常に戻せるならそれが最善なものの、ミソフォニアについてほとんど研究が進んでいない以上、脳外科手術を期待しても仕方がないでしょう。ステップ3への介入は見送ります。その代わり、最後のステップ4へ手を加えましょう。

我々がミソフォニアに苦しまされている理由。それは、脳が発したおかしな信号に体が反応し、意図せず動かされているからです。決して音自体に苦しまされているわけではない。あくまで脳の信号に、それが引き起こす体の反応に苦しまされています。苦しみを和らげるにはどうすればいいか。簡単な話、体を反応させなかったら良いんです。体が一切反応しなければ胸や喉にひきつけを起こしやしないでしょう。肉体の反応に引きずられる形で生じる心の反応も起こらずに済みます。

経験上、ココで言う『反応』は肉体への反応を起点に進行していきます。つまり、『肉体の反応を止める (抑える) こと』がミソフォニア症状の緩和に直結するのです。体の反応を止める方法はズバリ、肉体を疲れさせてあげること。ぐったりと疲れ切った状態なら、肉体は脳の信号に反応しようにも余力がなくて反応できません。私の場合、早朝にランニングして疲れを養ってから大学に行きます。そのおかげなのか、肉体の反応を最小限に抑えられ、音にさほどおびえずに済む安心・快適生活を営めているのです。なお疲れすぎた場合、授業中に寝落ちして先生に「講義室から出て行け!」と激怒されてしまいます笑。リラックスのし過ぎも良いのだか悪いのだか… ランニングも程々にしておかないといけません。

最後に

ミソフォニアの発生メカニズムと症状を和らげる方法については以上。日本全国のミソフォニア患者さんの力や助けになれば幸いです。

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