
集中と覚悟の10週間

9月19日から11月26日まで、つくばでの重要な実験期間が始まった。来年度は国研への出入りが制限されるため、この10週間でM2後期とD1一年分、計1.5年分のデータを集める必要があった。博士課程で三報の論文(うち二報は筆頭著者&フルペーパー)が修了要件。M2後期から一報目に着手しなければ、3年での修了が危ぶまれる状況だった。
相当なプレッシャーを抱えてのつくば入りだったが、既にそうした緊張感に順応していたためか、普段と変わらぬ冷静さで実験を進められた。むしろ、重圧が推進力となって研究への意欲を掻き立てた。第8週目で予定していた実験を完遂し、残りの2週間はボーナスタイムとして予想外の実験に挑戦。この自由な探求から、博士課程での新たな研究の着想が次々と浮かんできた。さらに、この期間中に修了要件の一報目となる論文の日本語原稿も仕上げ、共同研究者の確認を経て、翌月からの英語化への道筋をつけた。
感動と出会いの福岡学会

つくば滞在中、福岡国際会議場で初の現地学会発表を経験した。博多駅から徒歩30分という絶好のロケーションだった。昨年オンラインで発表した際、憧れの研究者Dさんから「すごく面白い研究でした」と称賛を受けた記憶が、この一年の原動力となっていた。
15分の発表と4分の質疑応答。初めての現地講演で緊張したものの、落ち着いて発表をやり遂げた。Dさんからの本質的かつ鋭い質問にも、冷静さを保ちながら納得のいく回答ができた。講演後、共同研究者と指導教員と共に天神のもつ鍋で舌鼓を打ち、「現地講演って楽しいなぁ」と深い満足感に浸った。
学会最大のサプライズは、M1時代に内定を得た中小企業の方との思いがけない再会だった。双方にとって予想外の出会いで、「すごい偶然ですね」と互いに驚きの声を上げた。企業の方は私の発表を聞いてくださっただけでなく、最終日には近くの寿司店で昼食までご馳走になった。面接からの時を経るごとに増す企業への親近感。このご縁を大切に、末永く関係を育んでいきたい。

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